2006年06月22日 更新

ジーコ日本、きっと奇跡は起こる!黄金の中盤でブラジル撃破に挑む

ジーコ監督(中)

ジーコ監督(中央)はあくまでも先発メンバーを隠した。ブラジルに情報は渡さない−。それが奇跡につながるなら手段は選ばない=撮影・小倉元司

ドイツW杯(21日、ボン)“最初で最後”のジーコのカーテン! 日本代表は22日のブラジル戦(日本時間23日午前4時開始)に奇跡の1次リーグ突破を懸ける。最低でも2点差以上の勝利が絶対条件となる過酷な戦いを前に、ジーコ監督(53)は試合会場で行われた公式練習で“先発隠し”を敢行した。試合の先発メンバーを未公表とするのは、02年10月の初陣以来初。ブラジルには少しの情報も渡さない−。4年間守り続けたポリシーをかなぐり捨て、がむしゃらに母国撃破に挑む。

厚い雲に隠れたドルトムントの太陽のように、日本のブラジル戦先発11人も隠された。奇跡を懸ける母国との一戦に、ジーコ監督が初めての策を講じた。

「布陣はいえない。試合の日に分かる。言う必要がない。隠しごとをするのは、これが最初で最後。しかし、これで雌雄が決するわけじゃない。今まで言ってきたのだから許してください…」

試合2日前にボンで行われた20日の練習後、ブラジル戦のスタメンについてジーコ監督はこう答えた。場所を試合会場のドルトムントに移したこの日の公式練習でも、ミニゲームは先発組と控え組が推測できない組み分けのまま進む。決戦前日になっても、この“先発隠し”の気持ちは変わっていなかった。

初陣02年10月16日のジャマイカ戦以来、全71試合(山本監督代行が指揮した1試合を含む)で試合前日までに先発メンバーを公表してきたが、今回は初めてジーコのカーテンが引かれた。すべては決勝トーナメント進出への絶対条件となる2点差以上の勝利を実現させるためだ。

小野

ポリシーを曲げたといっていい。前回02年日韓大会を率いた前任のトルシエ監督とはまったく逆に、ジーコ監督は4年間ずっと「公開練習」としてきた。今大会中の練習も出場32カ国中唯一、すべての時間を「公開」し続けた。日本代表の戦いに興味を持つサポーターを大切に考え、メディアを通して情報を開示するためだ。今回のブラジル戦前に「非公開練習」としなかっただけでもジーコ流か、日に日に人数が増す母国メディア、ブラジルにポイントになる情報だけは渡さないという決断だ。

稲本

累積警告で出場停止となる主将DF宮本に代えてDF坪井を入れることだけは明言したが、あとはシステムもメンバーも隠し通した。FWは不振の柳沢&高原を外し、控えの大黒、玉田、巻を入れるのか。2点差以上の勝ちを考え、攻撃的な4−4−2をさらに強力にするには、中田英&中村俊輔のW指令塔、ボランチ(守備的MF)に小野=写真左、共同=&稲本=同右=を据える『黄金の中盤』も可能性の1つになってくる。

「先発メンバーは今回だけは語るべきものではない。勘弁してほしい。いつもと違うシチュエーションであるということなんだ」

公式練習後、やはりジーコ監督の口は閉ざされた。日本代表監督として最後になるかもしれない一戦。必死だ。まだ日本が勝ったことのないブラジルからの勝ち点3。奇跡の扉は、確かに無策で開けることはできない。

(須田雅弘)

★母国メディアは英雄に同情!?

18日のクロアチア戦ドローから、ジーコ監督の母国ブラジル・メディアの数が急増中。同監督がポルトガル語で応対するシーンが目立ち、「数字的に1次リーグ突破は難しいと思うが…」などと質問され、同時に同情的な視線を浴びている。母国との戦いに最低2点差以上で勝たないと1次リーグ突破の夢はかなわない。あまりに皮肉で過酷な状況だが、同情なんてされたくない…とばかり「可能性があるうちはあきらめない!」と“日本のジーコ”は必死に応戦している。

★日本の1次リーグ突破条件

日本はすでに1次リーグ突破を決めているブラジルに勝つことが絶対条件。しかも、同時刻に行われるクロアチア−豪州の結果に左右され、勝ち点で並んだ場合【1】総得失点差【2】総得点【3】当該チーム間の成績【4】抽選−の争いに突入する。豪州が勝つと豪州が生き残り日本はアウト。引き分けなら日本と豪州の総得失点差、クロアチアが勝つと日本とクロアチアの総得失点差で最終順位が決まる。いずれの場合も、日本が決勝トーナメントに進出できる2位になるためにはブラジルに最低でも2点差勝ちが必要になる。

■データBOX

ブラジルは18日の豪州戦(〇2−0)までW杯通算61勝14分け(PK決着含む)13敗。この13敗のうち、日本が今回必要とする「2点差以上の負け」は6度。78年大会以降は1度しかなく、98年大会決勝でフランスに0−3で敗れた。
 このW杯過去88試合のうち、対アジア戦は意外に少なく、02年大会の中国戦(〇4−0)が唯一だった。今回の日本戦が2度目になる。
 日本戦の通算成績は5勝2分け。最近は昨年6月22日のコンフェデレーションズ杯の2−2引き分けで、現在は2試合ドローが続いている。

■ドイツW杯

予選には世界6大陸で計197の国と地域が参加。昨年11月16日に本大会出場32カ国が出そろった。各組2位までの計16カ国が進む決勝トーナメントは24日開始。7月8日にシュツットガルトで3位決定戦、9日にベルリンで決勝が行われる。31日間に行われる試合数は計64。会場は計12都市。