羽生、ゆづれない仙台への思い 挑むクワッドアクセル/東北スポーツ

 
故郷への思いを胸に、前人未到のクワッドアクセルに挑む羽生

 平昌五輪のフィギュアスケート男子で66年ぶりの連覇を飾った羽生結弦(23)=ANA=は、競技を通じて故郷・仙台の更なる発展を願う。杜の都の同じリンクで育った2006年トリノ五輪女王の荒川静香さん(36)らの支えもあって成長した絶対王者は、郷土愛を胸に秘め、前人未到のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑戦する。

 世界に名声を博そうとも、故郷への思いは色あせない。地元・仙台に対する羽生の感情があふれ出たのは、杜の都で平昌五輪からの凱旋(がいせん)パレードを行った4月末のことだ。

 「僕が仙台でスケートを続けられたのは、荒川さんがトリノ(五輪)で優勝して、リンクへの補助金や支援をしてくれたから。僕がそういう存在になれたらいい」

 女子の第一人者、荒川静香さんも拠点としたアイスリンク仙台で、幼少期に研鑽(けんさん)を積んだ。一時は経営難で閉鎖に追い込まれながら、環境改善を求めた荒川さんの呼びかけで県や市から補助金が集まり再建したリンク。2012年に拠点をカナダ・トロントに移すまで、羽生は故郷の支えで世界に羽ばたく足がかりを築いた。

 多くのスポンサーを抱え、かねて寄付金を送るなどして地元への感謝を形にしてきた。リンクで練習中に東日本大震災で被災した経験がある。五輪連覇をはじめ、世界で残し続ける結果がみちのくの灯火となるが、絶対王者は演技の進化でも希望を与える覚悟を持つ。

 前人未到のクワッドアクセル成功が新たな目標と明言する。けがを抱えた右足首の治療期間を終え、段階を踏んでジャンプ練習の強度を上げている。「(自分の活躍で)市や県を含めてスポーツが発展する機会になればいい」。自身のため、地元のため、挑戦心を貫く。 (鈴木智紘)

★アイスショーで会える

 羽生は25日に開演するアイスショー「ファンタジー・オン・アイス」(千葉・幕張など5会場)に出演する。その後は1998年の長野五輪・パラリンピック20周年を記念し、6月8~10日に長野市ビッグハットで行われるアイスショーの9、10日公演にも出演予定。来季は10月開幕のグランプリ(GP)シリーズなど、シーズン序盤から試合に臨む意欲を示している。

★平昌五輪VTR

 団体戦は欠場し、個人戦に専念した。昨年11月9日にNHK杯の前日練習で右足関節外側靱帯(じんたい)を損傷して以来、約4カ月ぶりに2月16日のショートプログラム(SP)に臨み、ブランクを感じさせない演技で4回転を含むジャンプの全てに成功。世界歴代最高の自己ベストに迫る111・68点で首位に立った。17日のフリーは206・17点で、合計317・85点で男子として66年ぶりの五輪連覇を飾った。

羽生 結弦(はにゅう・ゆづる)

 1994(平成6)年12月7日生まれ、23歳。仙台市出身。宮城・東北高から早大。ANA所属。2012年全日本選手権で初優勝。世界選手権は14、17年に優勝。GPファイナルは13~16年に男女を通じて史上初の4連覇。14年ソチ五輪で日本男子初の五輪金メダルを獲得し、今年の平昌五輪で66年ぶりの2連覇。1メートル72、57キロ。

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