2017.3.24 17:01

【上坂すみれコラム】「上坂すみれの文化部は夜歩く」ヲタカル版(51) ソ連崩壊のスクープはウオツカの力!?

【上坂すみれコラム】

「上坂すみれの文化部は夜歩く」ヲタカル版(51) ソ連崩壊のスクープはウオツカの力!?

特集:
上坂すみれ
産業経済新聞社専務取締役大阪代表の斎藤勉さんと=大阪・松原市文化会館

産業経済新聞社専務取締役大阪代表の斎藤勉さんと=大阪・松原市文化会館【拡大】

 みなさん、Добрый вечер。パーソナリティーの上坂すみれです。今回は3月18日、松原市文化会館での、初の大阪公開録音イベントの模様をお届けいたします。

 まずは、重大な告知があります。『上坂すみれの文化部は夜歩く』は番組開始から1年。来年度もさらに活発な部活動を展開していきます。そして、文化部1周年を記念して、ビッグな企画が決定しました。部活動といえば合宿。そう! 文化部合宿が決定しました!

って本当にやるんだ。

 気になる場所は茨城県大洗。上坂すみれ、大洗初上陸です。やったー。やっと行ける。うれしい!

 日付は5月27日と28日の1泊2日の日程。合宿は27日の朝、東京からバス6台に分乗し、1台ごとに『ロシアソビエト部』、『萌えミリタリー部』、『ガチミリタリー部』、『格闘技部』、『鉄道研究部』、『美術コスプレ部』と各部に分かれ、それぞれの専任講師とともに1日各部の研究をして、夕方に大洗に到着って、私と一緒じゃないんだ。私は何するの?

 夜は夕食後、各部の専任講師とともに、上坂すみれの文化部は夜歩くサミットを開催。翌日は初日に各部で研究したテーマを基に、研究成果を発表する研究発表会を開催しますって、何?その過酷な合宿? 大学のゼミ合宿みたいですね。これって楽しいやつじゃないんですか? みんなで枕投げするやつじゃないの? みんなは夜通しかけて研究成果をまとめてくださいって、遊ばないのー? きっつーい。

 そして午後は大洗の町を散策するなどして東京に戻ってくるという日程です。文化部合宿は4月1日から10日まで、Vステホームページでプレオーダーを受け付けます。注目の料金もそのとき発表します。なんか怖い。私はみんなと遊べるのかな? みんなは夜通し研究しているんでしょ? 私1人で晩酌するの? つらーい。ちゃんとやっているかー?って見回りに行けばいいんですね。お酒を配りに行って「先生の酒が飲めねえのかー」ってやつですね(笑)。でも文化部だし、濃ゆいイベントになりそうですね。楽しみです。皆さん、5月27、28日は準備をお願いします。値段も言わずにまずは休みを取れという。恐ろしい。

 今回のゲストは産業経済新聞社専務取締役大阪代表の斎藤勉さんです。斎藤さんといえば、やはりあのソ連崩壊のスクープなどで名をはせたお方なんですが、まずは斎藤さんの文化的プロフィールです。1949年生まれ。埼玉県熊谷市出身。東京外国語大学卒業後、産経新聞社に入社。ソ連とロシアに特派員として通算8年半近く在住し、ソ連崩壊を世界に先駆けスクープ。著書に『スターリン秘録』『日露外交』などがある。現在は産業経済新聞社専務取締役大阪代表をされています。

 なぜ専務取締役大阪代表の方がアニラジにと思う方もおられると思いますが、なんと言っても今年はロシア革命100周年ということもあって、斎藤さんにはお聞きしたいことがたくさんあるんです。斎藤さんのソ連崩壊のスクープとか、あとは『スターリン秘録』、名著オブ名著。私の学校の図書館にもありました。

 斎藤さんには、ぜひとも激アツ!ロシア革命100周年スペシャルをお聞きしたかったのですが、かなぺがいきなり「そもそも100年前にロシアでどんな革命が起こったんですか?」って初歩的な質問をして。そこからですか?

