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2006.02.20 紙面より

 

生きたまま腸に届く 「植物性乳酸菌」の摂取を

腸内で環境を整え、体調を改善してくれる善玉菌の代表格「乳酸菌」。その名前から、ヨーグルトやチーズなど乳製品にのみ入っていると思いがちだが、実は植物性の食べ物にも多く含まれている。しかも、みそやしょうゆ、漬物など日本の伝統的な発酵食品に多い「植物性乳酸菌」は、動物性に比べ、体外から摂取しても、生きたまま腸にたどりつく確率が高い。日本人の健康を守る強い味方になりそうだ。

人間の腸に無数に生息する腸内細菌。体とのかかわりから、善玉菌、悪玉菌、日和見菌などに分けられ、そのバランスが、体の防御機能である免疫力を左右する(別項)。

「乳酸菌」に詳しい、理学博士でカゴメ総合研究所(栃木県那須塩原市)の矢嶋信浩プロバイオティクス研究部長は、「年齢を重ねるごとに腸内の善玉菌の勢力が弱まり、免疫力が落ちる。『乳酸菌』の摂取は、腸内細菌のバランスを改善し、免疫力の向上につながります」と説明する。

こうした効果を得るには、体外から摂取した「乳酸菌」が、生きて腸まで届くことが重要。腸の中でも生き続けることで、さらに効果が強まることが期待できる。その力が抜群なのが、「植物性乳酸菌」なのだ。

おなじみの「動物性乳酸菌」は完全食品といわれる牛乳など、心地よい環境で育つ。これに対し、「植物性乳酸菌」は漬物、みそやしょうゆなど、塩分濃度が高く栄養分も少ない厳しい環境で生育。このため、人間の体内でも胃酸や消化液をくぐり抜けることができると考えられている。

例えば、京都名産漬物すぐきに含まれる「植物性乳酸菌」、ラブレ菌の場合、「生きて腸内に届き、その後、大便と一緒に生きたまま排泄されることを確認。『動物性乳酸菌』の代表L−カゼイ菌と比較して、10倍以上も胃液や腸液に耐えることが、実験で確認できた」(同部長)という。

しかも、カゴメ総合研究所と、(財)ルイ・パストゥール医学研究センター(京都市左京区)の共同研究では、ラブレ菌には、整腸作用に加え、免疫賦活作用があることを実証。「生きたまま腸まで届いたラブレ菌が体の免疫系に働き、ウイルス増殖を抑えるインターフェロン−αを体内で作り出す能力が強くなることを証明しました。その結果、感染症やがんから体を守るNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化し、免疫機能が高まります」(同部長)。

マウスを使った実験では、ラブレ菌で発酵させたニンジンエキス発酵物に、がん細胞増殖の抑制効果も確認したという。

日本古来の食べ物に多く含まれる「植物性乳酸菌」。そのパワーを見直すことが、免疫力を向上させる第一歩といえそうだ。

【腸内の善玉菌を増やし免疫力を高める】

「乳酸菌」とは、糖分を食べて乳酸という酸を作る微生物のこと。腸に届いた「乳酸菌」は、腸内に生息する善玉菌のビフィズス菌などを増やし、ウェルシュ菌などの悪玉菌を退治。その結果、腸内で善玉菌が優勢になり、腸の機能は高まり、消化吸収が促進、便秘や下痢などを解消するという。全身の免疫細胞の6〜7割が腸に存在するといわれ、腸の調子を整えることは、全身の免疫力を高めることにつながる。人間の腸には100種類100兆個、重さにして約1キロの腸内細菌が棲んでおり、善玉菌、悪玉菌、日和見菌がせめぎあいをしている。「生後5日ごろの赤ちゃんの腸内バランスはビフィズス菌が圧倒的に多いが、高齢化すると、悪玉菌が優勢になる」(矢嶋同部長)。

【「乳酸菌」摂取のコツ】

口から摂取した「乳酸菌」は、一定期間が過ぎると体外に排泄される。免疫力向上につなげるためには、日常的な「乳酸菌」の摂取が必要だ。「例えば、長寿で知られる長野県。毎日のように食べられている野沢菜漬に含まれる『植物性乳酸菌』の効果も関係しているとも考えられる」(矢嶋同部長)。野沢菜漬だけでなく、生シバ漬など乳酸発酵した漬物で、塩分濃度がそれほど高くないものを食べるなど、食生活の中で「植物性乳酸菌」を積極的にとるといい。「植物性乳酸菌」を使用した発酵飲料などを毎日飲んでもOK。摂取のタイミングは、「胃の中に食べ物があると胃酸の影響を受けにくい。また、免疫細胞は寝ている間に作られるという研究もあり、食後や夜寝る前に取るのがおすすめ」(同部長)。

◆「動物性乳酸菌」と「植物性乳酸菌」の特長と違い◆
  植物性乳酸菌 動物性乳酸菌
生息環境 塩分や酸が高く、低温で過酷な環境  ミルクの糖分が豊富な住み心地のよい環境
種  類 約200種類 約20種類
生育場所 植物(ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖など) ミルク(乳糖のみ)






栄養・環境 栄養豊富でない環境や栄養バランスの悪い環境でも生きられる 栄養が豊富でバランスのよい環境でのみ生きられる
刺激性化合物の影響 タンニン酸系化合物、アルカロイド化合物、シアネート化合物などの刺激性化合物が存在していても生きられる 刺激性化合物が存在すると生きられないものもある
食塩の影響 高濃度でも生きられるものもある 高濃度ではほとんど生きられない