人気野球漫画『ドカベン』の山田太郎君もビックリの“スイッチ対決”に、地元のニューヨークばかりか、全米の野球ファンが騒然となった。ヤンキース傘下の1Aスタテンアイランドで、両投げの新人パット・ベンディット投手(22)がデビュー。
スイッチヒッターと対戦したことから、ひと騒動が起きた。
漫画『ドカベン』に夢中になった読者なら覚えているだろう。木下次郎(通称わびすけ)という両投げの投手が現れ、主人公の山田太郎が苦しめられた。
ニューヨークでは19日(日本時間20日)、ヤンキースに入団した両投げ投手が両打ち打者とマイナーリーグで対戦。投手が投げる手、打者は打席をクルクルとかえて審判を困らせるという、まさに漫画のような“スイッチ対決”があった。
話題の主は、ヤ軍が今月6日のドラフト20巡目(全体620位)で指名したパット・ベンディット投手(22)。本来は右利きだが、父親の指導で3歳から左投げも始めた。日本のミズノ社に国際FAXを送り、ドカベンで“わびすけ”が使っていたような両手投げ用のグラブを特注して練習に励んだという。
リトルリーグ時代は相手から双子投手と間違えられ、高校時代は左で投げた翌日に右で登板したこともある。右ではMAX146キロの速球と大きなカーブが武器の本格派で、左はサイドからのスライダーが決め球の軟投派だ。
全米に映像が流された問題の試合は、ヤ軍傘下の1Aスタテンアイランドでのデビュー戦だった。九回に登板。二死一塁で両打ちの指名打者を打席に迎え、2人のイタチごっこが始まった。
ベンディットは指部分が6本、捕球網が2つある特注グラブをはめ替え、打者は左右の打席を往復…。米大リーグでは「1打席中に打者も投手も左右をかえられるのは1度だけ」という規則になっているが、どちらが先に決めるかは明記されていない。この日は球審が打者に選択を指示。右対右となり、ベンディットが三振を奪って歴史的なスイッチ対決を制した。
メジャーで1900年以降、左右で投げた投手は1995年エクスポズ(現ナショナルズ)のグレッグ・ハリス投手だけ。ベンディットの昇格が近づけば話題になるだけでなく、ルールでも論議を巻き起こしそうだ。(米大リーグ担当キャップ)
本紙にコラムを寄稿しているマイナーリーグ審判員の平林岳さん(42)の話
「審判の間でも“スイッチ対決”は話題になっています。大リーグは“投手も打者も左右をかえられるのは1打席で1度だけ”という規則なんですが、投手と打者のどちらが先に選択するか決まっていません。投手がスイッチの打者と対戦する前に投げていた方を基準にする案もありますが、これだと先頭打者だったときの問題が残ります。今回のことで近いうちに新たな規則が追加されると思います」
パット・ベンディット(Pat・Venditte)
1985年6月30日、米ネブラスカ州オマハ生まれ、22歳。本来は右利きだが、父親の指導で3歳から左投げもスタート。フォームを安定させるためアメフットの球を左右の足でける練習もしていた。クレイトン大入学時は騒動になることを危惧(きぐ)した監督が公式戦での両投げを禁止。2年時から許可された。昨季ドラフトでヤ軍から45巡目(全体1345位)で指名されたが、入団せずに大学でプレーしていた。1メートル85、86キロ。