2017.1.17 20:33

【高橋信之コラム】オタク図書館収蔵決定! 『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』ブックレビュー! 

【高橋信之コラム】

オタク図書館収蔵決定! 『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』ブックレビュー! 

特集:
高橋信之
『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』

『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』【拡大】

 マニアと映画業界をめざすヒトは必読必携の「新世紀の映画製作プロセス」がしっかりばっちり分かる豪華解説書です。 

 本巻:A4寸 上製本ハードカバー/フルカラー560ページ 

 付録:B5寸 撮影台本レプリカ /モノクロ約300ページ 

    B3寸 前田真宏・鶴田謙二の描き下ろしポスター2点 

    A6寸 ポストカード3枚 

 と、これでもかという程、てんこ盛りの内容。 1万円という大冊ですが、ゴジラ好きやSF映画、怪獣映画のファンに限らず、これから映画業界とくにCGスペクタクル映画のクリエーターをめざすヒトにとって買っておいて損はないと思います。いや、買わないとダメ。 

 コンセプトスケッチやクリーチャー(怪生命体)としてのゴジラの動きやメタモルフォーセス(変身)の指示描き、それらのコンセプトを具体的に画面で表現するためにどのようにして実写、ミニチュア、CG、のコンポジット(組み込み撮影)が行われていったか…が刻銘に記録されています。 

 さらにプロジェクトムービー(計画作戦映画)としての人間関係や作戦会議室のシーンのために美術スタッフが組んだセットやロケ地もすべて網羅しています。 

 読むべきは『シン・ゴジラ』の構想がまとまってゆく過程が恐ろしい程の臨場感をもって読める庵野秀明のプロットと改訂プロセスの全記録。 

 なるほど、こうやって特撮映画は作られているのか…とプロセス学ぶには最適の教本です。 

 この本、昨年8月発売として刊行発表されてたんですが、何度かのリスケジュールでようやく年末ギリギリに発売となりました。当初は本巻432ページと予告されていたのに、仕上がりは560ページ。 

 おそらく庵野監督や編集スタッフが「あれも、これも…」と収録内容を盛り込んだ結果、締め切りは延びるわ内容は膨らむは…というてんやわんや…が想像できます。 

 こういう本は、買いなんだよね、オタク的には…。 

 内容が濃くなる方向で進んだと分かればお得艦もひとしおでしょ。 

 この1万円の大冊、なんと2億円もの売りあげとなっています。 

 新年早々、トーハンの賀詞交歓会で藤井社長が意気揚々と「トーハン専売商品として2億円の売り上げを達成しました」と発表があって、驚きました。2万冊も売り切ったというのです。そんなに『シン・ゴジラ』のファン層は厚かった・熱かったのか! 特撮SF映画ファンの魂に火がついていたのか!…と驚嘆しました。 

 トーハン(東京出版販売)は書籍を版元から仕入れて書店に流通させる本の問屋さんで、日販(日本出版販売)、大阪屋栗田と合わせて取次三強と呼ばれています。 

 そのトーハンが他の取り次ぎに扱わさせない…専売商品として2万部を仕入れて売り切ったのです。 これは、絶対に買いだなと思いました。 

 おそらく、この後に重版増刷はしづらい企画商品だからです。 

 箱、付録、製本すべてにおいて「一度に2万部作ったから成立した」はずの構成なので、よほどの追加部数が見込めない限り、1千部単位での増刷はないでしょう。 

 ならば、初版を買い逃すと暫くは手に入らないかも…であり、そのまま増刷されなければ価値が高まるから…というのが、買うべき理由。 

 まだ若干の流通在庫があるようなので、店頭で見つけたらぜひ買うべきです。 

 将来の価値高騰で値段や価値が上がることも十分に考えられます。 

 PS 

 ひとつふたつ残念なのは、「ジ・アート・オブ~」と銘打っているのですが、アート=ビジュアル面よりも製作記録=プロダクション面の方が分量が多いこと。

 あと「もっと大きく写真を見せた方がいいのにな…」というところがあること。

 ま、本書の魅力に対して1パーセントほどの魅力減ですけどね。

高橋 信之

「高橋 信之」イメージ画像スタジオ・ハードデラックス株式会社 代表取締役 東京国際アニメフェア実行委員 日本アニメーター・演出協会 応援団長 アニメ記者クラブ/アニメプレスセンター 起案者・理事「出版や広告、商品開発、映像メディアで活動するプロデューサー/プランナー。アニメ、SF映画、ビデオゲーム、玩具、デジタルデバイスなどを得意分野とし、多くの雑誌編集者やデザイナー、映画監督と交流する。

  • 『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』
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