現代ラグビーは23人トータルの戦い

乾坤一筆
慶大の小宮山。途中出場の“役割”を理解している

 ラグビーは何人でやるスポーツ? 15人。正解ですが、それはグラウンドに立つ選手の数。公式試合では「リザーブ」と呼ばれる8人(高校は10人)の交代選手もいて、登録メンバーは23人だ。

 ラグビーは長く選手交代を認めないスポーツだった。負傷退場者が出ても、14人で戦わなければいけなかった。初めて交代が認められたのが1968年。国際試合に限り、負傷で続行不可能と医師が認めた場合に2人まで交代できるようになった。76年に全ての試合に適用されるようになり、交代できる人数は徐々に増え、96年に画期的な「戦術的入れ替え」が導入された。

 「リザーブ(reserve)」とは日本語でいえば「備え」「予備」という意味だが、この呼び方を今季の慶大は変えた。「ブースター(booster)」というのだ。「押し上げるもの」という意味で、ロケットの発射時に用いられる補助推進装置などで聞くことも多いだろう。

 「今のラグビーは15人だけで戦えるものではない。途中から出る選手も含めた23人トータルで考えないと」と金沢篤ヘッドコーチ(39)。「『リザーブ』では、いかにも控えという感じがする」として開幕直前の9月初めに「ブースター」の呼称に決めた。「点火役」として後半にチームへ活力を与える意味も込められている。

 途中から出る選手にはその役割がある。それは選手にも浸透していて、43-26で勝った開幕の筑波大戦(9月24日)の後半に登場したSH小宮山大地(4年)は「先発が疲れた、けがをしたから出るのではなく、自分の強みを出しチームを加速させるのが役目。僕なら早い球さばきでテンポを上げる、守備を組織するといったところ」と説明する。今季充実ぶりが伝わるタイガー軍団の背番号16から23にも、ぜひ注目してもらいたい。

田中 浩(たなか・ひろし)

 1983年入社。ラグビー、ボクシング、アマ野球などの担当を経て2008年から運動部デスクを務め、14年にラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢。

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