2017.2.8 12:00

【ラグビーコラム】求められる2019年W杯への発信力 小池都知事の言動で関心集まる五輪問題に埋没のピンチ

【ラグビーコラム】

求められる2019年W杯への発信力 小池都知事の言動で関心集まる五輪問題に埋没のピンチ

特集:
ノーサイドの精神
吉田義人氏

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 【ノーサイドの精神】ラグビーの2019年W杯日本大会決勝まで1000日となった今月5日、横浜市内で行われたイベントを取材した。15年大会で主将を務めたFLリーチ マイケル(28)=東芝、女子日本代表のSO鈴木彩香(27)=アルカス・クイーン熊谷、そして本紙評論家としてもおなじみの元日本代表WTB吉田義人氏(47)という豪華なゲストがそろい、会場の大型商業施設「MARK IS みなとみらい」の特設舞台周辺は大いににぎわった。

 イベントは、決勝戦の舞台となる日産スタジアムのある横浜だからこそ実現した。横浜市の担当者も「決勝までのカウントダウンができるのはわれわれだけの特権。何か、いいイベントがやりたかった」と語ってくれたが何よりよかったのは、ラグビーファン以外の人たちにも向けた発信力のあるイベントだったことだ。

 開催が日曜日だったこともあり、大勢の家族連れやカップル、観光客が集まった。3人のゲストがラグビーの魅力を熱く語り、子供たちへのラグビー体験コーナーには、三菱重工相模原のラグビー部員がボランティアに駆けつけた。

 ラグビー協会と取材での付き合いは長いが、傾向としては“内弁慶”と感じるときが多い。ラグビーファンや関係者らを対象としたイベントは得意。だが“身内”以外との交流は苦手のように思える。月に1度のペースで開催される講演イベント「みなとスポーツフォーラム」には、多くのラグビー関係者が登壇してきた。会場は毎回満席に近い盛況ぶりだが、顔ぶれの多くが“常連さん”ばかりだ。もちろん、協会内でもラグビーファン、ファン以外を対象とした催しを色分けはしているものの、今回の横浜のような万人に発信するイベントは多くはない。

 W杯翌年に開催される東京五輪は、一連の競技会場問題や東京都の小池百合子知事(64)の言動が、結果的に関心度や認知度を高めている。W杯はどうだろうか…。五輪より1年先の開催にもかかわらず、五輪問題の盛り上がりの中に埋没しているようにみえる。

 いま協会、そしてW杯組織委員会に求められるのは“発信力”にほかならない。内輪で盛り上がっても、周りが冷めたままでは国民的な盛り上がりは難しい。歌人、劇作家の故寺山修司は、エッセーの題名にもした「書を捨てよ、町へ出よう」と若者に語りかけた。

 いまラグビー界に必要なのも、自分たちの居心地のいい「ラグビー村」の垣根を乗り越えて“町”へ出ることかもしれない。

吉田 宏(よしだ・ひろし)

「吉田 宏」イメージ画像元号が平成に変わった年に入社して、1995年ラグビーW杯後からサッカー、野球担当を挟みながら現担当。“軟式ラグビー(自称)”出身で、こちらも自称の江戸川キャップ2を誇る。99年W杯の報道陣による南北半球決戦・プレスマッチで、なぜか南半球の一員で世界制覇を果たして現役を引退してからは、書き手専門で楕円(だえん)球を追う毎日。

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