箱根駅伝

駒大、3年ぶり総合V!抜群の安定感で早大を逆転!! (1/3)

9区の駒大・堺(左)が早大・三輪をとらえて逆転(代表撮影)

9区の駒大・堺(左)が早大・三輪をとらえて逆転(代表撮影)

「オオタコール」の中、独走でゴールテープを切った太田(撮影・小松洋)

「オオタコール」の中、独走でゴールテープを切った太田(撮影・小松洋)

アンカー太田(左)と抱き合う大八木監督(撮影・原田史郎)

アンカー太田(左)と抱き合う大八木監督(撮影・原田史郎)

 第84回東京箱根間往復大学駅伝復路(3日、神奈川・箱根町芦ノ湖駐車場入口−東京・大手町、5区間109.9キロ)「大砲不在」の駒大が、戦国駅伝を制した。往路2位から首位の早大を追走し、9区の堺晃一(4年)で逆転。11時間5分0秒で3年ぶり6度目の総合優勝を果たした。10区間中、区間賞は8区の深津卓也(2年)1人だけだったが、区間2位が4人と抜群の安定感をアピール。02年から4連覇を達成した勢いを取り戻し、再び黄金時代の幕を開ける。

 小春日和のやわらかい日の光を受けたアンカーが、都心のオフィス街を1人疾走する。

 東京・大手町に駒大・太田行紀(3年)が姿を見せると、1区から9区までタスキをつないだメンバーから期せずして「オオタコール」がわき起こった。あたたかい風に誘われて集まった、多くの観衆からも拍手が広がる。両手を控えめに広げながらゴールテープを切ると、待ち受けた仲間から胴上げされ、高々と宙に舞った。

 太田に続いて胴上げされた大八木弘明監督(49)は「6区でつまずいたが、7区以降はうまく走ってくれた。いい選手たちに恵まれた」。3年ぶりの勝利をかみしめた。

 メンバーが当日変更された2区間で逆転の流れを引き寄せた。7区で豊後友章(4年)が区間2位の好走。8区の深津が区間賞を獲得する走りで首位の早大を15秒差まで猛追し、9区の堺にすべてを託した。「差を詰めてくれたので、自分が決めてやろうと思った」。相手の背中は大きく見えていた。2.6キロ付近で早大・三輪真之(3年)に並ぶと、8.4キロ付近の横浜・保土ヶ谷区の権太坂の下りで、一気にスパート。古豪をかわし、沿道から「いいぞ、駒大!」の声援が飛ぶ。みるみるうちに差を広げ、独走態勢に入った。

 戦国駅伝。「大砲不在」といわれたが、個々の自己管理で連帯感を深めた。昨年はノロウイルスがチームにまん延し、元日になって安西(現主将)が欠場。総合成績は7位と惨敗した。今年は手洗い、うがいを徹底。合宿所の洗面所には「正しい手の洗い方」を図解で説明するポスターまではられた。

 門限時間は平日は午後10時、週末は11時に決め、規則を破った場合は、大八木監督から丸刈りにされる罰則を設けたが、違反者は皆無だった。夏、春休みの帰省期間も1週間に限定し、選手とコーチが過ごす時間を多くした。

 00年の初優勝からの9大会で6度目の総合優勝。中核は宇賀地強、深津、高林祐介の2年生トリオ。下級生のスピードランナーに刺激された上級生が春先にトラックで速さと切れを磨き、夏場からロードの練習に移行。大会登録メンバー16人のうち5000メートルのベストタイム13分台は6人、1万メートルでは28分台が4人もそろう。傑出した1人のランナーを持つチームはあっても、これほど粒ぞろいの軍団は、今大会では際立っていた。

 大八木監督は「選手たちは『自分たちがやらないといけない』と思うようになって成長した」。途中棄権が3校も出た荒れた箱根路を、一致団結で征服した。

(江坂勇始)

◆1区・池田宗司(那須拓陽)

 「先頭に近い位置でタスキを渡したかった。優勝はうれしい。来年につなげたい」

◆2区・宇賀地強(作新学院)

 「池田さんがいい位置で持ってきてくれたのに順位を落としてしまった。自分はまだまだ」

◆3区・高林祐介(上野工高)

 「最低限の走りはできたと思う。2連覇、3連覇できるよう強い駒大を続けていきたい」

◆4区・平野護(出雲工高)

 「個人的には納得していないが、最後に優勝できてうれしい。チームの気持ちが一つになった」

◆5区・安西秀幸(会津)

 「優勝できてうれしいのひと言。この2年間、つらい思いしかなかった。苦労が報われた」

◆6区・藤井輝(一関学院)

 「思うように動かなかったが、タスキだけは途切れないようにした。みんながカバーしてくれた」

◆7区・豊後友章(鎮西)

 「往路のメンバーがしっかり走ってくれたので、自信を持って最後まで走ることができた」

◆8区・深津卓也(東農大二)

 「早大に追いつけなかったが、優勝できてうれしい。沿道で応援してくれたみんなのおかげ」

◆9区・堺晃一(飾磨工高)

 「自分のところで逆転し、太田が楽に走れるようにしたかった。絶対に優勝したかった」

◆10区・太田行紀(倉敷)

 「みんながタスキをつないでくれた。2位と差があったので、ゆとりをもって走れた」

★その時

 テレビ解説を務めた駒大OBで、男子マラソンの前日本記録保持者・藤田敦史(富士通)=写真右=は後輩の快挙をたたえた。「いつも練習している仲間たちが活躍してくれてうれしい」と笑顔。昨年9月、今季の駅伝で使用するタスキに在校生とともに自らの名前を記した。12月の福岡国際マラソンで8位に終わり、今夏の北京五輪出場は絶望的となったが、「現状に満足することなく、高みを目指してほしい」。無名からはい上がった後輩たちの姿が、自身にだぶってみえた。


■箱根駅伝

 世界最古の駅伝大会。世界に通じるマラソン選手育成を目的に日本初のマラソン五輪代表・金栗四三の発案で大正9年に始まった。10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝に続く学生3大駅伝の最終戦で、毎年1月2、3日に東京箱根間往復で実施。10区間217.9キロで争われる。参加校は19校に学連選抜を合わせた20チーム。最多優勝は中大の14度。昨年優勝は順大

駒大・過去の箱根駅伝総合優勝
往路復路
(76)平121位1位
(78) 142位1位
(79) 152位1位
(80) 161位1位
(81) 172位1位
(84) 202位1位