2008年04月18日 更新

【水泳】女子100背・伊藤華英、日本新59秒83で初五輪!

勝った、獲った、五輪切符! 伊藤が日本新記録をマークし、北京代表をきめた

勝った、獲った、五輪切符! 伊藤が日本新記録をマークし、北京代表をきめた

ライバル中村(手前)とのデッドヒートを制して、4年越しの悲願を達成(撮影・山田俊介)

ライバル中村(手前)とのデッドヒートを制して、4年越しの悲願を達成(撮影・山田俊介)

 日本選手権第3日(17日、東京辰巳国際水泳場)北京五輪代表選考会を兼ね、女子100メートル背泳ぎ決勝は伊藤華英(23)=セントラルスポーツ=が59秒83の日本新記録をマークし、2年ぶり3度目の優勝。派遣標準記録を突破し、五輪初出場を決めた。アテネ五輪選考会は代表有力とされながら、涙の落選。ライバル中村礼子(25)=東京SC=を制し、4年越しの悲願を遂げた。2位の中村も2大会連続の五輪代表。女子100メートル平泳ぎは種田恵(21)=JSS長岡=が初優勝、初の五輪切符を手にした。

 水しぶきが上がる。ストロークが伸びる。前へ、前へ。伊藤がゴールに向かって、キックを打ちまくった。

 ラスト20メートル。隣の4コースを泳ぐライバル中村をとらえ、タッチの差で先着。出た! 59秒83。中村が前日の予選で出した日本記録を更新だ。自身初の1分切りで、派遣標準記録S(五輪3位以内を想定したタイム)を突破して、初の五輪切符を握った。

 「よかった。絶対に3着にはならない、絶対に五輪に行くぞと思って泳ぎました」

 4年越しの悲願達成。前回アテネ五輪の選考会は代表有力とされながら、100メートルで5位、200で3位と惨敗。「あのときは会場の雰囲気に飲まれてしまった」。上位2人に与えられる五輪代表権を逃し、プールサイドで泣き崩れた。

 今回も、悪夢の再現が起きそうだった。前日の準決勝は精彩を欠く泳ぎで、高3の酒井志穂(BSS古賀)にも敗れて、まさかの3位通過。宿舎に戻ると、ソウル五輪男子背泳ぎ金メダルの鈴木大地を育てた鈴木陽二コーチから30分間も説教を受けた。「オマエ、死ぬ気があるのか。覚悟ができているのか。指が折れてもいいから、行け!!」。激しい叱咤に、腹がすわった。

 この日は50メートルのターンまで中村の姿を目で追わず、北京につながる一本道を突き進んだ。

 「また、(4年前と)同じことを繰り返したら死のうと思った。死にたくないから、必死に泳ぎました」。泳ぎ終わると、コースロープ越しに中村と抱き合った。06年8月のパンパシフィック選手権以来、ライバルに一矢を報いたが、すぐに表情を引き締めた。「(中村)礼子ちゃんと五輪の決勝で戦いたい」。4年間待ち続けた大舞台へ。センターポールに日の丸をあげてみせる。

(浅井武)


■伊藤 華英(いとう・はなえ)

 1985(昭和60)年1月18日、埼玉県生まれ、23歳。競泳女子100メートル背泳ぎ。06年パンパシフィック選手権100メートル背泳ぎ優勝。07年世界選手権は100メートルと200メートルで5位。日大出。セントラルスポーツ所属。1メートル73、62キロ。

★2大会連続も中村「悔しい」

 2位で2大会連続の五輪出場となった中村は、思わぬ敗北に戸惑いの表情を浮かべた。わずか1日で伊藤に日本記録を更新され、「代表権を獲ることが目標だったけど、記録は悔しい…」。予選で自己ベストを出したが、準決勝、決勝とタイムが落ち、「競ったときによりタイムを出す選手にならないと、世界では戦えない」と反省しきり。19日からの専門の200メートルに向け、「気負うことなく記録にチャレンジしたい」と巻き返しを期す。

■中村 礼子(なかむら・れいこ)

 1982(昭和57)年5月17日、神奈川県生まれ、25歳。競泳女子100メートル背泳ぎ。200メートル背泳ぎは04年アテネ五輪と05、07年世界選手権で3位。100メートルは07年世界選手権3位。日体大出。東京SC所属。1メートル66、55キロ。

