2008年05月07日 更新

パンダ2頭貸します!胡主席、まずは対中イメージ回復?

デモ行進後の集会で、掲げられたプラカード=6日午後、東京・代々木公園

デモ行進後の集会で、掲げられたプラカード=6日午後、東京・代々木公園

 中国の胡錦濤国家主席(65)が6日、羽田空港着の特別機で来日し、福田康夫首相(71)との非公式夕食会で日本へのパンダのつがい貸与を決めたと表明した。一方、チベット支援団体などは都内でデモと集会を開催。「フリーチベット」のシュプレヒコールが飛ぶ中、パンダの貸与について、糾弾するデモ参加者もいた。

 来日早々、胡主席の“土産”が飛び出した。「(リンリンの訃報は)大変残念だ。パンダは日中友好のシンボル。日本国民のリンリンへの気持ちを理解している。(上野動物園に)つがいを研究協力のために提供することを決めた」。福田首相は謝意を示し、北京五輪に触れ「円満な成功を祈る」と返した。

 パンダ外交は日中友好を演出するのが狙い。もともと日本政府が中国側に貸与を非公式に打診しており、中国側にとってはギョーザ事件やチベット問題で傷ついた対中イメージを回復しようというワケだ。それがいきなり“サク裂”。ただ上野動物園への貸与の場合、費用を負担する可能性が高い東京都の石原慎太郎知事は「いてもいなくてもいいじゃないか」と突き放している。

 胡主席のプレゼント発表に先立ち、チベット支援団体などが開いた集会やデモでは、パンダ問題に「NO!」の声が上がった。それぞれ1300人、4500人が参加する中、「チベットのパンダを盗んで日本の子供をだますな」というプラカードを掲げたり、パンダのかぶりものをつける参加者が見られた。

 プラカードを掲げていた在日チベット人の男性は「パンダはだいたいチベットにいる。政治に使われるのはイヤだ」と嘆く。かぶりものの目には涙マークがついており、かぶっていた都内の無職女性(27)は「パンダはチベットのものだと訴えたかった。『外交カードに利用されればパンダも泣くよ』との意味を込めた」と話した。

 野生パンダは4分の3が四川省に生息しているとされるが、これは現在の話。チベットは中国が進攻する1950年代まで中国の青海省、四川省の半分なども含まれた。パンダは旧チベット領に生息する動物なのだ。

 集会の呼びかけ人の牧野聖修・前衆院議員(63)は「パンダの借り受けは本当ならダライ・ラマ14世にお願いするもの。中国政府のパンダの政治利用は本末転倒だ。日中の国交を深めていくときにパンダ外交をやるのは(考えが)浅いと思う」と話していた。

■パンダ外交

 中国は1960〜80年のかけ、国交を結んだ国などに、友好の証としてパンダをプレゼント。72年のニクソン大統領の訪中記念で、米国に初めて贈られた。
 日本にも国交が正常化した72年にランランとカンカンが贈られた。79年には日本の対中政府開発援助(ODA)が始まると、ホアンホアンとフェイフェイが相次いで来日。天皇、皇后両陛下が初訪中した92年には、2頭の間に生まれた子との交換で、リンリンがやってきた。中国はパンダの減少などを受け、80年代から寄贈をほぼ中止し、「繁殖研究」の名目で、つがい1組を貸し出している。料金は1つがいで年100万ドル(約1億円)とされる。