2007年01月08日 更新

第86回全国高校ラグビー大会

勝った!舞った!感極まった!東海大仰星・土井監督が男泣き

日本一の選手たちに胴上げされる土井監督。仰星ラグビーが結実した(撮影・浜坂達朗)

日本一の選手たちに胴上げされる土井監督。仰星ラグビーが結実した(撮影・浜坂達朗)

 全国高校ラグビー最終日(7日、花園ラグビー場)7年ぶり2度目の頂点をつかんだ東海大仰星(大阪第2)の土井崇司監督(47)が男泣き。公式戦無敗、25連勝の最強軍団を作り上げた指揮官は、苦楽をともにした家族の前で宙に舞った。大会史上初の4戦連続50得点以上を樹立した東福岡(福岡)は、01年、02年度に続いて“大阪の壁”に阻まれ、初優勝を逃した。

 自分よりもふた回り大きい選手たちの手で計9度、花園の空に放り出された。土井監督のほおを、涙が自然と伝った。

 「感無量です。選手たちはよくやってくれた。(教え子の)タックルが強烈だったので、しびれました」

 花園に初出場した92年度大会でいきなり8強。「これで部員が増えるやろう」と期待すると、翌年の新入部員はわずか12人。うち半数がラグビー未経験者。勝っただけで、人材は集まらない。

 「天狗になってました」と猛省し、地元で小・中学生相手に講習会を開くようになった。最初は1校。昨夏は17校に増え、参加人数は700人を超えた。今回の優勝を支えた選手のほとんどは、土井監督の考えに賛同した中学校の指導者が送り込んでくれたもの。初Vから7年。底辺拡大に気を配りながら、最強チームを作り上げた。

 家に帰れば毎晩、3児を抱っこして床に入るマイホームパパだが、毎年のように花園に出場するため年末年始は休み返上となる。「休みがあまりないので、子供たちに申し訳ない」と、大会前のクリスマスイブに遊園地に連れていったのが、唯一の家族サービス。その日の深夜もテレビのラグビー放送に熱中し、気が付けば朝を迎えていた。

 「旅行」と銘打ちながら、チームの夏合宿に家族を連れていくこともある。そんなラグビー一筋のパパに、夫人の孝枝さん(42)は「日本一、頼むで!」とハッパをかけ続けてくれた。土井監督は、その家族がスタンドから見守る前で、胸を張って優勝インタビューを受けた。

 「ラグビーにある『義理・人情』を大切にしたい。ラグビーは、人間育成の上でも素晴らしいスポーツ」。ラグビーにかけた生き様が、歓喜のピッチに輝いていた。

(阿部祐亮)

◆東海大仰星OBの日本代表WTB大畑大介(神戸製鋼)

 「土井先生、選手のみんなにありがとうと言いたい。僕も2試合トップリーグの公式戦が残っている。大きな刺激になりました」

◆東海大仰星・湯浅大智コーチ(00年優勝時の主将)

 「ひたむきさが優勝につながったと思います。仰星はディフェンスで相手の芽をつぶすことができた」

★木津、どすこい魂で日本一

 正真正銘の横綱や!! 中学時代に8つの相撲部屋からスカウトされた東海大仰星LO木津武士(3年)は試合中、首を強打し、右手が動かない状態だったが、後半6分、モールで奪った先制トライに納得の表情。

 「東福岡がモールを嫌がっているのは分かっていた。モールでトライが取れたんで本当にうれしい」。父・政一さん(58)は大相撲入りを希望していたため、ラグビー転向には当初反対だったという。選択が間違いでなかったことを、日本一達成で証明した。

★今季4戦全敗…谷崎監督は白旗

 選手の自主性に任せる「考えるラグビー」で東福岡を統率した谷崎重幸監督(48)は「仰星は重かったし、厚かった」と白旗。「それでも、仰星という目標があったから、ここまでこられた。その差も縮まったし、指導者として、選手たちの成長を喜んでいます」。仰星には春の選抜決勝を含め、今季4戦全敗。宿敵への雪辱を胸に花園を後にした。

★有田主将も脱帽

 東福岡のNO・8有田隆平主将(3年)は「ミスも多かったけど、相手のプレッシャーもすごかった」と脱帽した。後半ロスタイムにWTB森山京彦(3年)が左に飛び込み、意地を見せた。有田は表彰式後の写真撮影の際、涙を見せた仲間に「最後なんだから、笑って撮ろうぜ!」。選手たちは笑顔で写真におさまった。

★東海大仰星から代表3人選出−高校東西対抗戦

 日本ラグビー協会は7日、第30回高校東西対抗戦(13日、国立競技場)に臨む東軍、西軍の代表各25人を発表した。西軍には東海大仰星からHO緑川昌樹、SH山本亮、FB宮田拓哉の3人が選ばれた。東福岡からも3人が選出された。東軍ではベスト4の桐蔭学園(神奈川)からLO岩井哲史ら3人が入った。