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【サッカーコラム】森保一監督が優先すべきは日本代表の強化、五輪代表にあらず

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日本代表・森保一監督  【No Ball,No Life】完全に個人的な心配事だが、東京五輪を戦うU-21代表の強化に力を入れるあまり、日本代表の強化が進まない。こうした事態に陥るのだけは避けてほしい。日程が重なったときに森保一監督が優先すべきは日本代表の強化で、優秀な若手はアンダー世代の代表に関係なく日本代表に積極的に招集してほしい。とはいえ、それだけの能力を持った若手がいればだが…。それはさておき、なぜこんなことを指摘するか?

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 「過去には日本代表とアンダー世代の代表で選手を取り合うこともあったので、うまく調整しながら強化してもらいたい」(田嶋幸三日本サッカー協会会長/森保一監督の就任会見より)

 日本代表とアンダー世代の活動が重なったときに選手を取り合うというのは、日本サッカーの強化を考えれば本末転倒である。日本代表に招集する能力を持つ選手であれば、年齢に関係なく、アンダー世代の代表に関係なくどんどん日本代表に呼ぶべきで、若いときにそこで得られる経験は何事にも変えがたい。

 以前、シドニー五輪に出場した経験を持つ選手を取材したときに、五輪で感じたこと、得られたものについて聞いたことがある。返ってきた答えは、「五輪だなという印象が残っています。そのままの意味で、五輪は五輪だなという感じです」というものだった。その選手はその後に日本代表となり、W杯アジア予選、W杯本大会を経験している。その後に聞いた言葉であり、いろいろな経験を積んだ結果として出てきた答えだった。

 こうした事実を踏まえると、たとえ東京で開催される五輪であっても最優先に考えて強化する必要はないと思っている。活動時期が重なったときは、森保一監督は迷わずに日本代表の強化を優先させるべきで、そのときにU-21代表のスタッフから「誰々はこちらにまわしてほしい」とリクエストがあっても日本代表で起用したほうが考えたときは譲る必要はない。

 2016年3月のこと。日本代表がロシアW杯アジア2次予選のアフガニスタン戦(24日)、シリア戦(29日)に臨む同時期に、U-23代表の国際親善試合であるメキシコ戦(25日)が重なっていた。日本代表の2試合はどちらも埼玉スタジアムでの開催で、U-21代表の試合はメキシコでのアウェーゲームだった。また、日本代表は敵地でのアフガニスタン戦、シリア戦にそれぞれ6-0、3-0で勝利していた。さらには、同年9月からロシアW杯アジア最終予選がはじまるという状況だった。

 日本代表の選手層を分厚くし、底上げを図るためにも遠藤航、植田直通などを招集してW杯アジア予選を経験させておきたかったが、いずれもU-23代表のメキシコ遠征のほうに参加している。ちなみに、井手口陽介、久保裕也などもこのときはU-23代表にいた。同年8月のリオ五輪に向けた準備が必要だったのは理解できるが、この時点ですでに何度か招集したことがあった遠藤航、植田直通は日本代表に帯同させてアジア2次予選を経験させたほうが良いのではないかとそのときに思っていたし、いまでもそう考えている。誤解されるといけないので追記しておくと、このときに選手の取り合いをしたという事実はない。ただ単に、個人的に遠藤航と植田直通は日本代表のほうが…と考えていただけである。

 これまでの日本サッカー界は五輪が終わるのを待ってU-23代表の選手を日本代表へ招集する傾向があった。2016年もリオ五輪が終了したあとに遠藤航、植田直通、久保裕也、浅野拓磨、大島僚太、中村航輔、井手口陽介などが本格的に招集されるようになった。なかには、ロシアW杯アジア最終予選がデビュー戦になった選手もいる。それ以前に強化試合やアジア2次予選で“ならし運転”をするタイミングがありながら、そのチャンスを逃していた。

 そして、こうした強化の流れが平均年齢の高いメンバー編成でロシアW杯に臨むことにつながり、必ず世代交代しなければいけない現在に至っている。たとえ強化試合でも、日本代表で得られる経験はアンダー世代同士の戦いとはやはり違う。思い出されるのは、達観した様子で語られた「五輪は五輪だな」との言葉である。

 とくに、2020年は東京で開催されるため国際試合独特の雰囲気、アウェーの難しさを感じることもないだろう。より重要なのは2022年カタールW杯であり、全力で日本代表を強化していかなければならない。繰り返しになるが、東京五輪に力を入れるあまり選手をどちらの代表に招集するか迷うようなことがあってはいけない。日程が重なったときは、どんなときも優先順位を日本代表に置くべきだ。

 そういった意味で、森保一監督には東京五輪に関しては大きなプレッシャーを感じずに、その後のカタールW杯を見据えて取り組んでほしい。一方で、日本代表の強化に関しては悠長なことをやっていられない。過去の強化の流れによって世代交代が急務な状況を迎えている。場合によってはU-21代表を信頼できるスタッフに任せて、日本代表の監督に専任するという決断が必要になってくるかもしれない。

 いずれにせよ、9月7日の札幌ドーム(対チリ戦)で森保一監督が率いる日本代表がお披露目となる。年内にはこのチリ戦を含めて6試合が予定されており、さらに2019年を迎えると1月にアジアカップ、6月にコパ・アメリカという重要な国際大会が控えている。この2つの大会をどう使って世代交代を進めていくのか。しつこいようだが、東京五輪にとらわれずに日本代表の強化を最優先で進めてほしい。飯塚健司(フリーランスライター)

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