日本、豪州に痛恨の逆転負け−俊輔先制弾も悪夢の3失点

3−1で豪州に逆転負けし、顔を覆う日本代表DF宮本(ロイター)

3−1で豪州に逆転負けし、顔を覆う日本代表DF宮本(ロイター)

日本―オーストラリア 前半、中村の放ったクロスがGKシュウォーツァーの上を通過し先制ゴールとなる=カイザースラウテルン(共同)

日本―オーストラリア 前半、中村の放ったクロスがGKシュウォーツァーの上を通過し先制ゴールとなる=カイザースラウテルン(共同)

日本―オーストラリア 前半、後半、逆転され舌を出す中田英(右)=カイザースラウテルン(共同)

日本―オーストラリア 前半、後半、逆転され舌を出す中田英(右)=カイザースラウテルン(共同)

W杯第4日(12日、カイザースラウテルンほか)1次リーグ3試合を行い、F組の日本は豪州と対戦。試合終盤に連続ゴールを許し、1−3で敗れた。豪州はW杯初勝利。

日本はMF中村(セルティック)が前半26分に先制ゴールを挙げ、1−0とリードして前半を折り返した。しかし、後半も終盤になってケイヒルに同点ゴールを許すとその後立て続けに失点した。F組のもう1試合、ブラジル−クロアチアは13日に組まれている。日本はこの後、18日にクロアチア、22日にブラジルと顔を合わせ、2大会連続の決勝トーナメント進出を懸ける。 (共同)

◆1次リーグ グループF(12日、カイザースラウテルン)
豪 州
(42位)
0−1
3−0
日 本
(18位)
得点】(日)=中村、(オ)=ケイヒル2、アロイジ
※カッコ内の順位はFIFAランキング

★やはり響いた決定力不足―日本、悪夢の3失点

追加点の機会はあった。それを生かせなかったことで、悪夢のような結果を招いてしまった。ラッキーなゴールだけで勝てるほど、W杯は甘くなかった。「試合運びにミスがあった。多くのシュートチャンスも逃した。もう1点を奪えず、相手に盛り返されてしまった」。ひきつった表情で、ジーコ監督は痛恨の逆転負けを振り返った。

先制したのは日本。前半26分、中村が右の浅い位置からゴールへと向かうクロスを送り、飛び込んだ高原と柳沢が相手GKと守備陣の動きをブロック。ボールはそのままゴールへ吸い込まれた。だが、待望の先制点が生まれたことで、逆に何かが狂った。

ハーフタイムにジーコ監督は言った。「リードしているサッカーをしよう」。その言葉を実践できる地力があると信じたはずだが、選手の気持ちが守りに入った印象はぬぐえない。後半、守備陣の踏ん張りは光ったが、攻撃からは迫力が一切伝わってこなかった。

豪州のロングボール攻撃をはね返し続ける中、後半31分には、試合を決定付ける絶好機が訪れる。一気のカウンターからドリブルで駆け上がる高原。左にはフリーの柳沢がいた。打ってもいい場面で選択はパス。しかも走り込む柳沢の後方に出した。スピードを失った柳沢のシュートは情けないほど威力なくGKの胸に収まった。

「カウンターで2点目を取ろうと狙っていたけれど…」とうなだれた高原。ジーコ監督も焦ったのか、FW柳沢を下げ、小野を投入。守備的な意図はなかったと説明したが、さらに点を取る意識は薄れた。

後半39分、それまで美技連発で窮地を救ってきたGK川口に痛恨のミスが出る。相手のロングスローに飛び出したが、ボールに触れない。こぼれ球を決められ、ついに同点ゴールを許した。集中が切れたか、その後2失点。無残な黒星だけが残った。

宮本は「きょうの負けは想像していなかった」と放心したように話した。最後の6分。日本はサッカーの怖さを思い知った。

★日本の守備、決壊―揺らぐ「ジーコの哲学」

ここからが勝負のはずだった。緑のピッチにくっきりと影をつくった強烈な日差し。日本代表にとって3度目のW杯の大舞台は、いきなり暑さの中での消耗戦となった。ゴール前に殺到する豪州選手を、体を張った守りでしのいでいた日本の守備網が、決壊した。

