2007年01月01日 更新

第85回全国高校サッカー選手権大会

八千代が考えるサッカーで大金星!戦後最多優勝の国見を撃破

PK戦を制した八千代は肩を抱き合い(円内も)、敗れた国見はピッチに崩れた。これほどのコントラストはない=撮影・戸加里真司

PK戦を制した八千代は肩を抱き合い(円内も)、敗れた国見はピッチに崩れた。これほどのコントラストはない=撮影・戸加里真司

 第85回全国高校サッカー選手権第2日(12月31日、柏の葉総合競技場ほか)1回戦が行われ、優勝候補の一角で9年ぶり7度目出場の八千代(千葉)が、戦後最多6度の優勝の国見(長崎)を0−0の末のPK戦(5−4)で下した。21年連続21度目出場の名門を初の初戦敗退に追い込む金星を飾った。

 6人目のキッカー、MF新里彰平(3年)が右隅にきっちりと決めた瞬間、八千代イレブンの顔はクシャクシャだ。涙で崩れる国見イレブンを横に、新サッカーどころの千葉の代表・八千代が、高校サッカーの歴史に新たな1ページを記した。

 「うれしいです。国見相手ということは意識していなかった。勝ち進んで優勝を目指したい」

 J1千葉入りが決まっているMF米倉恒貴主将(3年)が自信満々に優勝宣言までした。結果的にPK戦勝ちだったが、得意のパスワークとサイド攻撃で、国見の倍以上のシュート15本(国見は7本)と内容で圧倒。圧倒した。今回は前評判が低かったとはいえ、戦後最多6度優勝の国見撃破に手応えは十分だ。

 「勝つことだけではなく、卒業後にも生かせるものを身につけさせたい。蹴って走るのは大人になってからはできない」−。これが、就任7年目の砂金伸監督の信念。高校選手権はトーナメントで勝利至上主義的な指導、戦術をとりがちだが、一線を画してきた。

 この日、日本代表のオシム監督が観戦したが、J1千葉も指導した名将も重視する基礎技術、自ら考えてプレーする方法を徹底してきた。体力任せのロングポール主体のサッカーでなく、プロ、大学でも通用するよう基本に裏付けされたものを目指した。結果、進学校ながら、米倉やJ1磐田入りが決まっているFW山崎亮平(3年)らタレントが生まれた。

 偶然にも、優勝を使命づけられ、勝つためにフィジカル重視でマンマーク戦術をとる国見はプロ入りの3年生が0人。

 勝利に満足せず「もっといいプレーを出せるようにしたい」と米倉。次戦は初出場で鵬翔を下した尚志(福島)。次こそ、攻撃サッカーを展開し、頂点に向かう。

(近藤安弘)

★J内定者0、各年代代表も0…国見はタレント不足に泣く

 連続出場の大会記録更新中の国見が初の初戦負け。過去に2回戦敗退が3度あっただけで、通算65勝14敗だった。理由は小嶺忠敏総監督が「厳しい年だった」と話すようにかつてのFW大久保(現C大阪)、FW平山(現FC東京)のような逸材がおらず、3年生でJリーグ内定者は0で、各年代の代表も0とタレント不足。同総監督は定年する昨年度まで校長を6年間務め、その間のスカウト活動や指導が不十分だったことを示唆し、今後については「時間をかけてじっくりとやります」と通算7度目の優勝に向け、復活を誓った。

★オシム監督が八千代−国見を視察「日本はよくなる」

 日本代表のオシム監督が、八千代−国見、尚志−鵬翔戦が行われた千葉・柏の葉公園総合競技場を訪れた。関係者によると、高校サッカーのレベルを知るために優勝候補の八千代と名門・国見の視察を希望。「(出場校は)4000校の代表だろ。20万人以上いるだろうがこの後はサッカーをやるのか? 受け皿がもっと増えれば日本はよくなる」と話すなど真剣な表情だったという。選手権は初観戦の同監督は試合後「(八千代と尚志は)2日に市原臨海競技場でやる。また会いましょう」と2日も視察することを明かした。

★福島の“野生守護神”松浦がPK止めた!尚志は初戦突破

 初出場の尚志(福島)が、4年連続11回出場の九州の強豪・鵬翔(宮崎)を0−0の末のPK戦(4−2)で下した。立役者はGK松浦和己(2年)。シュート20本の猛攻に耐え、PK戦では味方が外して2−2で迎えた3本目をセーブ。「PKはあまり得意じゃなかった。みんなから“野生児”と呼ばれるんですが、最初からとぶ方向を決めてとびました」。次戦は昨年3月に0−5負けした八千代(千葉)。守護神は「あの時は悔しい思いをした。次は勝ちたい」とリベンジに燃えていた。

(柏の葉)

★武南・松永の技あり弾で勝利、次戦は強敵の滝川二

 第60回大会覇者で埼玉の強豪武南が3年ぶりの出場で初戦を突破した。前半29分に1メートル85の長身FW松永七海(3年)が跳び上がりながら浮き球パスを右足で決めた。「GKが前に出てきたのが冷静に見えた。絶対に来ると信じて落ち着いて上を狙った」と松永は喜んだ。次の相手は優勝候補の滝川二。後半は運動量が落ちてピンチの連続だっただけに大山照人監督は「弱点を滝川二にいっぱい見せちゃったね。死に物狂いでやらないと」と渋い表情だった。

(埼玉ス)

★8強入りへ弾み!青森山田が前半3得点で完勝

 上位進出を狙う青森山田(青森)が完勝した。前半24分までに3点を奪い、後半は負傷を抱えるフランクをベンチに下げるなど、余裕を持った戦いで逃げ切った。黒田剛監督は「前半で3点取れたのは上出来。上を見据えた戦いができた」と満足そうだった。10年連続出場の実力校も、過去4大会はいずれも3回戦で敗退し、8強入りを逃している。MF板倉大智主将(3年)は「もっとプレーの精度を上げて、ベスト16の壁を破りたい」と意気込んだ。

(西が丘)

★魅せた“二人だけの世界”!鹿島学園が竹内兄弟の活躍で快勝

 鹿島学園(茨城)はともにMFの双子の竹内智也・裕也兄弟(3年)が後半2得点し、高知に3−0で快勝した。先制したものの相手に流れが傾きかけていた。そんな時間帯だった後半24分に弟の裕也、7分後に兄の智也が加点。鈴木雅人監督は「僕らが知らない二人だけの世界があるのかな」と言う。鮮やかなFKで3点目を決めた智也は「二人の世界?ありますよ…」と真顔だった。

(等々力)

★東海大三は2−3で競り負け、奈良井薫監督「ノロの影響はあった」

 東海大三(長野)は主力2人が大会直前にノロウイルスに感染して体調を崩した影響もあって、一条(奈良)に2−3で競り負けた。25日ごろから下痢や嘔吐の症状が出て体重が4キロ減ったMF木下修(2年)は後半14分に途中交代。「全部出たかった。体力的にはいけると思ったんですけど…」と無念の表情を浮かべた。奈良井薫監督は「ノロの影響はあった。木下は精彩を欠いていた」と主力の体調不良を嘆いた。

(駒沢)