2016.10.19 15:39(1/3ページ)

【高橋信之コラム】『この世界の片隅で』は、傑作!

【高橋信之コラム】

『この世界の片隅で』は、傑作!

特集:
高橋信之
映画「この世界の片隅に」より

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 この2016年は日本映画界にとって、かなり上首尾な年でした。

 『シン・ゴジラ』を興収80億円超、『君の名は。』を興収180億円超とぼくは予想していますが、どちらも「日本映画」としての特長と未来への可能性を純分に感じさせてくれる特撮とアニメだと思います。

 さらに…。

 来月には『この世界の片隅に』が公開されます。

 前述の2作品に比べれば劇場館数も十分の一くらいの規模だそうで興収での比較には意味がありませんが、とにかく「地味に傑作」です。

あ、ここで「地味」と表現したのは最近の若い女子コトバで「実力がありしっかりした」という意味です。(校閲ガールドラマ『地味にスゴイ』参照)

 『この世界の片隅に』は太平洋戦争下の広島県呉市を舞台にした「戦時生活ドラマ」です。

呉は日本海軍の鎮守府がおかれた軍港で、画面には戦艦大和や帝国海軍艦艇がチラッと出ます。また通常爆弾や焼夷弾を投下する爆撃機B-29の編隊や高射砲、迎撃機の場面も僅かながらあります。

 だが決して「戦争映画」ではありません。

 ミリオタさん的には物足りなく口寂しいと思いますが、そこを見る映画じゃありません

 あの戦時下で、国民がどう暮らしたか、主人公すずがどう生きたか…を淡々と描いたライフサバイバル、生活戦記ドラマなのです。

 原作は女性漫画家こうの文代さんの漫画(双葉社・漫画アクション初出)で、2011年に一度TVドラマ化されています。

しかしながら、このドラマ化では主役のすずに北川景子を配したことで作品の意味合いがちょっと変成してしまったように思えます。

 北条すずは決して「美人」じゃなくて地味にかわいい女性だし、物語も彼女を中心とした話ではありますが、彼女の目を通して描かれた戦時下の国民生活なんです。

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