どうだ見たか!! 延長突入は確実かと思われた1−1の後半43分。同16分からピッチに立ったFW李が左足を振り抜いた。ポストに当たったボールが相手ゴールへ突き刺さる。柏サポーター総立ちの中、ベンチの石崎監督へ駆け寄った。
「やっと決められた。途中から(の出場)でふざけんなと思ったけど、オレが流れを変えなきゃいけない、と」
指揮官は「忠成の勝ちたい気持ちがゴールになった」とうなりつつも、「点を取ったら(試合中は)ボクに触ってはいけない」という10年以上前からの縁起担ぎのため、猛ダッシュ。抱きつくつもりが逃げられた李は、あこがれの大先輩、三浦知良(横浜FC)の「カズダンス」を披露して、喜びに酔いしれた。
「最低の年だったけど、最後に自分の得点で締めくくれた」。昨年、韓国から日本に帰化し、念願の北京五輪代表に。しかし1次リーグ3戦全敗の無残な結果に終わった。9月には故障の左ひざ半月板を手術もした。
リハビリ中、大好きな元オランダ代表FWファンバステンやC・ロナウド(マンチェスターU)らをビデオで研究した。この日の一発はそのイメージ通り、1度フランサにボールを渡してDFの裏をかいたもの。「実践できてよかった」と声を弾ませた。
相手のFC東京にはユース時代から所属。04年にトップチームに昇格したが、公式戦に出場できないまま放出された悔しさも晴らした。元日の国立は「あこがれの夢舞台」。チームのため。そして「最後はイシさん(石崎監督)のため」。新たなサッカー人生を与えてくれた恩師に日本一の栄冠を手渡すまで、恩返しは終わらない。(丸山汎)