J1第31節(8日、川崎3−2千葉、等々力陸上競技場)川崎には、いつもと異なる雰囲気が漂っていた。主審の笛には不満をあらわにせず、接触プレーで倒れた相手には必ず手を差し伸べる。フェアプレーに徹しながら、土壇場でもぎ取った勝利。中村は「ただの1勝ではない」と実感を込めた。
3日のヤマザキナビスコ・カップ決勝に敗れ、表彰式でふてくされた選手の態度に批判が集まった。幹部は謝罪に奔走し、選手間には大きな動揺が広がった。フェアプレーを誓った再出発の初戦。だが過剰な意識は闘争心の低下も招いてしまったのか。前半は激しい当たりが影を潜め、3日の試合と同じく先制を許した。
この苦境を打破したのは、持ち前の攻撃力だった。後半10分、中村の突破で得たPKで同点に追い付くと、25分には逆転。大詰めで追い付かれたが、「まだ時間はあった。ゴールだけ考えていた」というレナチーニョが、カウンターから決勝ゴールを奪った。関塚監督は「ナビスコの時のようにバタバタしなかった」と評価した。
劇的勝利で首位を死守し、ナビスコ杯の醜態で負った傷が少しは癒えただろうか。中村は「前を向き、恥じないプレーを続けたい」と誓った。