デパート&駅ビルは“こだわり”改装ブーム

写真:「庶民的な地下街」から「おしゃれの発信地」へ(新宿マイシティ)
写真:都心の有名店の味にこだわったレストラン街が、改札口から徒歩数秒の立地に出現(東京駅のキッチンストリート「ビモン」)
 デパートや駅ビルなどのリニューアルブームの中、最近、目立つのが、店内の一部分だけを徹底的にテーマにこだわって改装する例だ。テーマは「美と健康」から、超有名レストランの人気メニューの集結、さらに、食全般の相談にのるコンシェルジュ設置など幅広い。以前はリニューアルといえば「全館まるごと」が主流。それが、“こだわり特化型”へ。その背景は−。

 東京・新宿の京王百貨店に登場した「リフレピア」のテーマは「健康・美・癒し」。中心店舗のおしゃれな雰囲気の漢方薬局「ニホンドウ漢方ブティック」では、薬剤師による漢方相談カウンターや、漢方茶、漢方素材のお菓子などでくつろげる漢方ドリンクバーなども併設。周囲には健康食品、緑茶専門店、健康グッズ売り場、足マッサージなどの店まで並ぶ。

 改装後4日間の全館の売り上げは前年同月比14・7%増と同フロアがけん引役に。同店では、「テーマにこだわる売り場作りは、店の自己主張の場。その売り場を目的に来てくれる人を増やすことも重要」という。

 一方、東京駅の「キッチンストリート」は、都心の有名店の味が集まる飲食店街。時代遅れ風(?)の感があった商店街「コミュニケーション小路」の改装だ。登場したのは、高級ふかひれ料理専門店「筑紫樓」が展開するふかひれ麺専門店「頂上麺」、最上級和牛のステーキの店「ビモン」など22店。オープンから約2週間ながら、すでに常連客もいるという。

 かつて、デパートなどの改装といえば、100億円以上の巨費を投じた「全館丸ごと型」。それが最近の「1部分特化型」では、京王百貨店が約10億円、「キッチンストリート」は階下の「黒塀横丁」改装と合わせて約20億円、プランタン銀座の「モード館」リニューアルが7億円と、ケタが違う。この傾向を京王百貨店では、「以前は5年程度の周期で大改装していましたが、これでは消費者の生活観の変化が早い今はついていけない。部分的なこだわりのリニューアルで、消費者の志向に合うように微調整することが大切」とみる。

 また、「今後はフロアごとにイメージを変えた改装戦略も増えそう」(新宿マイシティの西村真由美課長)の声も。

 モノがあふれる不況の時代。こだわりのリニューアルは、今後も盛んになりそうだ。

写真:漢方ブティック、漢方ドリンクバーなど「健康と美とくつろぎ」にこだわったリニューアルは、新しい顧客の呼び込みにもつながっている(東京・新宿の京王百貨店)
★アジアンリゾート風結婚式場に変身

 東京都港区の「八芳園」に、アジアの高級リゾート風の内装や、広大な庭園を望むウッドデッキテラスがある宴会場「グレース」が誕生した。

 高級エステ体験など、バリ島はじめアジアの高級リゾートへの旅や、海外結婚式人気を意識したリニューアル。同社では「『結婚式』と『癒し』を融合した新しい『スローウエディング』を提案。お客様の大半が、当園の5万平方メートルの広大な庭が魅力で当園を選んでいることから、その良さを全面に出すことにこだわりました」という。

 来年2月には、少人数結婚式向け「サロンウエディング会場」もオープン。今後もこだわりのリニューアルが続く。

★『人』にこだわったリニューアル

 商品知識などに精通した担当者を登場させることにこだわったリニューアルも目立っている。

 例えば、明治屋玉川ストアー(東京都世田谷区)の「コンシェルジュ」、ベーカリーショップの青山アンデルセン(同港区)の「ブレッドマスター」、丸の内オアゾ(同千代田区)の丸善・丸の内本店の「ブックアドバイザー」などだ()。

