2017.3.23 13:48

【畑史進コラム】あぁ素晴らしきかなTVゲーム第50回 「ゲーム」が知りたい

【畑史進コラム】

あぁ素晴らしきかなTVゲーム第50回 「ゲーム」が知りたい

特集:
畑史進
新規ユーザー獲得に向けたPRなんだろうけど、残念ながら、このSSRが何なのかわからない・・・(SEGA「オルタンシア・サーガ」)

新規ユーザー獲得に向けたPRなんだろうけど、残念ながら、このSSRが何なのかわからない・・・(SEGA「オルタンシア・サーガ」)【拡大】

 正直仕事をしたくないほどここ最近『閃乱カグラ PEACH BEACH SPLASH』にハマってどうしようもない僕だが、毎週のこのコラムだけは落とすわけにはいかないので、重い腰を上げて書かざるをえないのだが、どうしても時折筆を置いては隣の画面に写っているまぶしい白ビキニの女の子たちに目が移ってしまい、ついついイタズラをしたくなってしまう。もう僕は末期かもしれない・・・そう思いながこのゲームをプレイしていると、本当にこのゲームに出演してあんなせりふやこんなせりふを入れてくだすった声優陣の方にはただただ手を合わせるばかりである。ありがたや~

 さて、どの業界でもそうだが、新作の映画やゲームには有名人の存在が欠かせないもので、とりあえず役があっていようがいまいが当てはめてしまえば質はどうあれ、一定のファンが作品や商品を手にとるので、知名度というものは非常に重要なものだとわかる。古い例では戦後の邦画でよく見られたが、テレビがない時代に普段1枚の写真でしか知らないときめくスターたちが、映画でのみ見せるはつらつと動きしゃべるその姿を一目見ようと足を運ぶというのとなんら変わりはない。

 現代では「あの〇〇さんがデザインした新商品!」ということからわかるように、有名人のブランドからそこに繋がるファンをターゲットに新商品を売りさばくもくろみも頻繁に行われている。

 ゲーム業界では、有名俳優を声優として起用することでターゲットを広げる試みがスタンダードとなっているが、ゲームのジャンルによっては、このビッグネームがゲームの品質を上げることもある。その代表例がノベルゲームだろう。以前も話したが、ノベルゲームは昔のゲームブックをそのままビデオゲーム、デジタル化してソフトに落とし込んだもので、さらに大きくジャンル別をすればゲームブックは小説のようなものなので、それに有名俳優・声優が声を当てていればただのドラマCDやラジオドラマと大差がないので妥当な起用だといえるだろう。また、アニメや映画からのゲーム化は声優がいなくては話にならない。

 対して著名人を使ったパターンでこれはどうなんだろうと疑問に思うのが、新規IP又は新作でゲームシステムの紹介よりも有名人の名前や写真をドーンと大っきく出すパターンや、あまりにも有名すぎる人を起用してそこに話題性を集中させようとするパターンだ。

 最初のインプレッションでゲームに興味を持ってもらうために、このようなサプライズ?をやりたくなるのは分からないでもないが、われわれゲーマーからすれば有名人の名前は出されてもその人は既に知っているわけで、ゲームに登場するかどうかはどうでもいいのだ。一番知りたいのはそのゲームがどういうゲームで、どんなことができるのかという「中身」であって、そこからゲームについてあれこれ妄想や想像して発売日までワクワクしながら待ち続けるわけで、有名人さんの名前を出されてもその人について妄想や想像なんかできるわけないしする気もない。

 テレビの世界でも起きていることだが、役名と演じている人の名前がほぼ同じ大きさになっていて、一瞬なんのこっちゃかわからないときもあり、スマホゲームでは特にその傾向が強い。下手をすると一枚の広告の中で声優の名前のほうがゲームタイトルよりも大きく出して、本分である「ゲーム」が一体何のゲームだかわからないことのほうが多く、これは「ゲーム」を売りたいのか、それとも声優を売りたいのかわからないことだらけである。最近見たものなかで一番「なんじゃこりゃ」と首をかしげたのが、四角い広告の中に見たことのある声優の名前がズラッと並んでいて、最後に小さくタイトルが書かれていたとき、もはや商品ですらないのではないだろうかと疑問に思うほど。1枚絵をひたすら追いかけて延々とガチャガチャ回すスマホゲームだからか、キャラクターの絵をデカデカと載せて終わらせた物のほうがいっそすがすがしい用に思える。