■種田 恵(たねだ・めぐみ)

 1986(昭和61)年9月20日、北海道生まれ、21歳。競泳女子100メートル平泳ぎ。200メートル平泳ぎで05年世界選手権4位、07年に日本記録を樹立。神奈川大。JSS長岡所属。1メートル61、59キロ。

◆種田恵

 「100メートルで(五輪に)いけると思っていなかったので、本当にビックリ。まだまだ世界は遠いと思うが、もっと練習して早く近づけるように頑張りたい」

★リレー新選考でドラマ!8人が切符

 4人の合計タイムが派遣標準記録を上回れば代表−。日本水連は、今回の選考会から出場資格を獲得したリレー種目について、新たな選考基準を導入した。これがドラマを生み、男女800メートル継の対象となった200自で、それぞれ1〜4位の計8人が北京行きの切符をつかんだ。

 リレーの標準記録は平均すると2分0秒58が必要で、女子は上田と三田がこれを上回り、高鍋と山口が下回ったが、合計で0秒27上回った。三田は「負けたことは悔しいが、みんながタイムを上げてくれた」と涙した。所属チームの垣根を越えて頑張った4人が、五輪の舞台に立つ。

■北京への道

 過去の成績は一切考慮されず、今大会だけで決まる一発勝負。日本水連が過去3年の記録を元に設定した派遣標準記録を決勝でクリアし、かつ2位以内に入れば北京五輪代表となる。派遣標準記録Sは五輪3位以内、同Iは8位以内、同IIは16位以内(準決勝進出)に相当する。派遣標準IIが事実上の通過ライン。少数精鋭主義を取るため、国際水連が定めた五輪参加標準記録を上回る世界的にも厳しい基準だ。

日本選手権・決勝成績(17日、第3日)
【男子】
▼200メートル自由形(派遣II=1分47秒79)
〔1〕☆奥村幸大(イトマンSS) 1分47秒90
〔2〕☆内田翔(群馬SS) 1分48秒57
〔3〕☆松本尚人(FREESTYLE) 1分48秒97
〔4〕☆物延靖記(セントラルスポーツ) 1分49秒04
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【世】フェルプス(米国) 1分43秒86
【日】松田丈志(中京大) 1分47秒83
【女子】
▼200メートル自由形(派遣II=1分58秒26)
〔1〕★上田春佳(東京SC) 1分59秒09
〔2〕★三田真希(コナミ西日本) 1分59秒95
〔3〕★高鍋絵美(KSGカホ) 2分1秒39
〔4〕★山口美咲(近大) 2分1秒64
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【世】マナデュー(フランス) 1分55秒52
【日】千葉すず(イトマンSS) 1分58秒78
▼100メートル背泳ぎ(派遣II=1分1秒06)
〔1〕伊藤華英(セントラルスポーツ) 〔日本新〕59秒83
〔2〕中村礼子(東京SC) 1分0秒16
(3)酒井志穗(BSS古賀) 1分0秒45
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【世】コーグリン(米国) 59秒21
【日】中村礼子(東京SC) 59秒96
▼100メートル平泳ぎ(派遣II=1分8秒38)
〔1〕種田恵(JSS長岡) 1分7秒91
(2)田村菜々香(東海大) 1分8秒55
(2)三輪芳美(コナミ) 1分8秒55
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【世】ジョーンズ(豪州) 1分5秒09
【日】田中雅美(JSS) 1分7秒27
【注】日本記録の所属は当時。
〔〕内数字は北京五輪代表決定。
派遣IIは五輪派遣標準記録II。
☆は男子800メートルリレー代表
(4人の合計7分14秒48が派遣標準記録7分17秒46を突破)
★は女子800メートルリレー代表
(4人の合計8分2秒07が派遣標準記録8分2秒34を突破)

伊藤華英・主な大会成績
大会成績種目
01東アジア大会2位100背
世界選手権7位
03日本選手権優勝200背
世界選手権5位
05日本選手権優勝100背
世界選手権6位
4位200背
06日本選手権優勝100背
優勝200背
パンパシ水泳優勝100背
07世界選手権5位
5位200背
世界競泳4位100背
4位200背
08日本選手権優勝100背
【注】個人種目のみ