2006年06月28日 更新

オシムJAPAN誕生か!?就任要請受諾へ前向きな意向示す

オシム氏(右)

オシム氏の胸ポケットにはパスポート。会見前にしていたのは、田嶋委員長との代表監督準備だったりして…(撮影・森本幸一)

グラーツ(オーストリア)27日=須田雅弘】早ければオシム・ジャパンが6・29“誕生”へ−。J1千葉のイビチャ・オシム監督(65)が27日、オーストリアの自宅で日本サッカー協会・田嶋幸三技術委員長(48)から正式に次期日本代表監督の就任要請を受け、受諾に前向きな意向を表明した。今季いっぱい契約がある千葉との関係を考慮して即答は避けたが、来日する29日に予定される千葉との緊急会談で態度を明らかにする方向。新生ジャパンがいよいよ動きだす。

2階に玄関があるオーストリアのオシム邸。待ち受ける各国40−50人の報道陣の前に現れたオシム氏と田嶋技術委員長はともに笑顔だった。まるでスターが凱旋するようにそろって階段を降りてきた。

「オファー? 何のオファーだ。契約? 契約とはサインをしなければ意味がないもの。サインしていなければ、まだいつでも降りるチャンスがあるということだ」。第一声から独特の“オシム節”。その後の言葉にもジョークを交え、キレはいつものままだった。明確な意思はオブラートに包んだが、正式交渉を終えた2人に後ろ向きな様子はまったくなかった。

田嶋委員長は27日午前10時にグラーツ空港に到着してオシム邸に直行。「具体的な契約内容を紙に書いてお渡しした」と2度目となる自宅訪問で日本代表監督就任を正式要請した。「最後まで話を聞いていただき、ポジティブに考えている」と受諾への手応えも明かした。

交渉は1時間半。オシム氏は「テクニカルな話をした。誰がプレーするか、MFとかトップとかDFとか。だれが将来的にプレーするか…。日本のサッカー、Jリーグを含めての話をした」と告白した。契約期間は「いきなり4年は長すぎる。合わないこともある」と2年契約プラス2年のオプションを希望。そのほかは条件面を詰める「交渉」というより、今後の日本代表について語り合う「スタッフ会議」の様相だった。

受諾は確実な情勢だ。ただ、筋を通そうとするオシム氏は、千葉との契約が今季いっぱいあるだけに「決定は容易ではない。まず千葉の社長や選手と話をしなければ…。私を今まで助けてきてくれたのは彼ら」と慎重だった。態度表明は29日に来日して千葉と直接会談してからとする見込み。7月中旬までに日本サッカー協会と千葉による“4者会談”、さらに同協会理事会での承認と段階を踏んでいくことになるが、早ければ6月29日に事実上、オシム・ジャパンが“誕生”することになる。

「W杯での日本代表はもっといいプレーができた。しなければならなかった」

会見後は自分が運転するマイカーで田嶋委員長をグラーツ空港まで送った。途中、行きつけの店でオーストリアの郷土料理を振る舞った。いよいよ新生日本代表が動きだす。90年イタリアW杯で母国の旧ユーゴスラビアを8強に導いた名将が、日の丸サポーターの願いをかなえていく。

★オシム氏に聞く

 −−田嶋委員長とはどんな話を 「サッカーの話。テクニカルなことを話した。私は政治家ではない。政治は小泉さんがやっているのでしょう」

 −−日本代表監督になることを想像できる? 「考えるだけならすべてのことができる」

 −−日本の実力はどれくらいのものか 「私は裁判官ではないから分からない」

 −−日本のサッカーについて 「日本の精神性なのか、いつもフェアにプレーしようという“引き下がったメンタル”を改善するのは難しい」

 −−日本を中心に40−50人の報道陣がきた 「日本は人口1億3000万人もいるから。でも私はあした日本に向かうので、買い物とかたくさんやりたいことがあるんだ。忙しい。こんなに集まってもらい、あまり心地いいものではない」

 −−決定は日本に行ってから? 「決定は容易ではない。まず千葉の社長と選手と話をしなくては」

 −−夫人も協力? 「私と妻がチームになるかって? 妻はいつも一緒についてくる。私を批判する人間がいつも1人はいるようにね」

★川淵キャプテンは慎重

田嶋技術委員長から交渉経過を聞いた日本サッカー協会・川淵三郎キャプテンは「報告は受けたが、千葉と話し合いをするまで協会としては結論を出さない」と慎重に交渉を進める姿勢を示した。オシム監督が受諾の方向で進展した場合には、田嶋委員長がW杯決勝の視察から帰国後の7月12日にも、川淵&田嶋の協会サイドと、千葉・淀川社長、オシム監督との“4者会談”で最終合意を目指すことになる。

■初陣はトリニダードトバゴ戦

川淵キャプテンは27日、新生日本代表の初陣8月9日の親善試合(国立)の相手に、北中米カリブ海代表でドイツW杯に出場したトリニダードトバゴと交渉していることを明らかにした。トリニダードトバゴはFIFAランク47位(日本は18位)で、W杯は1分け2敗で1次リーグで敗退した。同キャプテンは「初戦はW杯に出た国と対戦できないか」と指示していた。近く合意に達する見通しだ。

★千葉は今季中の残留要請も「追いつめたくない」

千葉・淀川隆博社長は27日、オシム監督が来日する29日に緊急会談を開くことを明かした。同監督から意思確認などはしておらず、クラブとしてはこの日の田嶋技術委員長との交渉内容に関係なく、本人と直接会って契約の残る今季中の残留を要請する意向だ。

オシム監督も千葉幹部や選手らとの話し合いを求めているが、29日はちょうど練習始動日で選手は全員が集結する。選手会長のDF坂本らも同監督の意向を聞きたがっており、意見交換しながらの“緊急ミーティング”になるとみられる。

淀川社長は「この1日(29日)ではっきりしないという感じがする。オシムさんを追いつめたくない。ジェフも代表も辞めた、となってしまったら不幸なこと」とクラブとしては結論を急がない方針を示した。

■組閣人選は全権委任

元名古屋でセルビア・レッドスター会長のストイコビッチ氏が日本サッカー協会からスタッフ入りの打診を受けたとされる問題で、川淵キャプテンは「少なくともボクは知らない」と事実関係を否定した。ただし「オシム監督のスタッフなどの要求は無条件で聞くつもり」と組閣人選などは全権委任する意向。「ストイコビッチはあくまでオシム次第」とスタッフ入りの可能性は示した。