 これには斎藤さんも、「普通は中学校の教科書ぐらいにはもう書いてありますけど…」ってあっけにとられていましたが、かなぺは、ポテト揚げるのに忙しかったのでしょう(笑)。

 そんなかなぺにもわかるように斎藤さんは「1917年の年に革命が起きて、それまでのロシア帝国がなくなって、それでソ連に移行していくという、その革命がロシア革命といいます」って丁寧に説明していただきました。

 会場にはロシアの歴代指導者のマトリョーシカを用意していただいたのですが、斎藤さんも「このレーニンがやったのがロシア革命です。この人が指導して、帝国の帝政ロシアというのを滅亡させて、それで次にスターリン。そして次がフルシチョフ。次がブレジネフ。それで、ちょっと足りないんだけど、ゴルバチョフ」って、かなぺに教えてくださいました。

 さらに斎藤さんから「これには特徴があるんですけど、なんだかわかります?」って質問されていたのですが、かなぺは「頭髪ですか?」って間髪入れずに正解をだしていました。出た! つるふさの法則。ロシアの指導者の頭髪が“つる”と“ふさ”が交互に来ているってことは有名な話なんです。

 文化部エキスプレスなるバス(あのぼったくりバス)に乗った人は参考資料で読んだはずですが、そこに斎藤さんの当時の大スクープの記事が載っていました。内容は共産党の方針が大きく変わるとか、党大会の予定が早まるとか、今までのソ連の歴史の中では考えられないようなことだったわけですが、その情報を入手したいきさつを斎藤さんに教えていただきました。

 斎藤さんは「大したことはないですよ」っておっしゃっていたのですが、「ウオツカって知っているでしょう。ロシアの焼酎ですね。ソ連時代に5年半ぐらいモスクワにいたのですが、ほとんど毎晩のようにロシア人の友達や日本人の友人と、または情報源と、毎晩のようにウオツカ1本ぐらい開けていました。そのウオツカ仲間たちが支えてくれたのがこのスクープです。そのウオツカ仲間の1人が、あるパーティーで、近々ソ連共産党内部で大変な変革が起きるよということを耳打ちしてくれたんです」という意外な裏話を聞かせてくださいました。

 斎藤さんは「毎晩飲んでいるおかげですね。だから新聞記者というのはお酒を飲まないと駄目ですね」と笑っておられました。

 斎藤さんは「最初に教えてくれた人は、私は正確に知らないので、『きちんとした文書を持っている人がいるかもしれないから探したほうがいいよ』といわれて。それが1990年の1月だったのですが、1月の末までにあちこち電話を入れたんです。そしたら、『おう、どこで聞いた、持っているよ、いらっしゃい』というので行ったんですね」とスクープの経緯を教えてくださいました。すごい。内部文書を見せてくれたんですね。

 斎藤さんは「この人もウオツカ仲間ですから」っておっしゃっていましたが、ウオツカの力は本物なんですね。

 斎藤さんは「いきなりすみれさんとかが行って文書ありますか?頂戴と言ってもくれないですが、やはりお酒が成した縁です。よし、あいつは俺にウオツカを何本ぐらいおごってくれたから、じゃあこのぐらい出そうかということがたぶんあったんだと思います。あまりこういう話をしたことはないのですが、ソ連共産党というのは中央委員会というのが一番大事な組織で、中央委員会の総会というのがありまして、総会で大事なことは、ああそうかいとなるわけですね」って冗談を交えながら教えていただきました。

 今回の収録した会場にはロシア幹部みたいな格好をした人がちらほら来ておられて、ソ連時代の帽子をかぶって来られた方もいらっしゃったのですが、斎藤さんは「僕もソ連ロシアは嫌いじゃないですけども、普段日常でああいう帽子かぶるってことはなかったですね。オタクですね」って感心されていました。でもあの帽子はテンションが上がりますね。

 斎藤さんもソ連駐在時には帽子を買っておられたそうで、「ああいうのは全部ソ連の宣伝ですから。帽子屋さんやデパートなんかでちゃんと売っていまいした」っておっしゃっていましたが、あれは宣伝の一環だったんですね。斎藤さんは「特に私は頭が寒いもんですから、帽子は若い頃から必需品ということで、いろいろ帽子は持っています」って自虐ネタで会場から笑いが起きました。

