2008年05月05日 更新

【天皇賞・春】アタマ差も完勝!ジュピタに2年遅れの春

メイショウサムソン(奥)の追撃をアタマ差しのいだアドマイヤジュピタ。GI初挑戦Vで国内最強をアピール

メイショウサムソン(奥)の追撃をアタマ差しのいだアドマイヤジュピタ。GI初挑戦Vで国内最強をアピール

 第137回天皇賞・春(4日、京都11R、GI、4歳上オープン国際、定量、芝・外3200メートル、1着本賞金1億3200万円=出走14頭)遅れてきた大器が古馬の頂点に立った。第137回天皇賞は岩田康誠騎乗で3番人気のアドマイヤジュピタがGI初挑戦でV。2着メイショウサムソンの追撃をアタマ差振り切って7勝目を挙げた。3分15秒1(良)。ジュピタはこれから夏休みに入り、秋にメルボルンCへ向かう。

 激しい追撃を振り切って飛び込んだ歓喜のゴール。着差はアタマだが、実力の差は歴然としていた。GI初挑戦Vの快挙で、アドマイヤジュピタが古馬の頂点を極めた。

 「アイター! やってしまったな〜、と思いました。2、3番手に行く予定だったのに…」

 殊勲の岩田康誠騎手は苦笑いで発馬を振り返った。最後入れの14番枠にもかかわらず、大きく出遅れ。「歓声が聞こえてきました。“オレやな。何で出遅れてんねん”って」。だが、その記憶が鮮明に残るほど冷静だった。「腹をくくろう」。気持ちを切り替え、瞬発力を生かす策に賭けた。

 道中で目の前にいたのは昨年の覇者メイショウサムソン。絶好の目標だった。4コーナーで仕掛ける相手を見ながら、手応え良く進出。GOサインに鋭く反応して、一瞬で抜け出した。しかし、ソラを使う悪癖が出て、徐々に差を詰められる。懸命に追う岩田。最後にひと伸びしたところが、栄光のゴールだった。

 「何と言ったか覚えていませんが、声が出ました。最後はヒヤッとしましたが、並んだら負けないと思っていたんです」

 感激の面持ちなのは悲願のGI初Vを成し遂げた友道康夫調教師。しかし、競り合いの強さに対する自信は、興奮の中でも揺るぎなかった。

 3歳春。ダービーの有力馬に挙げられながら骨折(右後肢飛節)に見舞われた。「今でもあの日は鮮明に覚えています」と友道師は表情をゆがめる。約1年5カ月の長期休養から戻ってきた時、体は40キロも増えていた。だが、この回り道が成長を促したのも事実だ。最下級条件の復帰からわずか約9カ月。スタッフ一丸の努力で、想像を超える出世を遂げた。

 GI馬になったジュピタは、早くも夏休みに入る。メルボルンCの優先権を得て、豪州遠征の公算が大きくなったからだ。06年にデルタブルースでこのレースを勝った岩田は、豪州で最も有名な日本人騎手でもある。

 「まだまだこれからの馬。もっと成長して、もっと走るジュピタを見せられると思います」

 岩田はさらなる成長を予言する。混戦を断ち切る快勝で王座に就いたアドマイヤジュピタが、岩田とともに世界へと羽ばたいていく。

(黒田栄一郎)

■アドマイヤジュピタ

 父フレンチデピュティ、母ジェイズジュエリー、母の父リアルシャダイ。栗毛の牡5歳。栗東・友道康夫厩舎所属。北海道早来町(現安平町)・ノーザンファームの生産馬で、馬主は近藤利一氏。戦績13戦7勝。獲得賞金3億2657万9000円。重賞は07年GIIアルゼンチン共和国杯、08年GII阪神大賞典に続き3勝目。GI天皇賞(春)は友道康夫調教師、岩田康誠騎手とも初勝利。

