
警視庁大崎署を出る平田信容疑者。顔を服にうずめ、伸びた髪が前にたれていた=3日午前、東京都品川区の大崎署(撮影・大里直也)【フォト】
16年10カ月もの間、逃走を続けた平田容疑者の突然の出頭。直前に警視庁本部の正面玄関前で“門前払い”を受けた時と同様、にわかには信じてもらえなかった。
平田容疑者は大みそかの午後11時50分ごろ、丸の内署へ無言で入っていこうとして呼び止められ「平田信です。出頭しにきました」と名乗ったことが分かっているが、“つづき”が判明したのだ。
接見した滝本弁護士によると、女性警察官に「うそ」と言われたため「ほら僕、背が高いでしょう」と説明すると「本当にそうなの」と疑心暗鬼のまま署内に引き入れられたという。
出頭理由は何だったのか。「自分は罪深い人間だ。だけども(東日本大震災で)罪のない人が犠牲になった。それなのに自分が生きている」と吐露したといい、震災がきっかけとみられる。
出頭当日の31日の足取りも明らかになった。
平田容疑者はまず午後9時前、JR大崎駅から徒歩で逮捕監禁致死事件の捜査本部がある大崎署へ。だが玄関の入り方が分からずあきらめた。
駅へ戻る途中の公衆電話でオウムの特別手配容疑者に関する情報提供を呼び掛ける警察のフリーダイヤルに約10回電話したが、ずっと話し中だったため断念。今度は110番して名乗らずに「平田信の担当部署はどこか」と尋ねると「警視庁だ」と告げられた。
そこでJRと地下鉄日比谷線を乗り継ぎ、1995年の地下鉄サリン事件の現場の霞ケ関駅で降り、警視庁本部へ。午後11時35分ごろ、正面玄関から出頭しようとしたが、警備の機動隊員が悪質ないたずらと判断。丸の内署に行くよう指示されたため、歩いて同署に出頭して指紋で身元が確認され、逮捕に至った。
平田容疑者はこの機動隊員について「自分が悪いのに、機動隊員が責任を問われるのはかわいそうだ」と話したという。
(紙面から)