2018.6.12 14:03

賀川浩氏、史上最年長W杯取材断念「負けたら、どの国でも日本よりも厳しく批判されます」

賀川浩氏、史上最年長W杯取材断念「負けたら、どの国でも日本よりも厳しく批判されます」

 W杯取材10回を誇る現役最年長のサッカージャーナリスト、賀川浩氏(93)が12日、ロシアW杯現地取材を断念することを明らかにした。これまで10大会の取材実績があり、日本人で初めてFIFA(国際サッカー連盟)会長賞を受賞。ロシア大会を取材すれば、93歳7カ月でW杯史上最年長の取材記者になっていた。大会を通じてサンケイスポーツに観戦記を寄稿する賀川氏に話を聞いた。

 --残念ながらロシアW杯での取材は断念されました

 賀川氏「体の調子にちょっと自信がないので、あきらめました。現地に行ってから何か起こったら周りに迷惑をかけることにもなります。年末で94歳。体調管理には慎重にならなければいけません。周りの心配の仕方も変わってきます」

 --取材すれば、W杯最年長記者になっていた

 「現場で会ったこともあるんですが、ウルグアイのディエゴ・ルセロさん(故人)という記者が93歳6カ月のときに、1994年の米国W杯を取材しているんです。それがW杯取材の最年長記録だったそうです。僕がロシアW杯に行けば、1カ月上回って、史上最年長になるということだったのですが(笑)。こればかりは仕方ありません」

 --ハリルホジッチ監督が解任され、西野監督が就任しました。テストマッチは2連敗で国内での盛り上がりは今ひとつといわれています

 「でも、なんやかんやいっても大会が始まったら盛り上がるでしょう。対戦相手がどこであろうと、日本がW杯に出ているということだけでもおもしろいわけですよ。最初はコロンビアですか。いきなりですね(笑)。2戦目のセネガルもやっかいでしょうね。コロンビアの有名な選手の力はわかっているけど、あまり有名でないセネガルのような選手の方が日本にとってやりにくいのではないでしょうか。ポーランドは昔からいいサッカーをしていたので、好きな国でした。1970年代に強くなり、72年のミュンヘン五輪で優勝し、74年西ドイツ大会で3位決定戦でブラジルを1-0で破って、3位になった。それからずっといいチームを作っている。日本がどれだけの試合をやってくれるか、本当に楽しみです」

 --日本は6大会連続でW杯に出場となります

 「出場を重ねてきて、岡田監督のときはこうだった、トルシエ監督のときはどうだった…と、それぞれのチームに対しての歴史ができてきた。W杯を楽しむ上での年輪というか、厚みができてきたから、ファンとしてはおもしろみが増していると思います。新聞としても、ものの書きようが増えているので、楽しみ方が増えているんじゃないでしょうか。ほかのスポーツと違って、世界中でやっているのがサッカー。負けたら、どの国でも日本よりも厳しく批判されます。そういう国が出てきて、すべてを懸けて試合終了までしのぎを削るのが、W杯。おもしろくないはずがない。試合が近づいてくれば、いろんな話題も出てきます。これから盛り上がっていくでしょう」

 --W杯取材の隠れた楽しみは何でした

 「ドイツのハンブルクの駅の書店に欧州中の新聞が売っていました。南米の新聞も一日遅れで届いていました。各国の新聞を読み、情報を集め、サッカーがどう世界で扱われていたのかよくわかった。それを見ることが開催地に行って取材する理由のひとつでしたね」

 賀川 浩(かがわ・ひろし) 1924(大正13)年12月29日生まれ、93歳。神戸市出身。神戸一中、神戸大、大阪サッカークラブでFWなどでプレーし、天皇杯準優勝も経験。52年産経新聞社入社。大阪サンケイスポーツ編集局長を経て90年からフリー。2010年に日本サッカー殿堂入り。15年日本人初のFIFA会長賞受賞。自身のサッカー関連蔵書が神戸市立中央図書館に寄託され、「神戸賀川サッカー文庫」として公開されている。W杯は1974年西ドイツ、78年アルゼンチン、82年スペイン、86年メキシコ、90年イタリア、94年米国、98年フランス、2002年日韓、06年ドイツ、14年ブラジル大会の10大会を現地取材。著書に「このくにのサッカー」-日本サッカーの「これまで」と「これから」(苦楽堂)「90歳の昔話ではない。古今東西サッカークロニクル」(東邦出版)などがある。

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