盾初制覇で感激いっぱいの近藤利一オーナー(左)と抱き合って喜びを表す岩田康騎手。右はオーナー夫人の英子さん(撮影・金子貞夫)

盾初制覇で感激いっぱいの近藤利一オーナー(左)と抱き合って喜びを表す岩田康騎手。右はオーナー夫人の英子さん(撮影・金子貞夫)

★悲願成就の近藤オーナー「盾はずっしり重かったよ」

 “4本の矢”はやはり強かった。4頭を出走させたアドマイヤ軍団の中で、最も高い支持(3番人気)を集めたジュピタが、メイショウサムソンを振り切って優勝した。「(天皇賞)盾はずっしり重かったよ」。近藤利一オーナー(65)にとって、天皇賞優勝は日本ダービー以上の重みがあった。友道調教師と抱き合い、悲願達成に目を潤ませていた。「秋はモナークといっしょにメルボルンCに行くつもり。春はコマンド(日本ダービー)と、オーラ(宝塚記念)に夢を託すよ」。今年、すでに重賞8勝というアドマイヤ軍団の勢いは止まりそうにない。

★11・4豪メルボルンC出走前向き

 JRAは4日、天皇賞・春の勝ち馬にオーストラリア最大のレースであるメルボルンC(豪州・フレミントン競馬場、GI、芝3200メートル)への優先出走権が与えられることを発表した。すでに、JRAでは前年のメルボルンC勝ち馬を天皇賞・春に招待することを発表しているが、日豪両国のステイヤーの交流を深める目的。この日、ヴィクトリアレーシングクラブCEOのデール・モンテース氏が京都競馬場に来場しており、「JRAとともにステイヤーの競走を世界に向けてプロモートできることをうれしく思う。日本の優れたステイヤーが天皇賞と08年のメルボルンC(11月4日)において競い合い、その能力を発揮されることを楽しみにしている」とコメントした。勝ったアドマイヤジュピタは、さっそくこの優先権を得たことになる。

■アラカルト

 ◆長距離王・岩田康 これまでに岩田康騎手が勝った芝のGIは2200メートルの07年宝塚記念が最短。他は07年ジャパンC(2400メートル)、04年菊花賞(3000メートル)、08年天皇賞・春、06年メルボルンC(ともに3200メートル)で、5勝の平均距離は何と2800メートルになる。
 ◆アドマイヤ勢 天皇賞の同馬主4頭出走は、昨春の(有)サンデーレーシング以来で、GIでは7度目だが、個人馬主としては初。勝利も今回が初。また、アドマイヤの近藤利一オーナーは、今年の重賞が8勝目で、(有)社台レースホースと並んだ。
 ◆関西馬 アドマイヤジュピタの勝利により関西馬が4連勝。1〜3着独占も4年連続。
 ◆阪神大賞典 阪神大賞典→天皇賞連勝は06年ディープインパクト以来9頭目(大賞典が12月から3月に変更された87年以降)。

★入場売り上げダウン

 第137回天皇賞が行われた4日、京都競馬場には前年比95.7%の8万1760人が訪れた。好天に恵まれたものの、GWのど真ん中という日程に加え、やや小粒な印象のメンバーだったことが影響したようだ。天皇賞の売り上げも前年比93.5%の221億6535万6000円にとどまり、過去最高を記録した97年の453億1664万8800円の半分以下に落ち込んでいる。

▼第137回天皇賞・春 (5月4日、京都11R、GI 、4歳上OP、芝3200m)
1着(14)アドマイヤジュピタ
2着(8)メイショウサムソン
3着(13)アサクサキングス
単勝 14 580円
複勝 14
8
13
190円
200円
140円
枠連 5-8 460円
馬連 8-14 2,000円
ワイド 8-14
13-14
8-13
810円
380円
500円
馬単 14-8 4,430円
3連複 8-13-14 1,880円
3連単 14-8-13 13,500円
(レース結果はJRA発行のものと照合し確認して下さい)