現場は4階建てビル1階の店舗兼作業場。JR阪和線南田辺駅の南東約500メートルの住宅街にあり、当時、従業員約10人と客3〜4人がいた。
午前4時半ごろガスを使った石窯を温め始め、6時ごろからパンを焼き出した。7時の開店と同時に客約10人が入店。7時半すぎ、女性従業員(19)が「気分が悪い」と石窯の前で座り込み、その後、数人が作業場やレジ付近で倒れるなどした。
同店は昨年11月のオープン直後から「石窯のパン店」として「パンの表面がパリッとして、中身の生地はもっちりしている」と、評判を呼んでおり、店の外まで行列ができることも。関西テレビの番組「モモコのOH!ソレ!み〜よ!」などで紹介された。
インターネットのサイトなどによると、経営者の鹿島憲一郎氏は欧州で修行を積み、「技術は日本でも高い人物」(石窯の製造販売会社)。国内で200店舗以上のベーカリーをプロデュースした“パンのカリスマ”だといい、「ゴッホ」は直営している。
★「高温直火」酸素奪いやすい
「ゴッホ」の石窯は幅2.9メートル、奥行き2.53メートル、高さ2メートル。そのすぐ近くと反対側に換気扇が設置されていた。この石窯の製造販売会社は「ガスを熱源とした石窯は100台販売していますが、CO中毒事故は初めて。換気は重要な要素で、石窯の前面に注意を喚起するための『換気』というシールを張ってある」と話す。
石窯は「おいしい」と評判のパンを生み出すが、防災・危機管理アドバイザーの山村武彦さんは「高温のじか火で焼く構造上、周囲の酸素を奪いやすい」と、CO中毒や酸欠事故につながりやすい危険性を指摘。「点火すると自動的に換気し、酸素濃度が低下した場合は警報が鳴るように設備を整えるべきだ」と語る。