2008年04月23日 更新

【柔道】背水出陣の康生、オール一本勝ち優勝で北京だ!

勝つだけでは、足りない。康生がすべて一本勝ちして、代表の座を奪い獲る

勝つだけでは、足りない。康生がすべて一本勝ちして、代表の座を奪い獲る

 取るぞ「一本」、行くぞ五輪! シドニー五輪柔道男子100キロ級金メダルの井上康生(29)=綜合警備保障=が、オール一本勝ちでの優勝で、五輪切符をつかみ獲る。北京五輪男子100キロ超級代表の最終選考会を兼ねる、全日本選手権(29日、日本武道館)に臨む井上は22日、母校東海大で会見し、「一本勝ち」にこだわる意気込みをみせ、5年ぶり4度目の優勝を狙う。

 夢舞台か、引退か。北京五輪出場を逃せば、一線を退く決意を秘めている井上が、「自分自身の柔道をすべて出し尽くす。今は全日本のことだけを考えてやる。(五輪代表は)その後についてくると思う」。柔道人生をかけた無心モードに突入した。

 昨秋の世界選手権で5位に沈み、2月のフランス国際も惨敗。五輪代表の選考で重視される国際試合で結果を残せなかった。今月上旬の全日本選抜体重別選手権では、世界選手権無差別級で優勝し、ドイツ国際(2月)も制して代表争いをリードする棟田康幸(警視庁)に準決勝で指導1つの差で勝って4年ぶりに優勝。だが、吉村和郎・全日本柔道連盟強化委員長は「2人の差を埋める内容ではない」と、五輪代表への厳しい現実にかわりはない。

 男子100キロ超級代表の最終選考会、その舞台で求められるものは、結果だけではない。棟田や今冬の欧州での大会に勝った石井慧(国士大)、高井洋平(旭化成)に続く4番手にある康生が、いっきに逆転するには「オール一本勝ち」で頂点に立つ、強烈なアピールが必要になる。

 シドニー五輪では5試合すべて一本勝ちで優勝。そのときのビデオを繰り返し見て暗示をかけてきた。さらに、今大会では伝家の宝刀「内また」にはこだわらないつもりだ。「内また? 必殺技だけど、他の技の研究もしている。相手に応じながらやっていきたい」。身につけたすべての技を駆使し、一本を取りにいく。

 11度目の出場となる今回を、最後の全日本選手権と決めている。96年に17歳で初出場。当時、神奈川・東海大相模高3年だった。期待のホープとして注目を集め、日本のエースにのぼり詰めていった大会でもある。「全日本がボクのスタートだった。柔道家にとっての全日本はとても大きい」と、思い入れも強い。

 勝ち上がれば、準決勝で前年覇者の鈴木桂治(平成管財)との対戦が見込まれる。「彼に勝たないと次につながっていかない。倒して優勝をつかんでいきたい」。目の前の相手を「一本」で屈服させてみせる。

(江坂勇始)

★100キロ超級代表を目指し石井「絶好調」

 石井と鈴木がこの日、母校国士大で練習を公開した。100キロ超級代表を目指す石井は3月下旬の練習で左臀部(でんぶ)を負傷し、全日本選抜体重別選手権を欠場。代表争いで一歩後退したが、「今は絶好調」とキッパリ。北京への切符を得るには最終選考会となる今大会の優勝が絶対条件で、「あとは気持ちだけ。自分に自信を持ってやる」と、2年ぶり2度目の優勝で五輪行きを目指す。

 昨年覇者で100キロ級の五輪代表に決まった鈴木は「100キロ超級の代表争いは自分には関係ない。邪魔をしたい」と、2年連続4度目の優勝へ不敵な笑み。

■北京への道

 昨年の世界選手権(ブラジル)で男子は2階級(73キロ、100キロ超級)、女子は70キロ級を除く6階級で北京五輪出場権を獲得。残る階級はアジア枠(各階級男子5カ国、女子3カ国)での出場を狙う。同枠は06年アジア大会、昨年のアジア選手権、全日本選抜体重別選手権後に決定した代表候補が出場する26、27日のアジア選手権(韓国)で獲得したポイントを合計して争う。男子100キロ超級は全日本選手権終了後に発表される。

■全日本選手権

 体重無差別で行われ、「柔道日本一」を決める大会。第1回大会は1948(昭和23)年に開催され、毎年4月29日に日本武道館で開かれる。出場者は全国の各地区を勝ち抜いた代表のほか、主催者による推薦枠がある。今大会は地区代表35人と、前年優勝者の鈴木桂治、準優勝の石井慧、07年世界選手権優勝の棟田康幸が推薦で出場する

■順当にいけば

 五輪代表争いで、厳しい状況に追い込まれている康生。全日本で順当に勝ち進めば、準々決勝で高井、準決勝で鈴木との対戦が見込まれる。代表争いでライバルとなる石井、棟田は逆ブロックで、2人が順当に勝ち上がれば準決勝で対戦する。