2014.12.29 11:38

浅田真央が背負ってきたもの~パンクした村上佳菜子~/Women in Sports

浅田真央が背負ってきたもの~パンクした村上佳菜子~/Women in Sports

特集:
Women in Sports
浅田真央=2013年12月22日

浅田真央=2013年12月22日【拡大】

 フィギュアスケートの全日本選手権が終わった。男子は羽生結弦が3連覇。誰が勝っても初優勝の女子は、宮原知子が逆転で頂点に立った。女子で唯一、五輪への出場経験がある村上佳菜子は、SP9位が響いて5位に沈んだ。

 「真央ちゃん(浅田)やあっこちゃん(鈴木明子)がいなくて…。どこかで2人の背中を見てこうしてるからこうしようとやってきた。目標とする選手がいなかったのが、今までの全日本と違った」。追うべき背中がなかった。浅田は休養、鈴木さんは引退。追う立場だった村上は、今季から追われる立場に変わった。想像以上の重圧。「狂ったように練習してきた」とハードなトレーニングをすることでプレッシャーから逃れようとしたが、最終的には“パンク”。その世界の先頭に立って結果を残すことの難しさに、直面している。

 今の村上に比べ、浅田への国民の期待は比べものにならないものだった。行く先々で「金メダルを取ってください」と声をかけられる。背中を押してくれていた応援が、いつからか重圧へと変わっていく。何をやっても成功してきたノンプレッシャーの中学時代とは違う。勝って当たり前と思われる中で成績を残すのは、想像を超える困難が伴うのである。

 「自分もジュニアのころはそう(イケイケ)だった。今の自分には勢いがない。下から追い上げられるのはすごく辛い」。試合後の村上は思わずため息。今年の女子の全日本は、1、2位が高校生。3位に至っては中学2年の13歳である。もちろん村上自身がジュニア時代、同じように浅田らに急速な勢いで迫っていた。それでも浅田は、それを振り切ってきた。男子で言えば五輪王者の羽生も同じ。全日本で負けるわけにはいかない。腹痛があろうとも、それが負ける理由にはならない。一流の選手とはそういうものである。

 浅田が背負ってきたものの重さ。同じような局面に立っている村上が、ここを乗り越えられるかどうか。壁を越えた先に、本物の強さが待っている。

(角かずみ)

角 かずみ(すみ・かずみ)

1984(昭和59)年7月21日生まれ、30歳。北海道・札幌市出身。3歳から水泳を始め、小学2年でシンクロナイズドスイミングに転向。同3年から全国大会に出場し、高校2年から2年連続で国体に出場した。日大芸術学部に進学し、東京シンクロクラブの一員として日本選手権3位に入るなど21歳までシンクロを続けた。卒業後は産経新聞社に入社し、野球記者として巨人、ロッテ、西武を計6年担当。現在はアマチュア・スポーツ担当として、シンクロでは出場できなかった五輪に記者としていくことが目標。2014年7月、30の大台を目前に結婚した。

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