2008年05月01日 更新

GW悲し…さよならリンリン、上野動物園最後のパンダ死す

リンリンがいたパンダ舎には生前の写真が飾られ、駆け付けた多くの子供や親子連れが別れを惜しんだ=30日午前、東京・上野動物園(撮影・中井誠)

リンリンがいたパンダ舎には生前の写真が飾られ、駆け付けた多くの子供や親子連れが別れを惜しんだ=30日午前、東京・上野動物園(撮影・中井誠)

 日本に初お目見えしたカンカンとランラン。上野動物園の行列が途切れることはなかった=昭和47年11月5日

 日本に初お目見えしたカンカンとランラン。上野動物園の行列が途切れることはなかった=昭和47年11月5日

 東京・上野動物園の雄のジャイアントパンダ、リンリン=写真=が4月30日午前2時ごろ、心不全のため同園で死んだ。22歳7カ月で、人間でいえば70歳に相当する大往生だった。同園は36年ぶりにパンダ不在となった上、日本に所有権がある最後の1頭が他界したことで“日本国籍のパンダ”も不在に。園内では手を合わせるチビッコの姿も。列島が悲しみに包まれた。

 「リンリンが死亡しました」。正門前に設置された立て看板。大型連休を利用して訪れた家族連れらが驚いて足を止め、友人らに携帯電話で知らせた。「寂しい…」と泣き出す女性来園者も。献花台などが設置され、人気者の死を悼んだ。

 リンリンはこの日午前7時ごろ、展示施設内のくぼみで仰向けになって死んでいるのを飼育チームが発見。観察用ビデオを確認したところ、午前1時56分に動きが途絶えていた。心不全で血液が体内に漏れ、腹腔に腹水が約37リットルたまっていた。死に顔は「寝ているよう」(同園)で安らかに息を引き取ったという。

 リンリンは1985(昭和60)年9月5日、中国・北京動物園生まれ。上野動物園で生まれたユウユウとの交換で平成4年11月に来日した。繁殖のため13年1月以降に3回メキシコへ。「世界中で一番飛行機に乗ったパンダ」(小宮輝之園長)といい「フライングパンダ」とも呼ばれた。15年12月〜17年9月、メキシコの動物園から雌パンダが上野動物園に貸し出されたが、いずれも子宝に恵まれなかった。

 性格は人懐っこい半面、気が小さくナーバスな面も。昨年8月ごろから食欲が落ち、動きも鈍くなった。心臓や腎臓の機能が低下し、今年4月中旬からは腹部と下半身のむくみが顕著に。同園は慢性心不全の疑いがあるとして強心剤を投与。29日に展示を中止し、治療に専念させようとした矢先の悲劇だった。

 今後は病理解剖で詳しい死因を調べるなどした後、国立科学博物館で研究用に保管する予定。はく製になる可能性もある。9月の同園の動物慰霊祭で他の動物と一緒に弔われるという。

 小宮園長は記者会見で「大往生。天寿を全うした」と祈りを捧げた。展示施設には生前の写真が展示され花や餌が供えられて祭壇のよう。初めてパンダを見に来たという女児(3)は母親に「パンダさん、死んじゃったんだって。ナムナム(お祈り)しようね」と言われ、手を合わせた。リンリンは皆に愛されながら天国へ旅立った。

★つがい1組の貸し出し要請

 中国の胡錦濤国家主席が5月6日から来日するのに合わせ、日本政府がパンダのつがい1組を貸し出すよう中国政府に要請していることが4月30日、分かった。「パンダ外交」で日中友好を演出する狙い。7日に予定している福田康夫首相と胡主席との会談での合意を目指している。ただ中国側はまだ回答を留保中だ。

 外務省は上野動物園からパンダ貸与の依頼を受け、中国側に非公式に打診。高村正彦外相も4月17日、中国外相との会談で協力を求めた。町村信孝官房長官は30日午前の会見で「パンダは誠にかわいい、愛くるしい。上野動物園にいてもらいたい。また新たなパンダをという話になれば大変歓迎しますよね」と前向きな姿勢を示していた。

★黒柳徹子「心から感謝します」

 大のパンダ好きで知られるタレントの黒柳徹子(74)は、「長生きしてくれたリンリンには、心から感謝します」とコメントを寄せた。

 「よく写真を撮りに行っていた」というカンカンとの思い出や、過去にパンダが亡くなって悲しむ子供たちの手紙を知った中国がパンダを送っていることなどに触れ、「みんなで『リンリン、本当に長いこと、ありがとう。でも、上野動物園にパンダがいなくて本当に悲しい』という手紙を出せば、また考えて下さるかもわかりません」とした上で、「上野にはパンダがいつもいる、ということが私はうれしいので、私も手紙を出そうと思っています」とつづっている。

 黒柳は子供のころからパンダに興味を持ち、パンダの特集をしたクイズ番組では全問正解するほどの大ファン。現在は日本パンダ保護協会の名誉会長も務めており、「パンダのような可愛い動物は、寝ているだけでも可愛い。いつもパンダのいる上野動物園でいてほしい」と願った。

■和歌山・白浜に6頭、神戸に2頭

 国内のパンダは昭和47年、日中国交回復を記念してカンカンとランランが中国から上野動物園に贈られたのが初めて。空前のフィーバーとなり「客寄せパンダ」との言葉も登場した。リンリンの死亡で同園から36年ぶりにパンダの姿が消えたが、現在、国内には和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドに6頭、神戸市立王子動物園に2頭がいる。すべて中国から借りており、多額のレンタル料も発生。日本に所有権があるのはリンリンだけだった。 上野動物園によると、リンリンは世界で飼育、血統登録されている雄の中では5番目の高齢で、国内では最高齢だった。