 少し脱線しましたが、大スクープの話に戻ると、斎藤さんは、文書を見せてくれるという人のところへ行ったそうです。そうしたところ「これは1部しかないのでやるわけにいかない。今から私が読み上げるから書き取ってくれ」と言われたそうです。緊張の一瞬ですね。

 斎藤さんも「(メモを)取っていて、もう手がべっしょりしちゃいまして。メモ帳にその汗がにじんじゃって、支局に帰った頃にはかなりにじんでいました。それを慌ててソ連共産党が一党独裁を放棄しますよというちゃんとした文章に直して…」とその時の体験を話していただきました。これはもうソ連がソ連でなくなっちゃうということなんですね。なんか切ないですね。プーチン大統領も悲しんで、「ソ連崩壊はカタストロフィだ」と言ったそうです。それ、わかる。

 この後、プーチンさんの話になったのですが、斎藤さんは「これだけは今日のリスナーの方とか、ここにいらっしゃる方にお伝えしようと思ったんです」とおっしゃって、ロシア革命が起こる前の帝政ロシアの怪僧ラスプーチンの話を始められました。

 斎藤さんがおっしゃるには「ラスプーチンはロシア最後の皇帝であるニコライ2世のご一家、とりわけ奥さまのアレクサンドラというイギリス王室から来た人に取り入って、一家の最初に生まれた男の子が、血がなかなか止まらない血友病という病気だったのを利用して、一家を手玉に取るようになったんです。それで祈祷(きとう)かなにかをやって血友病の長男を治しちゃったんです。奇跡が起きたんです」って話を始められたのですが、「ラスプーチンは最後には暗殺をされてしまうんですが、この人が100年ちょっと前までいた。で、今がプーチン。ラスプーチン、プーチン。そして近々ロシアはひょっとするとチンになるんじゃないか…」って、それってどんどん減っていくってことですか?(笑)

 斎藤さんは「このチンというのは中国人の総称です。ラスプーチン、プーチン、チンと。これはピコ太郎と同じような、ペンパイナップルアップルペンって、ピコ太郎のノリで覚えると語呂がいいでしょう」とおっしゃったあと、「今はプーチンさんでしょう。それで僕はプーチンさんをどう見ているかと言うと、帝政ロシアが滅びて、ロシア革命が起きて、ソ連になって、ソ連が滅びて、今新しいロシアになった。ところが私は、プーチンさんの今の時代というのはミニソ連になっちゃったなと思うんです」と自説を唱えられていました。

 斎藤さんは「プーチンさんというのは例の有名なソ連時代のKGB、秘密情報機関のトップでしたから、そういう思いも強くて、だんだん自分がロシアをそういう国にしていってしまったんですね。ところが、昔弟分だった中国が、人口も経済力も、それからGDPも、今やはるかに兄弟分の上にいっちゃったんです。今のロシアは中国の10分の1ぐらいですよ。皆さんご存じの通り、中国は世界でGDP第2位を狙って。今のロシアのGDPは韓国ぐらいです。150兆円ぐらい。日本が550兆といわれていますから、かなり小さくなって、ミニソ連になっちゃったと私は見ているんです」と分析されておられました。

 斎藤さんは「ですから、今行くとすみれさんはかなり体質に合うんじゃないのかな」って笑っておられましたが、私はこの間サハリンに行ってきました。モスクワとペテルブルグにも行ったことがあるのですが、サハリンの人は、どちらかというと日本人っぽいお顔をされている方も多いせいか、すごく日本人に興味を持ってくださる方が多くて、スキー場で家族にニコニコニコニコされたり。やっぱりいろんな悲しい記憶がサハリンは多いですから、日本人のことが嫌いなのかもしれないと思ったんですが、ものすごくやさしくしてくださいました。

 ガガーリン公園にも行ったんですが、今はスケート場になっている王子ヶ池という池があって、ちゃんと石碑に、当時のことが残っていたりしました。日本時代の建物などを取り壊さないでそのまま使っていたり、けっこう不思議な混ざり方をしている、独特の街でしたが、あったかい、すてきな街でした。惜しむらくは、ビザを取るのが大変なのと、飛行機が遅れがちなのが残念な所です。

