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【高橋信之コラム】ルーツを探す銀河鉄道の旅

【高橋信之コラム】

ルーツを探す銀河鉄道の旅

特集:
高橋信之
空を飛ぶミニチュア模型の機関車からは煙も出ている。

空を飛ぶミニチュア模型の機関車からは煙も出ている。【拡大】

 天翔る蒸気機関車を初めて想像して作品にしたヒトが誰だか知ってるかな?

 『銀河鉄道999』(1997年)の松本零士? 『銀河鉄道の夜』(1924年)の宮沢賢治? 

 いや、もっと前のフランスにそのルーツはあった。

 世界初のトリック映画を作った男、SF映画の父と称されるジョルジュ・メリエスが映画の黎明期(れいめいき)に作った『不可能をとおる旅』(1904年)こそ、おそらく世界で初めて蒸気機関車を空と宇宙に飛ばした映画だろう。

 その物語は冒険家たちがアルプス山頂から空へ、宇宙へと旅立つファンタジーの蒸気機関車にのって冒険の旅にでる20分の短編だ。

 映像を見ると空飛ぶ蒸気機関車には、さらに冒険家たちが発明した未来メカも連結された列車に搭載されている。

 星々を巡り降り立った惑星世界の冒険に合わせて、ある時は飛行船が、ある時は潜水艦が活躍している。

 奇術師出身でからくり舞台芝居の興行師でもあったメリエスお得意の書き割り的な美術背景で描かれた宇宙航行列車や不思議な惑星の風景とミニチュアやアニメーションで描かれた空飛ぶシーンは、モノクローム(一部、パートカラー)の映像ファンタジーとして楽しめると思う。

 だが、20分という短編で、どうにも物語展開がダイジェストっぽい。

 調べてみたら、その理由が分かった。

 なんとこの作品、SF小説の父と呼ばれるジュール・ベルヌ(1828年ー1905年)が書いたSF小説に登場する数々の冒険を紹介した「SF冒険物語」演劇版(1882年)からの映像化だったのだ。

 舞台芝居版で機関車を空に飛ばしたのは、おそらるベルヌではなく合作した脚本家のアドルフ・ドネリーだろう。

【続きを読む】

  • アルプスの山中から空中軌道レールで勢いをつけて発進!
  • うまく着陸できずに墜落する空中列車。割と大きな模型を作ってクラッシュシーンが撮られた。
  • なにやら正体不明のメカが詰まった車両内部、実は書割り美術セットだ。
  • 列車に搭載した潜水艦で水の惑星を探検する冒険隊。
  • 蒸気機関車のアップショット、これも書割り。舞台芝居を撮影した感じ。
  • 旅立ち寸前の宇宙探険列車も奥行きパースがついた書割り。前方の車両に飛行船が浮かんでいる。
  • 実物大マットペインティングとも言える書割り。実寸大のアニメーションとも言える。
  • クラッシュシーンの書割りはフィルムを人工着色するパートカラーで塗られている。
  • 潜水艦発進シーンはベルヌの『海底2万リーグ』からのゲストメカだ。
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