J1第31節(8日、川崎3−2千葉、等々力陸上競技場)川崎が1点を追う後半10分だった。右サイドからMF中村がペナルティーエリア内に突進し、相手DFに倒されPKを獲得。気迫のドリブルが逆転勝ちの口火になった。
「このゲームは大事だった。最後まで出るつもりでしたが…」。前日7日の練習中、右足に痛みが走った。この試合中もシュートを放った後、右足を引きずる姿を見せた。ハーフタイムに関塚監督から「大丈夫か」と問いかけられたが、「自分から『代わる』とは言いたくなかった」と、後半ロスタイムまで出場を続けた。
3日のナビスコ杯決勝で敗れ、表彰式でふてくされた態度に批判が集まった。試合前に武田社長以下、関塚監督、選手、スタッフ全員がスーツ姿でスタジアムを1周し、4カ所で整列して謝罪した。
ガムをかみ、出場停止処分を受けたDF森は号泣するなど異様な雰囲気の中、武田社長はフェアプレーの精神をサポーターに誓った。その再出発となる試合。しかも負ければ首位陥落があり得る。他の選手と同じように、中村にとっても大事なゲームだった。
前半は意識が過剰になったのか激しい当たりが影を潜め、ぎこちないプレーが目立ったが、最後まで警告を受けなかった。誓った「フェアプレーで勝つ」ことを実践した。「これでいいというわけではないが、こんな試合を続けていきたい」と選手たちは口をそろえた。
残り3試合。指揮官は「重みのある1勝」と首位キープに手応えを口にした。汚名をそそぎ、初タイトルへと突き進む。(宇賀神隆)