 有名人を起用したゲームは古くからあり、多くの人の記憶にいまなお鮮明に残り続けているものもある。『たけしの挑戦状』『オールナイトニッポン スーパーマリオブラザーズ』『さんまの名探偵』『カトちゃんケンちゃん』『田代まさしのプリンセスがいっぱい』『中山美穂のトキメキハイスクール』等々上げていけばキリがない。しかしこれなどは今とは時代が違って、当時はテレビゲームが黎明期で芸能人の中にはゲームに嵌ってからテレビ出演の延長で出演を希望するパターンや、ゲーム世界の中に有名人を出したらどうだろうかという制作側の実験的な試みやエンターテインメントとして傾向が強かった。

 『たけしの挑戦状』なんかはさらに面白い例で、当時タイトーにビートたけし氏自身が企画を持ち込んで、あのようなハチャメチャなゲームになったという話はゲーマーの間では有名で、後にたけし氏は「究極のクソゲーを作っちゃったことがありますが、当時親から子供から色んな所からクレームが来て、攻略本も出したんだけど読むと余計にわからなくなっちゃった」と振り返っている。

 海外で似たような例として有名なのが『マイケル・ジャクソン ムーンウォーカー』だ。当時SEGAのゲームにお熱だったマイケルが(ジェネシスか?)、企画をSEGAに持ち込んで作らせてしまったのが同名映画作品のゲーム化だったのだが、以来マイケルとSEGAは親密な関係になり、ドリームキャストで発売された『スペースチャンネル5』では、開発中のソフトの試遊をした際に急遽(きゅうきょ)出演交渉をして「500年の時を越えて活躍するスーパースター スペースマイケル」として華々しい登場を飾った(当時SEGAはいくら払ったんだろうね・・・)。(※参考『ゲームになった映画たち』ジャンクハンター吉田)

 以後、段々と有名人が出てくるゲームは、ゲーム制作費の高騰や時代の流れで本数を減らしていき、有名人がタイトルを飾ることはなくなり、ドラマ部分の強化やゲスト出演として本人を役に当てて登場させるという流れになっていった(近年ではAKB48のVitaのゲームが最後だったように思う・・・爆死したけど)。現在はCGの描写能力が上がり、スクリーンで見るのと大差ない物に仕上がっているので有名人が本人のまま出ると「似てるなぁ・・・」とにやにやしながら見入ってしまう。また海外では映画原作ゲーム、ドラマ原作ゲームの制作の際、映画制作の契約の時点で肖像権を包括しているので、すんなりと作られることになるが、すごいものになると『レゴ・スター・ウォーズ フォースの覚醒』のように姿形は違えどボイスパートまでお願いすることもある。

 元々ある映画などの実写作品に有名人をそのまま当てることは何の違和感もないし、むしろ変更すると非難ごうごうになるので、そのようなことは懸命な判断とはいえないが、ゲーム作品でゲームよりも前に有名人を押し出すのはいい加減やめたほうが良い。有名人を売るのは事務所の仕事であって、作品発表のときには軽い扱いでいいくらいだ。われわれはあくまで「ゲーム」がしたいのであって、有名人を見たいわけではない。

 もちろん最新のCGで描かれる超豪華俳優を見るのは非常に面白いし、ゲームの上で操作できるのは楽しいときもある。『鬼武者2』の主人公:柳生十兵衛に亡き松田優作を起用した例があるように、ドリームチームを結成することを狙った試みもありだとは思うが、ゲームのプロモーションをするときには最初にゲーマーに標準を合わせた見せ方をしないと本末転倒になりかねない。ゲーマーは「ゲーム」を知りたいのだ。

 今日はここまで!よしぱいぱいしに戻っちゃうぞ!

畑 史進

「畑 史進」イメージ画像フリーランス声優・ナレーター フリーランスライター。日々、ゲームネタを漁りながらニコ生放送にも出演。スター・ウォーズ解説員、TVゲーム解説員としても活動中。

  • ジャンルは書いてあれど、声優含め知らない人にはさっぱりわからないが、ここまで来るといっそ清々しい。(CyberAgentInc「エンドライド-Xfragments-」■■キャプション■■ジャンルは書いてあれど、声優含め知らない人にはさっぱりわからないが、ここまで来るといっそ清々しい。(CyberAgent Inc「エンドライド-X fragments-」
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