2008年03月19日 更新

新宿の映画館「靖国」上映取り止め…中国人監督ドキュメンタリー

異例の上映とりやめに発展した“問題作”「靖国」の1シーン

異例の上映とりやめに発展した“問題作”「靖国」の1シーン

 靖国神社をテーマにした中国人監督のドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」(李纓監督)について、都内の映画館1館が4月12日封切り予定の上映をとりやめたことが18日、分かった。複数の映画業界関係者によると、映画館側が公開を直前でとりやめるのは極めて異例。

 同作をめぐっては、一部国会議員が「反日的な作品」などと反発。文化庁所管の独立行政法人が750万円を助成していることを問題視するなど物議を醸している。

 上映とりやめを決めたのは東京・新宿の映画館「新宿バルト9」。運営会社ティ・ジョイの担当者は「採算面など編成上の都合で総合的に判断した」としつつ、「現象として話題になっている作品なので問題が起きる可能性もあり、映画館が入居するビルのテナントに迷惑を掛けたくない」とも説明。同作が論議を呼んでいる事情も考慮したことを認めた。

 同作の配給会社アルゴ・ピクチャーズは「特にコメントしない」。文化庁側の助成を問題視している自民党の稲田朋美衆院議員(49)の事務所は「助成は問題視しているが上映自体を問題にしているわけではないので、コメントはない」とした。

 同作は4月12日から新宿バルト9を除いた都内3館のほか、大阪や福岡で上映予定。主に終戦記念日にさまざまな思いで靖国神社を訪れる人々の姿などを描いている。

◆奥平康弘東大名誉教授(憲法)

「上映を中止する映画館は結果的に、上映に反対する人たちに賛同し『表現の自由』を奪った。上映作品が近所に迷惑を掛けるという極めて市民的な口実で、表現の自由の原則を崩すと、大きな傷あとを残すのではないか。自由に表現をする場所が確保されないと、日本は沈うつな社会となってしまう。映画には資金が必要で、国の援助で表現活動をするチャンスは今後も失われてはならない」