 ロシア渡航のあの大変さってなんなのですかね。私はソ連には行ったことがないので、ソ連時代はどういう手続きが必要なのか斎藤さんに聞いてみました。

 斎藤さんは「ずいぶん苦労しましたね。手続き的には東京のソ連大使館の領事部に行ってビザ申請をするんですけど、記者の場合には、かなり重要な、複雑な手続きがありまして。僕2回行きましたけども、最初のときは3カ月ぐらいかかりました」って教えてくださったのですが、申請に3カ月かかるのはビックリですね。

 斎藤さんが2回目に行かれたときは、エリツィンがずっと10年間ぐらいやっていた後、プーチンの最初の年だったので、ビザが簡単に出たそうです。斎藤さんは「産経新聞は、はっきりとものを書くので有名な新聞なので、あまりソ連ロシアに評判がよろしくないんです。特に斎藤という男は、あれは札付きの反ソ反共、ゴリゴリの右翼記者だ」というようなことを言われていたそうです。斎藤さんは「いわれなき誹謗(ひぼう)中傷です。これには敢然と私は立ち向かいましたけど…」っておしゃっていました。

 そんな斎藤さんは、やっぱりソ連にいても監視されたりしたのか聞いてみたのですが、あっさり「ありますね」って答えていただきました。

 斎藤さんがおっしゃるには、ゴルバチョフの時代は、ペレストロイカという、英語で言うとreconstruction、再構築という意味ですが、それにグラスノスチといって情報公開で、けっこう言論の自由があって、好きなことを書けるようになった時代なんだそうです。

 「あの時代が一番ソ連ロシアの時代で言論の自由が謳歌(おうか)できた頃ではないかなと思っています。ただそういう時代が来たにもかかわらず、逆に情報機関、特にKGBは、自分たちがつくってきた国が倒れそうになっているという危機感があって、新聞記者の書く原稿にはピリピリ神経をとがらせていたわけです。日本の場合には、東京の駐日大使館が、札付きの私みたいな記者の原稿は全部翻訳して本国に送るわけです。そうすると、これはまずいことを書いてくれたなというときには、やっぱりやばいことが起きるんです…」と斎藤さんは話してくださったのですが、一体何があったのかというと、「モスクワは絶対に地震が起きない。ルーマニア地震で1回揺れたらしいですが、あそこにはプレートも走ってないし、まったく地震はないんです。それなのに本棚が倒れていた…」ということがあったそうです。

 それでも斎藤さんはおじけづかずに、ソ連の実態を突き止めていこうということをやめなかったんですね。斎藤さんは「逆に僕はファイトが湧いたんですね。よし、こういう国だったらやってやるぜ。なにせ反ソ、反共の産経新聞ですから、そこまで評判が悪いなら徹底的に居直ってやってやれというふうな気にもなりました」っておっしゃっていましたが、かっこいいです。

 ということで今回はここまで。次回も公開録音の模様をお届けします。お楽しみに。

上坂 すみれ

「上坂 すみれ」イメージ画像声優・歌手。ソ連、ロシア研究、ミリタリー、香港映画、ロリータ服、テクノ歌謡、中野ブロードウェイ散策など多彩な趣味をもつ。声優としては「中二病でも恋がしたい!」凸森早苗役、「ガールズ&パンツァー」ノンナ役、「アイドルマスター シンデレラガールズ」アナスタシア役、「艦隊これくしょん-艦これ-」吹雪役など人気作品に多数出演。歌手としては2013年にデビュー後、シングル6枚、アルバム2枚をリリース。第10回声優アワード新人女優賞受賞。2016年4月からヲタカルでも配信のラジオ番組「上坂すみれの文化部は夜歩く」(ラジオ大阪)がスタート。

  • 早瀬かな(安元雄太撮影)
  • 上坂すみれ(安元雄太撮影)
  • 斎藤勉大阪代表(安元雄太撮影)
  • ラジオ大阪「上坂すみれの文化部は夜歩く」公開録音上坂すみれ、斎藤勉大阪代表、早瀬かな(右から)=18日午後、大阪府松原市(安元雄太撮影)
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