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【山田将史の鉄道コラム】「山田将史の出発進行!」第5回 2016年、『世界最長』は日本からスイスへ

【山田将史の鉄道コラム】

「山田将史の出発進行!」第5回 2016年、『世界最長』は日本からスイスへ

青函トンネルの内部。今の新幹線車両では見られないが、かつては一部の車両で最後部の窓から青函トンネルの中を見られた

青函トンネルの内部。今の新幹線車両では見られないが、かつては一部の車両で最後部の窓から青函トンネルの中を見られた【拡大】

 みなさま、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。2017年はJR発足30周年であり、鉄道趣味業界としても見逃せない年になりそうです。

 さて、そんな2017年に入り、「第2青函トンネル」という構想が報道されました。現在、北海道と本州は「青函トンネル」という長さ50キロメートル以上もの長い海底トンネルによって結ばれており、2016年からは新幹線もその中を通っていますが、それに並行して新しいトンネルを建設しようという構想です。なぜそんな構想が持ち上がっているのでしょうか?

 しばしば誤解している人もいるようですが、青函トンネルは、鉄道専用のトンネルになっています。本州と四国を結ぶ橋のうち瀬戸大橋は鉄道と道路の共用になっていますが、青函トンネルは線路だけが敷かれています。自動車で本州と北海道を行き来する場合は従来通りフェリーを使うことになります。

 そんな青函トンネルは上下各1本ずつ、合計2本の線路、つまり複線で建設されています。開通からもうすぐ30年がたとうとしていますが、昨年新幹線が開業する前から、新幹線が通ることを見越して設計されていました。そのため、比較的小規模な工事のみで在来線の列車と新幹線の列車が両方走れるトンネルとなりました。

 しかし、新幹線の最高速度は時速260キロメートル、それに対して貨物列車は時速110キロメートルが最高です。すれ違う(「離合」という)列車の速度差が大きすぎると風圧によって転覆する危険性が高くなるため、現状は新幹線の速度を落とすことによって対応しています(在来線特急時代と変わらない時速140キロメートル)。

 また、新幹線は毎日深夜に必ず線路の保守点検を実施しています。これまで貨物列車は深夜にも多数走行していたのですが、新幹線開業の影響によって走る時間帯が制限されることになってしまいました。

 新幹線の速度はなるべく速くしたいし、貨物列車も安定して走らせたい。実は、鉄道貨物は日本国内では既に斜陽となっていますが、対北海道輸送に限っては別。青函トンネルが止まれば雑誌の発売が遅れるといわれるほど北海道にとってなくてはならないインフラなのです。昨年、北海道新幹線開業前の4日間、最終調整のため旅客特急列車が全て運休しましたが、それでも貨物列車は全て走り続けました。そういった背景があり、貨物列車専用の単線(上下の列車が1本の線路を使って走る)のトンネルを並行して作ろう、という構想がでてきているのです。

 そんな青函トンネルですが、開通からこれまで、長らく「世界最長トンネル」の座を保持していました。全長53.85キロメートル。在来線時代、青函トンネルを特急「スーパー白鳥」で通過すると、自動放送で青函トンネルについて紹介があったのですが、その中で世界一であることに触れていました。

 海外の鉄道に詳しい方であれば、イギリスとフランスを結ぶ「英仏海峡トンネル」がそれに匹敵する長さであることをご存じでしょう。こちらは50.5キロメートルと青函トンネルにわずかに及びませんが、海底部(海の下を通る距離)では青函トンネルよりも長くなっています。実は青函トンネルはその半分以上が海の下ではなく、陸地の地下を通っています。

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  • 英仏海峡トンネルを通りイギリスとフランスやベルギーを結ぶ「ユーロスター」の車両
  • スイス南部・ベリンツォーナ(Bellinzona)駅の発車標。上から4番目の列車がゴッタルドベーストンネルを通る
  • ゴッタルドベーストンネルを通るスイス連邦鉄道の特急列車
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