後半39分に、交代出場のケーヒルに同点ゴールを許すと、その後もゴール前でくぎ付けとなった。44分にケーヒルの連続ゴールで勝ち越しを許すと、ロスタイムにはこれも交代出場のアロイジに痛恨の追加点を奪われた。ロスタイムを入れると残り10分足らずの間に3失点した。

少ない好機を確実にものにして「勝ち点3」を得るというプランがこのわずかの間に崩壊していった。勝ち点「3」が、同点で「1」に減り、勝ち越されて「0」に。ジーコ監督は「小差の負けでも苦しいが、ここまで点差が開くと…。3点目が痛かった」。前日までの自信に満ちた表情がゆがんだ。得失点差を考えても、1次リーグ突破が難しくなった。

欧州のクラブで経験を積んだ「欧州組」と、それに刺激されて成長した「国内組」の力が融合。その成果を示すはずの舞台だった。しかし、再び突きつけられたのは、圧倒的な個人の体力差と勝利に対する執念、集中力の差だった。負けてみれば、ジーコ監督の采配(さいはい)にも疑問が残った。

前半26分にMF中村俊輔の幸運な得点で先制すると、ジーコ監督は「暑いのでボールを動かして相手を動かそう。リードをしているサッカーをしよう」とハーフタイムに指示した。しかし「守りの意識」が災いしたのか、日本のラインは豪州の圧力を受けて後退を続け、最後は圧倒的な黄色い波に飲み込まれた。

日本は02年大会で地元の利を生かしながら決勝トーナメントに進んだ。トルシエ前監督がつくりあげた組織的なサッカーが功を奏した。引き継いだジーコ監督が、4年間をかけて追求してきたのは一転して「個」の輝きを増すことだった。その「ジーコの哲学」が、初戦でいきなり揺らいだ。強豪クロアチア、ブラジルと戦う残り2試合に、傷心の日本は反発力を示すことができるか。これまで何度も逆境を乗り越えてきたジーコ監督は「少なくとも次のクロアチア戦は勝ちにいくしかない」と前を向いた。

★GK川口、好セーブ連発も痛恨ミス

待ち焦がれた瞬間は訪れなかった。GK川口は終了の笛が鳴ると、逆転負けに悔しさを通り越して立ち尽くすしかなかった。3度目のW杯。守護神として1998年大会以来、8年ぶりに立ったピッチで、またも勝利の笛は聞けなかった。

前半から好セーブを連発し、チームの流れを引き寄せた。だが後半39分、相手のスローインに飛び出し、ゴール前で競り負けてゴールを許す痛恨ミス。事態は暗転した。「同点にされた後にチームが、自分が考えていた以上に下を向いてしまった」と川口。豪州の信じられないゴールラッシュに何もできなかった。

屈辱を乗り越え、たくましく成長した川口は終盤までチームに落ち着きを与えていた。開始早々の6分、抜け出してきたビドゥカの左からの強烈なシュートを立て続けにはじき返し、後半24分の自陣ゴール前のFKでも強烈なシュートを横っ跳びではじき出した。落ち着き払った鋭い反応は神懸かり的でさえあった。

「リラックスした中にも闘争心がわいてきている」と言っていた通り、大きな声で味方に指示を出し、守備も統率した。「シビアな状況になればなるほど、判断をクリアにしないといけない。白黒はっきりしたプレーをする」との言葉が当てはまる奮闘ぶりだったが、サッカーの怖さを思い知らされる展開だった。

前回の日韓大会は正GKをライバルの楢崎に譲り、1度も試合に出場できなかった。「いろんな意味で屈辱的な思いをした」という。それでもすべてを受け入れ、人間的にも大きく成長してW杯の舞台に戻ってきた。

3失点。大きなダメージを受けたのは間違いない。「どう立て直すかが勝負になる」と話す川口は次のクロアチア戦で、勝利の笛を信じて上を向くしかない。