2007年07月22日 更新
天才・武豊がついに岡部超え!前人未到のJRA『2944』勝

通算2944勝の新記録を達成して、仲間のジョッキーから祝福の胴上げをされる武豊騎手(撮影・倉掛優一)
天才が、ついに偉大なる記録を樹立した。21日の小倉競馬12Rで、武豊騎手(38)=栗・フリー=がこの日4勝目を挙げて、前人未到のJRA『2944』勝を達成。岡部幸雄元騎手が保持していた、JRA最多勝利記録『2943』を塗り替えた。87年3月のデビューから21年目。驚異のスピードでユタカが中央競馬の頂点に立った。
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天才は“ターフの魔術師”といわれた父の姿をずっと見ていた。87年3月にデビューし、69勝の新人年間最多勝を樹立。翌年の菊花賞ではスーパークリークで勝ち、JRA史上最年少でクラッシック&GI初制覇も成し遂げた。その後も数々の記録を塗り替え、国内では『2943』を超えることが、天才の使命だった。
7月21日(土)の小倉12R。“その時”を競馬ファンは待ちわびていた。1番人気に支持されたヒシワンスモアを華麗に操り、外から敢然と差し切る。『2944』回目のJRA勝利は、まるで測っていたかのような完璧さ。「早く決めたい」と言っていた通りに1日4勝。それも11R、最終12Rを連勝して決めるあたりが、天才らしく、心憎い。
「大きな区切り、ホッとしています。重みのある数字ですよね。きょう達成できるとは思っていなかったけど、明日まで延びると皆さんに迷惑もかかるからね。4勝は特別な乗り方をしたわけでもない。2944勝は正直、そんなに勝ってきた実感はない。本当にアッという間でしたね」
ローカルの小倉の最終レースとは思えない、ファンの数と拍手の音。傍らを駆け抜けていくジョッキーから、祝福の言葉がかかり、表彰式後には胴上げも。幼少の頃から騎手を志し、その背中をずっと見てきた父・武邦彦調教師からの花束贈呈。「照れくさかったけれど嬉しかった」。
岡部幸雄元騎手が38年間で築き上げてきた『2943』勝を、21年目という倍近いスピードで破った天才。ただ、今年のスタートは騎乗停止(昨年12月の香港競馬での処分)もあって、21日現在JRA75勝。リーディング3位に甘んじていた。
「本当は小倉の前に、もっと早く決めていなければね。今年はちょっと調子が悪かったので、この辺でアピールできて良かったですね」。意地とプライドがチラリとのぞく。
岡部を抜いた「誇れる記録」を勲章に、この後も勝ち続ける。「3000勝は今年中に達成したい」と宣言。あと56勝は当然可能だ。秋には悲願の制覇がかかる、メイショウサムソンで挑む仏GI凱旋門賞(10月7日、ロンシャン、芝2400メートル)が待ち受ける。「さらに上を目指して頑張っていくだけです」と、JRA最多勝ジョッキーは孤高のVロードを歩み続けていく。
(秋谷哲)
★武に聞く
−−2944勝を達成して、今の気持ちは?
「嬉しいです。大きな区切り、ホッとしています。ゴール後は、(ジョッキーの)みんなに祝福されて嬉しかった。ファンの方の応援の声も嬉しかったですね。大きい数字。20年以上かけてできた記録ですし、すごく重みを感じます」
−−数字は意識していましたか
「近づくにつれてあといくつかな、と。早く達成したい気持ちが強かった。でも(達成しても)ピンとこなくて。正直そんなに勝ってきた実感がないんです。アッという間といえばアッという間でしたね」
−−岡部さんを抜いたことについては
「あの岡部さんの生涯の勝ち鞍に並んで、抜けたのは誇れることと思っています。岡部さんの時代とはスタイルが違い、リーディングのアベレージも全く違いますが、記録を作れたことはすごく嬉しい」
−−ここまで順調でしたか
「関係者の方が応援してくれて、いい馬に乗っていいレースを勝ててきた。仕事は楽しいし、馬に乗って勝った時の喜びのためなら、多少の犠牲を払うのは苦になりません」
■武豊(たけ・ゆたか)
1969年3月15日生まれの38歳。身長1メートル70、体重51キロ。血液型はO。京都府出身。父は騎手時代“ターフの魔術師”といわれた武邦彦調教師(1163勝)。87年に栗東・武田作十郎厩舎所属でデビューし、初騎乗は3月1日のアグネスディクターで2着。同年69勝は新人の年間最多勝利記録。92年3月からフリーとなった。89〜90年、92〜00年、02年〜06年は全国リーディング首位。96年に年間最多勝記録159勝を達成、05年の212勝が最高記録。その05年にはディープインパクトで無敗3冠騎手となった。今季は21日までに75勝を挙げ全国リーディング3位。JRA通算2944勝、重賞245勝、GI58勝。ダービーは4勝している。JRA以外は地方通算129勝、交流GI13勝。海外通算104勝、GI7勝。総勝ち鞍は3177勝。
■武の主な成績
★…新人年間最多勝 87年に69勝。2位は加賀武見の58勝(60年)
★…GI最多勝 58勝。2位は岡部幸雄の31勝
★…年間最多GI勝利 6勝。05、06年と2年連続
★…クラシック最多勝 19勝。2位は保田隆芳、岡部幸雄の10勝
★…重賞最多勝 245勝
★…1日最多勝 8勝。02年12月7日の阪神競馬で
★…最年少クラシック勝利 デビュー2年目の88年菊花賞(スーパークリーク)で。19歳7カ月23日。最年少GI勝利でもある
★…最年少リーディングジョッキー デビュー3年目の89年に133勝で東西総合1位
★…JRA騎手初の海外GI勝利 94年に仏ムーランドロンシャン賞(スキーパラダイス)で。海外GIは通算7勝
★…年間重賞最多勝利 23勝。05年にGI6勝、GII6勝、GIII11勝
★…年間最多勝利 05年に212勝。年間200勝は03年から3年連続