 サービスの充実にこだわるリニューアルについて、明治屋小売事業本部の江森博行さんは、「お客様の相談や質問に応じられる専門職をおいて、“選ばれる店”になることが売上げ増の原動力。品ぞろえの充実や陳列の工夫など、見た目の変化だけではリニューアルの良さは100%発揮できず、競争に勝ち残れないんです」と説明する。

◆こだわりのリニューアルあれこれ◆
★リニューアルの場所=こだわるポイント
★京王百貨店「リフレピア」(新宿)
漢方ブティックや漢方ドリンクバーなど「健康と美と癒し」に特化 … 健康や美容、くつろぎなどに関連した飲食、食材、雑貨、サービスなどの店舗が集結。漢方相談薬局、自然食材の「富澤商店」、香の専門店「香ぎゃらりぃSHINJUKU」から、台湾式、英国式など各種の本格的なマッサージの「健康館マッサージ室」なども並ぶ
★マイシティ地下2階「Clica」(新宿)
=庶民的な食料品街から、最先端のファッションストリートへ … 広さ約4260平方メートル、全長約150メートル。通路を以前の倍の幅に拡張、バリアフリーに。「デスディネーションTokyo」はじめ、新進デザイナーらの衣類や服飾雑貨、パリ風インテリア小物店など、30店舗が並ぶ。地下街と駅改札口をつなぐ動線を確保することで人の流れを変えた
★「キッチンストリート」(東京駅)
=都内の超有名店の人気の一品が集結したレストラン街 … 東京駅八重洲北口改札から徒歩約15秒。「リストランテ・ヒロ」(東京・青山)のパスタ、「ドンピエール」(東京・京橋)のカレーなど超有名店の人気メニューが気軽に食べられる。物販4、飲食18の計22店舗
★「黒塀横丁」(東京駅)
=地下街にありながら、下町の路地のしっとりした雰囲気が漂う飲食店街 … 黒塀に囲まれた大人の雰囲気の空間。稲庭うどんの「日本橋 古都里」、沖縄料理の「龍潭」、韓国料理「吾照里(おじょり)」など全11舗
★丸善・丸の内本店(丸の内)
=ブックアドバイザーを配置した巨大な「本の博物館」 … 丸の内オアゾ内に日本橋から本店機能を移転。東京ドームのグラウンドの半分弱という約5800平方メートルの空間で、品ぞろえは日本最大級
★プランタン「モード館」(銀座)
=30代の働く女性のファッション発信基地 … これまでの「インテリア館」が、活動的な30代の女性向けの洋服や雑貨などの店に変身。総店舗数31店のうち、百貨店初登場・銀座初登場が18店、新ブランド6店舗。初登場は、フランスの新進デザイナーがデザインを手掛ける宝飾店「エジェリ」やヨーロッパの高級カジュアルブランドを扱うセレクトショップ「ヴァリア パティア」など
★池袋餃子スタジアム(池袋)
=餃子職人の「名人芸」を競う … 月に1度「餃子名人決定戦」を、2年に1度、餃子の祭典「餃リンピック」を開催。街に店を持たない餃子名人たちの極上餃子を月替わりで紹介する「月刊餃子名人」なども用意
★青山アンデルセン(青山)
=常駐の「ブレッドマスター」がパンのおいしさとパンのある食卓の楽しさを紹介 … 食事パンコーナーに、“パンのソムリエ”「ブレッドマスター」が常駐。パンの素材、酸味や硬さなどの質問に答え、おいしい食べ方を提案
★明治屋玉川ストアー(二子玉川)
=2人の「コンシェルジュ」が常駐し、食に関する相談などに対応 … 海外の珍しい食材や飲料、野菜なども並ぶ高級スーパーマーケット。「コンシェルジュ」が、調理法や食材の購入、ギフトの選び方、さらに、店に置いていない商品についての質問や相談にも応じる


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