2008年01月27日 更新

【マラソン】福士が小崎と合体!最強の援軍と合同練習

大親友にアドバイスをもらった福士(右)は軽く汗を流した(撮影・門井聡)

大親友にアドバイスをもらった福士(右)は軽く汗を流した(撮影・門井聡)

 北京五輪出場権をかけた大阪国際女子マラソン(大阪・長居陸上競技場発着)は27日午後零時10分、号砲。初マラソンに臨むハーフ日本記録保持者・福士加代子(25)=ワコール=は26日、大阪城公園内で昨年大会2位の小崎まり(32)=ノーリツ=と合同練習を行った。大阪国際を3度経験し、2位2度のランナーから情報収集。最強の援軍から勇気づけられ、スタートラインにつく。

 大阪のことは、ワタシに聞いて−。福士の前に、救いの天使が舞い降りた。初マラソンへの最後の練習。大阪城公園へ飛び出した爆裂娘、福士は同伴者とともに周回を重ねた。その相手は、昨年大会2位の小崎。チームの垣根を越え、05、07年のマラソン世界選手権代表と“合体”だ。

 前日、会見後の夕食中、福士の携帯に着信が入った。声の主は、昨年結婚して大阪市内に住む小崎だった。「初めてで緊張しているかなと思って、電話しました。頑張りよ、応援に行くからと言ったら、『一緒に走りたい』って言うから…」(小崎)。福士が合同練習を申し出た。

 この日は早朝に80分間の朝練習を行い、ひと休み。午後練習を行った大阪城公園で会った。全国都道府県駅伝の京都代表で、宿舎も同部屋だった大親友。“かしまし娘”2人の、おしゃべりランがスタートした。

 小崎 「カヨ坊、マラソンは何せしんどいで」

 福士 「やっぱり?」

 小崎 「でもな〜、普通のレースと違って、スッと解放されんねん」

 福士 「わかる〜」

 4キロの周回コースを3周。約1時間、息も乱さずノンストップでしゃべり続けた。給水では味付けと無味の2種類のドリンクを用意。大阪を3度走って2位2度の“達人”から、極意を学びとった。

 直前の徳之島合宿では、永山忠幸監督(48)の指示で、ロードでの1キロ3分10秒の高速ペースを体に染みこませた。5キロ換算で15分50秒。初マラソン日本記録2時間21分51秒、国内最高2時間21分18秒の更新へ、迷いは吹っ切れた。

 小崎 「マラソンはしんどいから、頑張りや〜。応援するからぁ」

 福士 「わかりましたぁ。バイバ〜イ」

 トラックの女王から、新世代の女王へ。先輩のアドバイスを胸に、号砲とともに飛び出していく。

(周伝進之亮)


■応援団も熱い

 “初体験”の距離に挑む福士に、強力援軍だ。沿道にはワコールの社員約2000人が集結する。永山監督によると「30キロ以降の地点へ応援が駆けつけます。当たり前の『頑張れ』という掛け声は送りませんよ」。なかでも、JR玉造駅周辺を南下する30キロ地点には400人が待機。「焼き肉を食べに行くぞ!」や「寒いから、早く終わらせてくれ!」など珍妙なセリフで本能を刺激する。同監督は「彼女は日本一の負けず嫌い。後半、失速はしないと思う」と声援による踏ん張りを信じている。

■大阪で北京切符を獲るには

 北京五輪女子マラソン代表は3人。すでに07年大阪世界選手権銅メダルの土佐礼子(三井住友海上)が内定。同11月の東京国際で圧勝したアテネ五輪金の野口みずき(シスメックス)は実績からも“当確”とみられる。3月の名古屋国際も含め選考会を2つ残し、代表枠は実質的に1つ。大阪では東京の野口を上回る、大会記録2時間21分18秒前後のタイムが必要となる。名古屋にはシドニー五輪金の高橋尚子(ファイテン)が出場予定で“実績比較”にさせないためにはインパクトも重要だ。

勝つのは私!カメ作戦で優勝を誓った加納

勝つのは私!カメ作戦で優勝を誓った加納

★加納、カメ作戦でVよ!

 早朝と昼に2度。大阪城周回コースで最終調整を行った昨年大会3位の加納由理(29)=セカンドウィンドAC=は、高まる期待と緊張感の中、走りのイメージを最終確認した。「(レース展開は)徐々にできつつあります」。

 初マラソンとなった昨年は「自重」がテーマだった。川越学監督の指示は「今回は第2集団でいい」。勝負より経験が優先された。だが、今年は違う。秘策はズバリ『ウサギとカメ』だ。トラックの女王でマラソン初参戦の福士をウサギに見立て、過去の大会VTRを頭にインプットした。

 加納は「05年の(覇者)プロコプツカ(ラトビア)を参考にしています。あれが理想です」。05年はレース序盤、11キロ付近から大南博美がペースアップ。第2集団との距離をグングンと引き離した。プロコプツカは第2集団で静かに追走。32キロ過ぎで大南を抜き去り、最後は2位に1分以上の差をつけての独走優勝だった。

 今回も爆走娘、福士が飛び出す可能性が高いが、終盤に失速することも十分に考えられる。カメに徹する加納が背後から冷静に福士の状態をうかがい、逆転Vへ−イソップ童話も顔負けの実話を完成させる。「いろんな準備をしておかないと…」。トラックでは福士に何度も屈した加納が、浪速路をリベンジの舞台とする。

(山田貴史)


■大阪国際女子マラソン

 1982年に第1回大会を開催。東京国際女子に次いで、国内2番目に創設された女子マラソン大会。世界で活躍する選手が多く生まれ、日本女子マラソン界のレベル向上に大きく寄与している。コースは起伏が少なく世界的にも好記録が出やすいことで知られ、日本陸連は世界選手権と五輪の代表選考レースに指定している。最多優勝はカトリン・ドーレ(ドイツ)の4度。

 ◆主催 財団法人日本陸上競技連盟、関西テレビ放送、産経新聞社、サンケイスポーツ、ラジオ大阪、大阪市
 ◆主管 大阪陸上競技協会
 ◆後援 大阪府、大阪府教育委員会、大阪市教育委員会、大阪市体育協会、大阪商工会議所、大阪21世紀協会、夕刊フジ、フジサンケイ ビジネスアイ、サンケイリビング新聞社、扶桑社、FM802
 ◆協賛 日東電工
 ◆協力 ダイハツ、シチズンホールディングス、ミズノ