2008年05月13日 更新
ド軍・黒田、7回二死までノーヒッ投も遠い2勝

また白星が逃げた…。七回二死まで無安打の快投も2勝目につながらなかった黒田(AP)
【ロサンゼルス11日(日本時間12日)】ドジャースの黒田博樹投手(33)がアストロズ戦に先発。七回二死まで無安打に抑える好投で、勝利投手の権利を持って降板しながら救援陣が打ち込まれ、5−8の逆転負け。黒田は7試合ぶりとなる2勝目を逃した。
◇
ヒーローになれない。メジャー移籍後、最高の投球でも勝てなかった。白星デビューとなった4月4日のパドレス戦以来、7戦白星ナシ。黒田が勝利に見放された。
「ノーヒットは頭にはあったけど、自分の記録よりもチームが勝てるように、という気持ちの方が強かった」
大記録の期待が高まっていた。「勝ちたい」という思いを込めて投げ込んだ最速95マイル(約153キロ)の直球とスライダーは抜群のキレを見せた。女房役のラッセル・マーティン捕手(25)が「今季で一番」と振り返る内容で、六回まで3四死球のみで安打を許さない。ア軍の松井稼も3打数無安打に抑え、メジャーでは野茂英雄以来(96年、01年の2度)の日本人ノーヒッターの誕生かと思われた。
七回二死から6番のハンター・ペンス外野手(25)に左前打され、スタンドのため息とともに大記録は消え、7番打者に四球。次打者に1球投げたところで2点リードのまま交代となった黒田に、4万を超す大観衆は総立ちで称賛の拍手を送った。
ベンチに下がった黒田に、悪夢が襲ったのは3−1で迎えた八回だった。ジョナサン・ブロクストン投手(23)が大乱調。6安打6失点で黒田の勝利は消えた。この日は風邪で不在だったが、過去に2度、守護神の斎藤隆投手(38)も黒田の救援に失敗。黒田にすれば今季4度の本拠地登板のうち3度、抑えコンビの不調で白星を逃したことになる。
「先発の仕事はできた…」。収穫はあった。広島時代の決め球だった右打者への内角シュートが、内角よりも外角に広いとされるメジャーのストライクゾーンでは「ボール」と判定されて見送られ、効果的に使えない。そこで、この日は握りを変えてバージョンアップしたスライダーでコーナーを突いて、前回、四回途中でKOされた借りを返した。
「すぐに修正できたのは大きい。ただ、結果が出ないと乗っていくのは難しい。正直、勝ちたい」。苦しい胸の内を吐露した黒田。次こそ…。待望の2勝目をつかみとる。
★黒田トーク
−−交代時、ファンからは大歓声があがった
「先発の仕事はできたと思いましたし、次もまたこういう形でピッチングができればと思う」
−−無安打投球が続いていた
「2点差だったので、ノーヒットは頭にはあったけど、チームがどうやって勝つかというのを考えた。ノーヒットよりも走者を出さないこと。自分の記録よりもチームが勝てるように、という気持ちの方が強かった」
−−松井稼との対戦は
「日本ではオープン戦ぐらいしかないので。(特別な意識は)なかった」
−−前回登板からの修正点は
「気持ちの部分だけで、あとはそれほど何かを変えた、ということはない」
−−技術面の修正は
「スライダーをちょっと変えて、それがうまくハマったというか、いい感じで投げられたと思う。自分の中でも感覚的には、いい時に近いスライダーになってきたんじゃないかなと思う」
−−手応えはあったか
「前回が悪かったから、すぐにこういう形で修正できたというは僕にとっては大きかった」

★恩師「粘り強く投げて」
黒田が専大時代、監督だった恩師の望月教治さん(72)は「テレビの映像で見ました。いい球を投げていたんだけどね」と、勝ち星に恵まれない教え子を気遣った。現在は一線を退き、静岡県内に在住。週末は“頼まれコーチ”でグラウンドに立つなど、野球への情熱は衰えない。「甘いボールがいくことがあり、メジャーの打者はそれを逃さない。でも粘り強く投げて、最後に勝つのが彼の持ち味。それを忘れなければ、勝ちは転がってきますよ」とエールを送った。
■昨年の同時期は
勝ち星に恵まれない黒田。昨季、広島での同時期(開幕から日本時間5月12日まで)は6試合に登板し、3勝2敗だった。15勝12敗で自身初となる最多勝のタイトルを獲得した2005年は、同時期に7試合に登板し、5勝1敗のロケットスタートだった。








◆黒田の投球についてドジャースのジョー・トーリ監督(67)=写真
「長いシーズンではこういう落とし穴がある。黒田の好投を台無しにしてしまった。(黒田は)スーパーだった。小差の展開と相手の強力打線を考えれば、大きなステップアップになったと思う。勝てないことについては心配していない」