グルメ・情報

2008年04月19日 紙面より

賢い患者術を学ぼう “医師疎通”できてますか?

1日から始まった再診時の「外来管理加算」5分ルールの適用。短い診療時間の中で医師と意思疎通ができるかどうかを見直す機会だ。また、患者と医師の関係では、紹介状を書いてもらう、セカンドオピニオン(別の医師の診断)を得るなど、患者からは言い出しにくい場面も多い。そんな時に大切なのは、医師と信頼関係を築ける“賢い患者術”。社会保険中央総合病院の山田春木内科部長に“賢い患者術”を身につけるためのコツをきいた。

最初の診察では、あれもこれもと訴えたくなるもの。実は、これは逆効果だという。

山田部長によると「相談は1つに絞り、なぜ病院に来たかという結論から話すことが大切」。

たとえば、「〇〇の検査をしてほしい」「昨日から動悸が続いている」「頭痛がひどい」といった結論から話し、その理由や症状に関係することを順次説明していく。

避けたいのは、例えば動悸についての相談が目的なのに、「腰も痛い」「風邪もひいている」などと、他の症状の相談を一度にすること。同部長は「これではその数だけ初診担当医師の集中力が薄められる」という。

時間を有効活用しようと症状や問題点を紙に書いていくのもNG。個条書きでも、「読むには、案外、時間がかかる。患者自身が読みあげるのも、顔が下向きになり、表情が見られない。重要なのは、相手の目を見て自分の言葉で話し、コミュニケーションをとること」(同部長)なのだ。

ひとしきり症状を訴えた後は、医師の言うことをしっかりと聞く。医師が何か言うたびに「そうそう、そういえば…」と反応する人がいるが、これは問題。「こういう人は、こちらの話は素通り。医師が話し始めたら、全力で聞く。これが大切」(同部長)。

再診時も基本は同じで、検査結果や病状の説明では、意味が理解できないときだけ質問し、後は聞き役に徹する。

「ただし、なかなか症状が改善しないなど、疑問は率直にぶつけていい。それでも、心配ごとが解決できなければ、セカンドオピニオンを得たり、紹介状を書いてもらって違う医師に診てもらえばいい」(同部長)。

このセカンドオピニオンと紹介状、失礼にあたるのではと言い出せず、黙って病院を変えたり、セカンドオピニオンを得に行ったりする人がいるが、「黙っている方がかえって失礼。医師はセカンドオピニオンが欲しい、病院を替わりたいと言われても、悲しいとは思っても、失礼だとは思わない。気楽に頼んでいいですよ」(同部長)。

セカンドオピニオンも転院も、それまでの治療の経緯や病状が医師の言葉で説明されてこそ、力を発揮する。紹介状には、表の通り、さまざまなメリットがあるのだ。

大切なのは、自分の症状を端的に話し、医師の言葉を全力で受け止めること。最良の治療を受けるための“患者力”とは、医師とのコミュニケーションをとり、本音で話すことなのだ。

【“かかりつけ医”を見つけよう】

「40歳を過ぎたら、一生つきあっていけると思える“かかりつけ医”を真剣に探してください」と山田部長。

親身になってくれ、相談ができる“かかりつけ医”は、治療中の病気以外に家族関係や既往症なども含め、体全体を見て管理してくれる存在だ。

「“かかりつけ医”は、すべての病気のプロである必要はない。『その人についてのプロ』であることです。直接、治療しなくても、それぞれの病気をもっとも適切に治療してくれる患者に合った病院や医師を紹介できればいい。そのかわり、体調を崩したときは、24時間といわないまでも、翌朝には電話で相談でき、電話を受けた医師も患者の顔がすぐに浮かぶ、そういった関係です」(同部長)。

こうした強い信頼関係を築くのは簡単ではない。同部長は「嫁さん探しと同じ。病院に行ったときは、常に、“かかりつけ医”探しをする目で医師を見ること。家の近くの開業医で値ぶみするのもいい」(同部長)。

これぞ、と思ったら、後はアタックあるのみ。コツコツと信頼関係を築きあげればいいのだ。

【再診時の「外来管理加算」の5分ルールとは】

「外来管理加算」とは、受診時に一定の処置や検査を行わなかった患者が、医師に検査結果や治療方針の説明を受けたり、病状についての相談をするときなどに支払うもの。プロの知識を得るための料金だ。

1日から、これまで診療時間にかかわらず、診療所(開業医など)や200床未満の病院で、一律に支払っていた再診時の「外来管理加算」(520円)が、5分以上の診療にのみ適用されることになった。5分間以上というルールには、患者によりていねいな説明をし、病状の相談にのるようにという思惑がある。

とはいえ、3分間程度で十分説明できるにも関わらず、「外来管理加算」を得るために、診療時間が無駄に長引くという懸念もある。逆に、患者側が、診療費を節約しようと、聞きたいことも聞かないで終わらせる可能性もありうる。いずれにしろ、5分間ルールに惑わされず、「医師の説明を全力をあげて聞き、相談したいこと、疑問に思っていることがあれば、単刀直入に質問することが、よりよい治療を受けるために必要」(山田部長)だ。

紹介状を書いてもらうメリット
★これまでの治療の経緯や病状など、以前からの情報の積み重ねを医師が知ることができ、診断や治療に役立てられる。一からやり直さなくて済むので、無駄な検査が省け、診療費や検査費の節約ができる。患者にとって最良の治療ができる
★患者からの視点だけでなく、これまで治療してきた医師の考え方や治療方針、患者にどう説明したかが医師の視点からわかり、より正確な診断やわかりやすい説明が可能になる
★セカンドオピニオンの場合、紹介されたことで、担当医に返事が書ける。患者への説明だけでは、患者自身は納得しても、その後の治療には生かされない。医師に対して、医師がプロの言葉で返事を書くことで、最良の治療につながる
★医師にとっては、どこそこの病院(どの医師)に紹介したという記録が残るので、一応の区切りがつく。紹介することで、診療情報提供の費用がもらえる
★現在、治療中の医師がセカンドオピニオンの結果を治療に反映することができる。転院した場合も、再び元の病院に戻ってくることがある。その際も、それまでの経緯を治療に生かせる