2017.3.8 12:00

【ラグビーコラム】平尾誠二さんの真骨頂のプレーが満ちあふれる数秒間の映像 tvkの特番に“日本ラグビー遺産”がある

【ラグビーコラム】

平尾誠二さんの真骨頂のプレーが満ちあふれる数秒間の映像 tvkの特番に“日本ラグビー遺産”がある

特集:
ノーサイドの精神
第43回社会人ラグビー 決勝 神戸製鋼対三洋電機 突進する神戸製鋼の平尾誠二さん=平成3年1月8日撮影

第43回社会人ラグビー 決勝 神戸製鋼対三洋電機 突進する神戸製鋼の平尾誠二さん=平成3年1月8日撮影【拡大】

 【ノーサイドの精神】昨年10月に53歳の若さで病死した平尾誠二さん。グラウンド上では天才的なゲームメーカー、そして得意のカットイン“平尾ステップ”でファンを魅了。グラウンド外では広い視野からラグビーや社会を論じ、ノーベル賞受賞者の山中伸弥・京大iPS細胞研究所所長ら多くの著名人、文化人とも交流を深めてきた。

 2月10日には神戸市内で“感謝の会”が行われ、3000人近い関係者、ファンが集まったが、平尾さんとの別れを惜しむ思いはいまだに続いている。

 神奈川県のローカル放送局tvk(テレビ神奈川)が、26日に「追悼・平尾誠二氏」と銘打った特別番組を放送する。平尾さんが暮らした関西とは縁のない関東のローカル局とはいえ、大学公式戦など積極的に中継を行い、ラグビー人気低迷期にも、楕円球を支えてきた。選手、関係者にはなじみ深いテレビ局だ。

 そのtvkの特番の内容は1991年1月8日に、東京・秩父宮ラグビー場で行われた第43回全国社会人大会決勝だという。この試合は、3連覇をかけた神戸製鋼と三洋電機(現パナソニック)が死闘を繰り広げた日本ラグビーの名勝負の一つ。ごらんになっていない読者には“ネタ晴らし”になるが、インジュアリータイムのWTBイアン・ウィリアムズの50メートル独走トライで、神戸製鋼が18-16で奇跡の逆転優勝を果たした。

 その奇跡のトライにも、平尾さんが大きくからんでいる。豪州代表でも活躍したウィリアムズが待ち受ける右サイドに、勝負を決定づけるラストパスを放ったのが平尾さんだった。12-16と神鋼が4点ビハインドのまま、時計表示は42分を回っていた。

 ワンバウンドして、あわやノックオンのボールを捕球して体勢は不十分だったが、平尾さんは瞬時に状況を読み取っていた。ボールを手にすると、コンマ一秒というタイミングで間(ま)を作り、ウィリアムズが相手防御を半身分ズラしたタイミングでパスを送っている。

 プレーが止まれば即ノーサイドとなる緊迫の状況下で、相手防御とのギリギリの間合いの中でも、自分とチームの置かれた状況を一瞬にして読み取り、プレーを選択する。ラグビー選手・平尾誠二の真骨頂のプレーが、この数秒間の映像にまぶしいほどに満ちあふれている。

 平尾時代にラグビーに熱い視線を送っていたファンにも再び見てほしいが、それ以上に“ポスト平尾”世代に、ぜひこの死闘を見てほしい。そこには燦然(さんぜん)と輝く“日本ラグビー遺産”がある。

吉田 宏(よしだ・ひろし)

「吉田 宏」イメージ画像元号が平成に変わった年に入社して、1995年ラグビーW杯後からサッカー、野球担当を挟みながら現担当。“軟式ラグビー(自称)”出身で、こちらも自称の江戸川キャップ2を誇る。99年W杯の報道陣による南北半球決戦・プレスマッチで、なぜか南半球の一員で世界制覇を果たして現役を引退してからは、書き手専門で楕円(だえん)球を追う毎日。

  • 第43回社会人ラグビー決勝神戸製鋼対三洋電機ノーサイドのホイッスルに喜ぶ神戸製鋼の平尾誠二さん(中央)ら=平成3年1月8日撮影
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