イタリア“PKの壁”ついに破った!全員サッカーで頂点へ!
4度目の優勝を果たし、ワールドカップトロフィーを掲げて喜ぶイタリアイレブン=ベルリン(共同)
リッピ監督もW杯トロフィーの感触を確かめた(共同)
W杯決勝 最終日(9日=日本時間10日、ドイツ・ベルリン)イタリア代表が24年ぶり4度目の優勝を飾った。3戦3敗だったPK戦を制しての優勝は“ヒーロー不在”が呼んだものだった。10人12ゴールというW杯最多得点者タイを記録した“全員サッカー”こそ強さの源。不正疑惑、自殺未遂、離脱者続出…。苦難を乗り越えたアズーリ(空色=イタリア代表の愛称)の前に、立ちふさがるものはいなかった。
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国歌『イタリアの兄弟』がいつまでも鳴り止まなかった。ナチス統制下で行われたベルリン五輪で優勝してから70年。同じ舞台オリンピア・シュタディオンで、主将DFカンナバーロは5キロのW杯トロフィーを高々と夜空に掲げた。
「チャンピオンズリーグもスクデット(リーグ優勝)も獲ったが、W杯での優勝がここまで感動するものとは…」。リッピ監督は普段ピッチでは禁止されている葉巻を吸うと、こみ上げる涙にトレードマークのメガネを外して顔を覆った。
GK以外の全選手が出場。全12ゴールを実に10人(フランスは4人)で挙げた。82年スペイン大会のフランスと並ぶ最多得点者タイ記録。MFジダンに大会MVPが渡ったのも、それはチーム内で票が割れたから。“ヒーロー不在”が強さの源だった。
開幕前、ユベントスによる審判操作疑惑が他クラブを巻き込む“カルチョ・スキャンダル”に発展。元代表DFペッソット氏の自殺未遂事件も起こった。守備の要DFネスタの負傷もあった。しかし、激しい下痢を「氷を尻に詰めて耐えた」というMFガットゥーゾは「問題がなければ優勝もなかった。フランスは5つ星ホテルで僕らは1つ星。でも、僕らは個性が溶け合う海を持っている」と得意の詩的な表現で結束を強調する。
ローマ、ナポリなど地域への誇りに比べて国への愛が薄いとされるイタリア。国歌を歌わない選手も問題になった。MFトッティは「大声で歌ってまとまるなら簡単。この23人は国歌を心に刻んでいる」と振り返る。前回優勝の82年スペイン大会同様、リーグの不正疑惑で国民の心が離れようとしているときに再び選手は結束した。
「カンピオーニ・デル・モンド!(世界チャンピオン)」。23選手がこう叫ぶと、応援に駆けつけた“82年戦士”バレージ氏、アントニョーニ氏ら死去したシレア氏を除く22人も続いた。長かった1カ月の死闘。24年のときを超え、アズーリはカルチョの誇りを世界に示した。
(志田健)
■W杯データBOX
イタリアが優勝。最多5度のブラジルに次いで歴代単独2位となる4度目の栄光を手にした。この2カ国に続くのが3度の西ドイツ、2度のアルゼンチンとウルグアイ、そして1度のフランスとイングランド。これら7カ国以外の新たな優勝経験国は生まれなかった。
■イタリアとPK戦
イタリアがW杯でのPK戦を初めて制した。W杯史に残る“PK戦の不運”を吹き飛ばした。自国開催90年大会のアルゼンチンとの準決勝、至宝バッジョも外した94年米国大会のブラジルとの決勝、98年フランス大会のフランスとの準々決勝と3大会連続でPK戦敗退を味わっていた。これが“4度目の正直”。同じようにW杯でPK戦を“苦手”にするのがイングランドで今大会の準々決勝・ポルトガル戦に敗れて3戦3敗、対照的に“得意”なのがドイツで今大会の準々決勝・アルゼンチン戦に勝ち4戦4勝となっている。
★マテラッツィ、同点弾&レッド誘発…諸説飛び交う暴言内容
