白昼アキバが血の海…無差別殺傷で7人死亡

2008.6.9 05:10

 東京・秋葉原で8日昼、日曜日でにぎわう歩行者天国に2トントラックが突っ込み、通行人数人をはねた。さらに運転の男は車を降り、サバイバルナイフで通行人を次々と刺した。警視庁に殺人未遂の現行犯で逮捕された男(25)は「人を殺すために秋葉原に来た。誰でもよかった」と供述。7人死亡、10人負傷という近年では最大規模の無差別殺傷事件に。世界的に知られる家電とオタクの街アキバが血に染まった。

 買い物客、海外の観光客、オタクたち、メイド喫茶の女性店員らが行き交う週末のアキバのド真ん中で、凶行が起きた。

 8日午後0時半ごろ。東京都千代田区外神田のJR秋葉原駅近く。歩行者天国となっていた大通りの交差点に、トラックが猛スピードで突っ込んできた。通行人3人ほどがはね飛ばされた。

 事件はそれだけにとどまらなかった。運転の男が交差点から30メートル付近に車を止めて降り、「はねられ倒れた人に馬乗りになり胸から腹を何度も刺していた」(目撃者の19歳男性)。そして奇声を上げながらサバイバルナイフを振り回し、走りながら通行人に体当たりするように襲いかかった。

 「逃げろ!」。血まみれで倒れる人、逃げまどう人、救護措置に駆け寄る人…。携帯電話のキャンペーンガール風の若い女性、けが人の救助に向かった警察官らも刺され、ホコ天は悲鳴と怒号が響く修羅場と化した。

 近くの秋葉原交番の巡査部長(41)が現場に急行し、男を追走。交差点近くで追いつき、ナイフに警棒で応戦した。路地裏に追い詰めると拳銃を抜き「撃つぞ! ナイフを捨てろ!!」。男は観念したようにナイフを捨て、しゃがみ込む。非番で居合わせた警官らも加わり身柄を確保した。

 トラック突入からわずか数分間の出来事。男は約100メートルにわたり通行人を刺していた。

 殺人未遂の現行犯で逮捕されたのは青森市出身で静岡県裾野市富沢に住む加藤智大(ともひろ)容疑者(25)。当初は「暴力団員」と称したが、その後、派遣社員と判明した。

 「人を殺すため秋葉原に来た。世の中が嫌になった。誰でもよかった。きょうは1人で来た」「生活に疲れた」

 調べにこう供述。薬物やアルコール反応はなかった。トラックは静岡ナンバーのレンタカー。8日朝に自宅を出たという。警視庁は万世橋署に捜査本部を設置。刃渡り13センチの凶器と、上着の内ポケットに隠し持っていた別の折りたたみ式ナイフの計2本を押収した。

 死亡したのは19〜74歳の男性6人と21歳の女性1人。7人のうち少なくとも6人が刺され、2人はトラックにはねられていた。負傷者は同署交通課の警部補(53)ら男性8人と女性2人。

 無差別殺傷事件としては、7年前のくしくも同日、児童8人が殺害された大阪教育大付属池田小学校の事件に次ぐ犠牲者数となった。

自動車部品工場でまじめに勤務

 加藤容疑者は製造業派遣大手の日研総業(本社・東京)に昨年11月に登録。同社借り上げの静岡県裾野市のマンションに住み、同月から静岡県内の自動車部品工場に派遣された。5日は普段通り働いていたが、6日は無断欠勤して連絡がつかなくなっていた。それ以前に無断欠勤したことはなかったという。

 同社によると、容疑者を知るエリア担当者は「おとなしい性格であまりしゃべらなかったが、まじめに働いていた。事件を聞き信じられない」と驚いていたという。

アキバの治安急速に悪化

 事件が起きた秋葉原は「アキバ」とも呼ばれ、世界最大級の家電街としてだけでなく、オタク文化の発信地として海外から注目を集める。最近は、ミニスカートやエプロン姿の女性店員が客を出迎える「メイド喫茶」もブームとなり「面白そうな街」として国内外の観光客が訪れる有名スポットとなっていた。

 一方で、買い物に訪れる気の弱そうな男性を狙う「オタク狩り」と呼ばれる恐喝や強盗事件が頻発。警視庁幹部も「治安が急速に悪化している」と警戒を強めていた。

 日曜と祝日の午後は目抜き通りの「中央通り」が歩行者天国になるアキバ。アニメの登場人物の服装などを身に着ける「コスプレ」を楽しむ若者や、「アイドル」を自称する若者たちの路上パフォーマンスが繰り広げられている。

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