新鋭Vs王者の確執激化!マクラーレンに不穏な空気![]() ハミルトンが力をアピール。だが、アロンソとの確執は限界まできている 世界選手権第15回戦フジテレビ日本GPフリー走行1・2回目(28日、静岡・富士スピードウェイ=1周4.563キロ)フリー走行2回目でルイス・ハミルトン(22)=英国=とフェルナンド・アロンソ(26)=スペイン=がワンツー。選手権ランク首位と2位のマクラーレン勢が力をアピールしたが、両雄の確執がさらに悪化。かつての“セナ・プロ”の因縁を思わせる不穏な空気も漂う。日本勢では“地元”トヨタのヤルノ・トゥルーリ(33)=イタリア=が4位と健闘した。 ◇ 富士の裾野に、30年ぶりの轟音が鳴り響く。77年以来のF1開催となった富士のコースでマクラーレンが底力をみせつけた。だが、ワンツーを決めた2人のドライバーの確執は、ついに“レッドゾーン”を振り切った。 ![]() ハミルトンが王者を敵視する衝撃発言。“セナ・プロ”の悪夢も危ぐされる(撮影・高橋朋彦) ![]() 前戦ベルギーGPでは、幅寄せしてハミルトンをコース外に追いやったアロンソ。敵は味方にあり…(撮影・朝田康嗣) 「チームはみんなフェルナンドよりボクを支持しているよ」。王者アロンソとの仲違いが深刻化するハミルトンが、走行前の衝撃発言で空気を凍らせた。 前戦ベルギーGPのスタート直後、幅寄せして自身をコース外に追いやったアロンソへの報復を前日に示唆したハミルトンが公の場で、もはや修復不可能な関係を自らの口から明かしたのだ。 冷たい関係の根拠は今季のF1を揺るがしたスパイ問題にある。マクラーレンがフェラーリの情報を不正に得ていた事実をアロンソが国際自動車連盟(FIA)に告白したことで、チームは約116億円の罰金刑などを受けた。王者の自分を新人ハミルトンと同等に扱うチームに不満を抱き、待遇改善を求めたアロンソが拒否された腹いせに起こした“謀反”とされた。 マクラーレンには力のあるドライバーを擁しながら、確執に発展した苦い思いがある。セナとプロストだ。89年には鈴鹿での決勝中に同士討ちとなり、不本意な形で王者が決まった。その日本GPで再び悪夢の予感も漂う。ハミルトンは「相手よりいい待遇を与えてくれなんて頼んだことはない。同じ車に乗る王者(アロンソ)を負かして自分が総合優勝できたら最高と思っている」。30日の決勝でフロントロー(最前列)スタートが濃厚になってきた2人。1コーナーの敵は、“味方”にある。 (石原有記) ![]() 89年、鈴鹿での伝説の同士討ち。接触したセナ(手前)とプロスト ★セナ、プロ事件VTR マクラーレン・ホンダは88年、セナとプロストの最強コンビを結成して年間16戦で15勝を挙げたが、翌89年は両雄の確執が表面化。2人は王者争いをしていた日本GP(鈴鹿)の決勝中にシケインで接触。プロストはその場でリタイアし、セナはトップでチェッカーを受けた。だが、シケインをショートカットしたとのプロストの抗議が認められ、プロストの総合Vが決まった。プロストがフェラーリに移籍した90年も鈴鹿でスタート直後の両者が1コーナーで接触。ともにリタイアし、今度はセナが王者に決まった。 ★フリー最下位も琢磨巻き返すぞスーパーアグリの佐藤琢磨は、2回目は最下位の22番手。1回目の序盤にギアボックスのトラブルが発生し、交換などで時間をロスしたことが尾を引いた。自転車部に所属していた早大時代に改修前の富士サーキットを自転車で走ったことはあるが、マシンでの走行は初めて。「厳しいスタートだが、最低限やることはクリアできた」と情報収集には納得した様子。6月のカナダGPでの6位以来入賞はないが、巻き返しに意欲満々。 ★スーパーアグリがスポンサー契約発表スーパーアグリは28日、フォーリーフ、パイオニア、ヴァージンアトランティック航空とのスポンサー契約を発表した。パイオニアと、佐藤琢磨のスポンサーとして4年目を迎える同航空は日本、中国GP2戦限定の契約。今季のメーンスポンサーながら、協賛金の入金が滞っていたSSユナイテッドの車体ロゴは、今大会から外された。 ★トヨタ勢好感触自社傘下のサーキット開催となるトヨタが好感触だ。2回目で、トゥルーリがライコネンを抑えて、4位のタイムをたたき出した。「いいスタートが切れた。予選ではトップ10に入れると思っている」。同僚シューマッハも9位に食い込み、新居章年技術コーディネーション担当ディレクターもニッコリ。 ★ホンダ勢冴えず“ホーム”の鈴鹿から富士に開催地が移ったホンダは2回目で、バトンが14位、バリチェロは17位とさえなかった。バトンは「朝に異なるセットアップを試して、午後はバランスがよかった。週末への方向性はつかめた」と手応えをみせたが、今季獲得ポイントは1点。苦しい戦いが続く。 ★覇権争いは今季はスパイ問題の処罰でマクラーレンがコンストラクターズ部門の全得点をはく奪され、フェラーリの同部門総合優勝がすでに確定。ドライバーズ部門では3戦を残して首位ハミルトン(97ポイント)、アロンソ(95ポイント)のマクラーレン勢を、ライコネン(84ポイント)、マッサ(77ポイント)のフェラーリ勢が追走しており、日本GPでの総合優勝決定はない。 ★天気予報は会場に近い静岡・御殿場市の予報では、29日の降水確率は80%。午前11時から行われる3回目のフリー走行時には、少量の雨が予測されるが、予選開始の午後2時には雨はあがり、くもりの予報。決勝の30日は降水確率60%で、午前から昼にかけて、小雨が予測される。 ■フリー走行英語では「プラクティス」(練習走行)と呼ばれ、予選と決勝に向けた車体のセッティングを行うのが目的で、ここでの順位は予選に影響しない。今季から金曜日に行われる2回のフリー走行が従来の60分から、90分に拡大(土曜日は60分)された。各チーム2台が走行可能で、金曜日のみサードドライバーが参加できる ■日本GP76、77年に静岡・小山町の富士スピードウェイで開催し、87〜06年には三重・鈴鹿市にある鈴鹿サーキットで20年連続開催。同GPは今年から、05年4月に全面改修された富士で開かれた。シーズン終盤に組まれる日本GPは過去22大会中、11大会で年間王者が誕生。日本人選手では中嶋悟が鈴鹿で87、90年に6位入賞し、鈴木亜久里が90年に3位となり日本人初の表彰台。佐藤琢磨は02〜04年に3年連続で入賞した。 |