2008年04月22日 更新

【大相撲】再発防止検討委の会合 やく氏不満顔「骨抜き」

再発防止委の会合を終えたやく氏は、罰則導入の必要性を訴えた

再発防止委の会合を終えたやく氏は、罰則導入の必要性を訴えた

 日本相撲協会の「再発防止検討委員会」が21日、東京・両国国技館で会合を開き、親方の再教育などを柱とする再発防止策をまとめた。出席した外部有識者委員で漫画家のやくみつる氏(49)は、罰則を盛り込まない再発防止策に不満を漏らし、「これでは骨抜きになってしまう」と、出場停止などに対する罰則導入の必要性を訴えた。再発防止策は、今月中に開く理事会で承認される見通し。

 会見に臨んだ、やく氏は不満顔だった。約2時間に及んだ再発防止委員会の会合で、やく氏が提案した罰則の強化策が理事会への報告事項から除外された。罰則強化を持論とする同氏は会見で不満をぶちまけた。

 「私見的な案を出したが、たたき台にもならなかった。理事会に上げる段階でもないという。本筋が片づいてから、傍系の話になるようだ」

 再発防止委員会では、昨年12月から実施した53部屋の視察による師匠、おかみさんらへの聴取に基づいて、再発防止策をまとめた。

 (1)教育の専門家らを招いての師匠の再教育

 (2)力士が悩みを相談しやすい環境作りのために相撲診療所の活用

 (3)禁止事項、土俵の所作やマナーなどを説明するマニュアルの作成

 (4)体験入門の実施と入門意志書を得る

 これらの防止策は、早ければ今月中にも開かれる日本相撲協会の最高決定機関である理事会で承認される見通し。なお、金属バットなど誤解を与えるようなものを部屋に置かない−といった“直接的防止策”も出たという。

 しかし、やく氏にはどれも手ぬるい防止策としか映らず、「これでは骨抜きになってしまう。罰則を強化することが必要」と持論を展開した。

 力士にとって、本場所の土俵に立てないことが最大のペナルティー−というやく氏は「出場停止が抑止力になる。何かあれば、即出場停止にしてもいい」と断言。暴行事件の温床となるいじめなどを罰則の対象に加えるべきと主張する。

 委員会が設置されるきっかけとなった時津風部屋の暴行事件では、協会は前時津風親方を解雇しただけで、暴行にかかわった力士らは一切処分していない。今回の再発防止案でも罰則強化策は“見送り”となったが、やく氏は今後も再発防止委員会で持論を訴え続け、相撲界の真の浄化を図る。

(伊藤隆)

★所作の乱れを指摘

 やく氏は、土俵上での所作の乱れを指摘し、これらも処分の対象とすべきとする持論も展開した。「ダメ押し、ガッツポーズも出場停止にしてもいい」。これらの行為は、いずれも朝青龍が初、春場所の土俵上で見せたものばかり。まるで横綱をターゲットにした発言だが、「朝青龍を想定したものではないけど、まあ、そうなりますかね」と、問題行動が目立つ“天敵”を牽制(けんせい)していた。

■再発防止検討委員会

 大相撲時津風部屋の序ノ口力士、時太山(ときたいざん)=当時(17)、本名・斉藤俊(たかし)さん=が昨年6月のけいこ後に死亡した問題を受け、同9月27日、日本相撲協会・北の湖理事長(元横綱)の発案で発足した。伊勢ノ海生活指導部長(元関脇藤ノ川)をはじめとする親方8人、文部科学省から要請されていた外部有識者として、漫画家やくみつる氏ら5人を加えた13人で構成されている。

◆伊勢ノ海理事(元関脇藤ノ川)

 「師匠は指導者として知っておくべき知識を得て、力士はマニュアルを通してやっていいこととやってはいけないことを理解する。体験入門ではあめ玉をしゃぶらせずに実際の力士生活を体験させ、希望に反する入門を防ぐために入門意思書を書かせる。力士が悩みを訴えられる雰囲気を協会全体で作る」

◆塔尾武夫氏

 「時津風事件は部屋の運営を師匠任せにしたのが原因。師匠の勉強会が必要だ」

◆山本浩氏

 「部屋で強い権限を持つ師匠を再教育し、弟子が悩みを抱え込まないようにするという両面から再発防止策を考えた」