DFマテラッツィはいったいジダンに何を言ったのか−。決勝はPK献上&帳消し同点弾にもかかわらず、試合後は混乱をおそれたイタリア・サッカー協会が取材ゾーンで発言を控えさせた。ジダンも黙秘していることで、世界の関心は“そのひと言”に集中した。
フランスのニュース専門テレビLCIの記者は「人種差別的な内容、あるいは家族に関する内容では」と推測。ジダンはアルジェリア移民の息子という事実を念頭に置いている。AP通信は、イスラム教国アルジェリアにいるジダンのいとこの話として「テロリスト」呼ばわりされたのではないかというフランス語の記事を配信した。
謎に満ちた決勝の翌10日、ジダンの代理人は「こんな形で終わらせたくなかった、と本人は言っている。どうやら母親のことを侮辱されたようだ」と説明。また詳細は来週中にも明らかになるとしているが…。
★トッティ、代表引退か近日中に決断
代表引退を示唆していたイタリア代表MFトッティ(ASローマ)は「家族と一緒にいる時間を大事にしたい。あまりに多くのプレッシャーがありすぎる。妻と話し合い発表する」と近日中に最終的な決断をすることを明かした。また、今大会のほとんどを負傷欠場したDFネスタ(ACミラン)は「ヨハネスブルクがある」と34歳で迎える次回10年南アフリカ大会を目指しての代表継続を宣言した。
★カンナバーロ、代表通算100試合目飾った!
イタリア代表DFカンナバーロ(ユベントス)は「きょうはカップと一緒に眠りたい」と代表通算100試合目を最高の形で飾り笑顔を振りまいた。僅差でゴールデンボール(大会MVP)は逃したが、1メートル75と小柄な体格ながら、1メートル88の相手エースFWアンリに仕事をさせなかった。2失点でのW杯最少失点優勝タイ記録をGKブッフォンとともにけん引した。
★イタリアの不正疑惑問題…処分軽減望む声も
ドイツW杯決勝に計8選手が出場したセリエA・ユベントスは、セリエC1(3部)以下のリーグに降格し、昨季と今季のスクデット(リーグ優勝)を剥奪される可能性が高くなっている。
元GMが主審の指名に介入した疑いなどでトリノ検察当局の取り調べを受けて裁判中。事件にかかわったとされるフィオレンティーナ、ラツィオ、ACミランにも厳しい処分が下される見込みだ。今月上旬にユベントスはセリエB(2部)降格なら上訴しないとの司法取引を提案。イタリアのW杯優勝で閣僚や国会議員からも、処分軽減の恩赦を望む声が出てきている。
マステラ法相は「国民の多くは『恩赦』を望んでいる」。左派議員からは「決勝に8人の選手がいたことで、不正で優勝したのではないことが証明された」との声も。ただ、恩赦反対の声も依然多数を占めている。
★ローマ凱旋V報告…伊紙熱狂「すべてが真実」
イタリア代表は決勝後、すぐにベースキャンプ地のドイツ・デュイスブルクに戻り、翌10日にはイタリアの首都ローマに凱旋した。同市内の古代遺跡チルコ・マッシモで“優勝報告会”を行うと、集まったサポーターは大歓声でお祭り騒ぎだった。10日付の伊紙ガゼッタ・デロ・スポルト紙は「TUTTO VERO!(すべてが真実)」の見出しで、審判の不正などなくても真の勝者であることを強調。15ページに渡って記事を掲載した。
★ちなみに日本は6億円…W杯賞金
優勝したイタリアは国際サッカー連盟(FIFA)から2450万スイスフラン(約23億円)の賞金を受け取る。賞金額は順位で差がつけられ、2位のフランスは2250万スイスフラン(約21億1600万円)。3、4位が2150万スイスフラン(約20億2000万円)を受け取る。日本など1次リーグ敗退のチームには700万スイスフラン(約6億6000万円)が分配される。
◆最優秀GKに贈られるヤシン賞に輝いたイタリア代表GKブッフォン(ユベントス)
「子供のころから描いていた夢がついに現実になった。個人の力量ではない。グループで勝ち得たタイトル。人生最良の日だ」