ジーコが柳沢にダメ出し!“奇跡”決勝TへFW陣大手術を決断!
クロアチア戦でシュートミスし、顔を覆う柳沢。日本代表にとって、あまりに痛い失敗だった=AP
ドイツW杯(20日、ボン)ついに決断した!! 日本代表・ジーコ監督(53)が、22日のブラジル戦でFW陣の変更を示唆した。1次リーグ突破へは2点差以上の勝ちが絶対条件という状況で、これまで先発起用にこだわってきたFW柳沢敦(29)=鹿島=に対し、ダメ出し。一方、出番を待つFW大黒将志(26)=グルノーブル=らはブラジル攻略に自信を見せた。奇跡への総力戦…ジーコ・ジャパンが変わる。
◇
得点力不足解消へ、ジーコ監督の荒療治だ。20日午後の全体練習。ウオーミングアップ直後から1時間以上にわたって、監督が供給したボールをひたすらゴールに向けて蹴りまくった。負傷者以外の全選手が参加し、計504本。試合の2日前は、通常ならば紅白戦などの実戦メニューをこなすが、この日は練習時間の大部分をシュート練習に割いた。ドイツ入り後初の猛特訓となった。
ゴール欠乏症に悩まされる監督の胸の内には、FW陣の大手術構想があった。これまで柳沢&高原の2トップにこだわってきた指揮官の心の変化。それは19日午後の練習後に表面化した。ブラジル戦の布陣について「いじる」と明言。その上で、「少なくとも2点以上必要だ。やっぱり今の状況を考えるとFWにしっかり点を取ってほしい」と切実な思いを吐露した。2試合連続無得点のFW陣の変更は、確実な情勢となった。
ボン市内の日本応援拠点「G−JAMPS」を訪れ、ファンの激励を受けるジーコ監督。その胸中にはFW変更の秘策が隠されている?=撮影・森本幸一
その直前に行われたブラジルのテレビ局『グローボ』のインタビューに、ジーコ監督の本音が出た。18日のクロアチア戦後半6分にFW柳沢が外したシュートについて言及。DF加地のクロスを押し込むだけでよかった決定的シーンについて、ブラジル人記者から質問された時だ。
「なぜあれが決められないのか?」という日本国民の声を代弁するような問いに「(ブラジル代表FWの)アドリアーノならインサイドで確実に決める。準備不足。FWとして(ゴールを)狙っているか、そこが(柳沢とアドリアーノは)違う」と言い切ったのだ。
まさに“ダメ出し”。ジーコ監督は柳沢に絶大な信頼を置いてきた。柳沢は3月25日に右足甲を骨折したが、回復途上のリハビリ中にW杯代表の席を空けて回復を待ったほど。だが、クロアチア戦で“戦犯”級の失態を演じるに至り、かつてない厳しい言葉が出た。
22日のブラジル戦。ただの勝ちではなく、2点差勝利が最低条件。国際Aマッチでブラジルに一度も勝利したことのない日本にとって、厳しすぎる戦いになる。FWが得点し、全員で守り抜く。この単純ともいえる勝利の方程式を成立させるために、大ナタを振るう。
監督の方針に虎視眈々なのが、スーパーサブ役だったFW玉田、大黒、巻。2−2で引き分けた昨夏のコンフェデ杯でのブラジル戦で同点弾を決めている大黒は、ブラジル攻略法を見つけた。「前は強烈やけど、後ろは4バックでスペースがある。そこを突いていけばいいかな、と思う」と分析した。玉田も「カウンターの起点になりたい」と出場準備は万端。巻も「ブラジルは調子はあまりよくなさそうなので、つけ入る隙はありそう」と言い切った。
「国の代表として来ているのだから、最後までしっかりやれと言った」とジーコ監督。エース候補と目されたFW久保(横浜M)をW杯メンバーから落選させるなど、サプライズ人事は得意とするところだ。玉田か大黒か、はたまた3トップか−。FW変更で大量点をゲットして“ドルトムントの奇跡”を呼び起こす。
(志田健)
【ジーコ監督に聞く】
―― 柳沢が決められなかった原因は
「ブラジルのFWアドリアーノならインサイドで確実に決める。準備不足。FWとして狙っているか、そこが違う」
―― ブラジル戦のメンバーは
「布陣はいじる。DF坪井を入れる。FWはまだ分からない。きょうはそこは言えません。もう少し待ってほしい」
―― 主将は中田英か
「中沢だ」
―― ブラジルのことはよく知っているのでは
「やり方も特徴も知っているが、何をやってくるのか分からないのがブラジルだ」
―― 厳しい戦いだが
「歴史上、ブラジルから本大会で2点以上取った例は少ない。だがコンフェデ杯では2点、いやDF加地の(幻のゴール)を含めれば3点取っている」
―― 選手には何を伝えるか
「国を代表して来て、職業としているのだから、最後までしっかりやれと言った」
★キャプテンもFW心配
日本サッカー協会・川淵三郎キャプテンも、クロアチア戦で決定的なチャンスに外したFW柳沢について「何であっちに(ボールが)行ってしまったのか。(パスが)速いボールだったのかな…」と首をかしげた。シュート練習の必要性を説いてきた川淵キャプテンも「こればかりは簡単じゃないんだと言わざるを得ないのかもしれない」と現状を憂うしかなかった。
★ファン合唱!FW代えろ
クロアチア戦の翌19日に日本サッカー協会(東京・文京区)には、批判や激励などの電話が殺到した。関係者によると、計42件のうち6割がFW陣に対する不満や批判で、大半が「FWを代えろ!」と2戦連続で先発しながら無得点が続く柳沢&高原の交代を求めていた。1−3惨敗した豪州戦の翌13日にも120件の電話があり、その時はジーコ監督の采配への不満が大半だったが、次に多かったのが決定力を欠くFWに対するもの。先発FWの交代は多くのファンが望んでいるようだ。
■決戦地へ
日本代表は20日、合宿拠点としているボン市内での練習を終了。21日にドルトムントに移動し、ブラジル戦の会場となるドルトムントW杯競技場で午後6時から最終調整する。運命の決戦まで、いよいよ秒読みだ。
■日本の1次リーグ突破条件
日本はすでに1次リーグ突破を決めているブラジルに勝つことが絶対条件。しかも、同時刻に行われるクロアチア−豪州の結果に左右され、勝ち点で並んだ場合(1)総得失点差(2)総得点(3)当該チーム間の成績(4)抽選−の争いに突入する。豪州が勝つと豪州が生き残り日本はアウト。引き分けなら日本と豪州の総得失点差、クロアチアが勝つと日本とクロアチアの総得失点差で最終順位が決まる。いずれの場合も、日本が決勝トーナメントに進出できる2位になるためにはブラジルに最低でも2点差勝ちが必要になる。