過去3度出場しながら優勝に縁がなく、「相性が悪い」と話していたNHK杯で初めて表彰台の真ん中に立った。だが、安藤の表情はさえない。「消化不良。はっきりうれしいとは言えない」。反省の言葉ばかりが口をついて出た。
3回転−2回転に難度を下げた最初の連続ジャンプは、一つ目が回転不足となり単発に。傷口を広げないようにと、次の2回転半−3回転も2回転半−2回転に急きょ変更した。安全策で悪い流れを食い止めようとしたが、終盤の連続ジャンプでついに転倒した。
ライバルの不振が結果的に安藤を優勝へと押し上げた。ただ、ミスがあっても逆転できたのは表現力を高く評価されたからだ。スケート技術など5項目は高得点の7点台を並べ、演技点はトップ。本人は母国開催の追い風を指摘したが、胸を張ってもいい。
5度目の出場を決めたファイナルは一度も表彰台に上がっていない。今回はメダリストの最上位選手が一番乗りで五輪代表に決まる。「まだまだレベルの低いスケーター。ファイナルでチャンスをもらったと、いい方向に受け止めたい。誰からも『勝てる選手』と言われるように頑張りたい」。消化不良の栄冠を成長への糧にするつもりだ。