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【高橋信之コラム】オカルト&スパイマニアと「MKウルトラ」

【高橋信之コラム】

オカルト&スパイマニアと「MKウルトラ」

特集:
高橋信之
記念すべき「007」映画第1作『ドクター・ノオ』(1962)

記念すべき「007」映画第1作『ドクター・ノオ』(1962)【拡大】

 「007号 ジェームズ・ボンド」のヒットが創出した1960年代のスパイ映画ブーム時代に幼少期を過ごした1950年代生まれ世代の多くは、今もなおスパイ映画が好きである。

 『0011ナポレオン・ソロ』『スパイ大作戦ミッションインポッシブル』『それいけ!スマート』といったブームに乗った後続作は日本でも放映され、組み立て式銀玉拳銃や双眼鏡、聴音機などのスパイガジェットも続々と発売された。

 サンスター文具の「スパイ手帳」の「水に溶ける紙」に「秘密」を書いて溶かすセレモニーを行った少年スパイはクラスの人気者になった。

 最近では『M・Iゴーストプロトコル』『キングスマン』『ジェイソン・ボーン』といったところがスパイ映画リバイバルのトップタイトルとなっている。

 マーベルヒーロー映画からのスピンオフシリーズ『エージェント・オブ・シールド』もエスピオナージュ(間諜)よりは超人モノに近いが、秘密工作機関が物語のベースとなっている。

 さて、ここからは現実世界でのスパイ技術の話、そして日本ではほとんど書籍文献が存在しない洗脳(マインドコントロール)の話だ。

 ナチスドイツのスパイ技術から生み出された究極の洗脳技術、それが「MKウルトラ」だ。

 第二次大戦末期、米国は、その技術を含め弾道ミサイル、ジェット推進などドイツ軍事技術をソ連に先んじて入手するための極秘作戦ペーパークリップを発動した。

 無数の資料、機材そして関係者が無条件でアメリカでの永住権を得て本土に移送された。有名なところではロケットV2号ミサイルの開発や後のアポロ計画を指揮した工学者のウェルナー・フォン・ブラウン博士などがいる。だが「MKウルトラ」の関係者は、いまだにベールに包まれていて公開資料は数少ない。

 それでも1990年代には機密文書の封印が期限切れとなり多くの資料が公開された。これにより米国では多くの研究書が刊行されているが、日本では未だに「MKウルトラ」を表題とした本は出ていない。

 その技術とは「忘れるコト」と「覚えるコト」そして「絶対命令の実行」の三つで、元々は敵にとらわれた情報将校がすべての機密を瞬時にして忘れたり、潜入先で機密情報を瞬時に記憶したりするする脳科学のコントロール技術だった。

 さらに思想教育が深化して洗脳技術となり、支配者からの絶対命令の実行も制御できるようになる。

 洗脳とは自らが志願した対象と拒絶する対象とでは、効果がまったく異なることも分かった。

 この技術を米国、中でもCIAは高く評価し作戦コード「MKウルトラ」として研究を進めた。

 1950年代後半から1970年代後半までの20年間弱、米ソ冷戦下において数百人数千人の志願者に施術されたと書籍では語られている。

 まさに「ボーンシリーズ」の骨子となる秘密工作の暗殺組織トレッドストーンや記憶制御作戦ブラックブライアーこそ、この「MKウルトラ」がモデルである。

 日本では数年前に話題となったアクションドラマ『MOZU』のグラークアルファ作戦にも影響大である。

【続きを読む】

  • テレビシリーズ『0011ナポレオン・ソロ』(1964-1968)
  • 1960年代後半のスパイガジェット。「007」の主張が強すぎ?
  • 『ナポレオン・ソロ』の人気ガジェットは、狙撃ライフルになる拳銃だった。
  • これまた隠密行動には派手すぎるデザインのスパイ手帳。正式な商品名は「スパイメモ」
  • スマホゲームで登場した『キングスマン』スピンオフ、期待感マックス!
  • CIAと薬物支配の研究書
  • MKウルトラ研究書。装丁より地味にしっかり研究している。
  • PTSD(心理障害)もまた、MKウルトラの作戦の残滓かもしれない。
  • ナチ科学者の米国移住を追った『ペーパークリップ作戦』ドキュメンタリー
  • ケネディ大統領暗殺犯オズワルドはMKウルトラで洗脳されていた?
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