正しい二日酔い対策 「とりあえずビール」など意外な方法も…

歓送迎会にお花見と、酒席が重なるこの季節。周囲の雰囲気に流されて、ついつい飲みすぎてしまう人も多いのでは? 酒好きにとって、どうやって翌日のつら〜い二日酔いを防ぎ、かつ、すみやかに解消するかは、永遠のテーマ。そんな欲求にこたえるべく、ちまたでは、さまざまな二日酔い対策があふれている。だが、問題は本当に効き目があるかどうか。さて、本当に効力を発揮する二日酔い対策とは?
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「とりあえずビール」。日本人の酒席でおきまりのセリフだ。「二日酔いの特効薬のウソ、ホント。」の著者で、なかやまクリニックの中山健児院長は「実は『とりあえずビール』には、二日酔いを防ぐ効果がある。カラオケも二日酔い予防に最適です」と話す。
その背景にあるのが、酔いのメカニズム(別項)だ。二日酔いは、血液に溶け込んだアルコールが肝臓で分解されてできるアセトアルデヒドが、体内に蓄積されて起こる。中山院長によると、予防&改善の基本は、(1)アルコール量そのものを減らす(2)アルコールの代謝を促進し、アセトアルデヒドを分解する肝臓の働きをよくする(3)アルコールを排出する働きを促すの3つで、「最初に炭酸を含むビールを飲むと、おなかが膨れ、飲むペースが遅くなる。炭酸ガスとホップが胃腸の働きを活性化し、つまみが欲しくなる。利尿作用が強く、体内のアルコールを効率よく排出できます」。
一方、カラオケは、深い呼吸をひんぱんにして歌うため、体内のアルコールを呼気としてたくさん排出できる。「腹式呼吸で、アルコール代謝に必要な新鮮な酸素を大量に取り込める」(同院長)という利点もある。
とはいえ、飲みすぎればやはり二日酔いになる。中山院長によると、翌朝の症状を軽減するには、「肝臓で作られる胆汁の分泌を増やし、アセトアルデヒドの分解を促すタウリン、オチアミンなどを含むシジミのみそ汁を飲むとよい」。
また、頭痛は、アセトアルデヒドが脳の血管を拡張、周囲の神経が刺激されて起こるため、血管を収縮させる作用があるコーヒーや緑茶を飲むと軽減できる。
とくに緑茶は、「アセトアルデヒドの分解を促進するビタミンやカテキンも豊富」で、酒席の前や途中に飲むと、「緑茶に含まれるタンニンが胃腸の粘膜を収縮させ、アルコールが体内に吸収されにくくなる」(同院長)という。
中山院長おすすめのその他の二日酔い対策は表の通り。もっとも、どんなに対策を練っても、飲みすぎは体に毒。くれぐれもお忘れなく。
【酔いのメカニズムと二日酔い】
胃と小腸で吸収されたアルコールは、血管を通って肝臓に運ばれ、アセトアルデヒドという毒性がある物質に分解される。これがアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の働きで酢酸に変わり、筋肉や脂肪組織などで水と二酸化炭素に分解。呼気や尿として排出される。肝臓で分解しきれなかったアルコールは、血液とともに全身を巡り、再び肝臓に戻り分解される。
「気分の高揚や、足元のふらつき、ろれつが回らないなどの酔いの症状は、血液によって脳に運ばれたアルコールが脳の活動をまひさせるのが原因です」(中山院長)。
二日酔いの元凶はアセトアルデヒドだが、「日本人の約半数は、ALDHによる代謝能力が全くないか、低い人。そのため、アセトアルデヒドが体の中に蓄積されやすい」(同院長)という。
ちなみに、普通の人がビール大瓶1本や日本酒1合に含まれるアルコールを代謝するには約1時間かかる。ビール1本と日本酒3合なら約12時間。深酒をすると、朝起きてもアセトアルデヒドが残った状態、つまり二日酔いになるのだ。
【二日酔いになりにくい酒のつまみ】
二日酔い予防には重要なつまみ。肝臓の働きをよくし、アルコール代謝を促すためだ。中山院長のおすすめは「悪酔い、二日酔いを防ぐ作用があるビタミンCが豊富な枝豆」。さや付きなら、一握り分の約100グラムで1日のビタミンC必要量(約50グラム)の半分以上の27グラムが摂取できる。しかも、良質のタンパク質やレチシン、サポニンなど肝臓の負担を和らげる成分も含んでいる。
また、冷ややっこもよい。「肝臓のアルコール分解能力を高める良質の植物性タンパク質が多く、ネギなどの薬味の香り成分アリシンが肝臓を元気にする」(同院長)のだ。
【効果が期待できない二日酔い対策】
★酒を飲む前に、あらかじめ牛乳を飲んでおく=牛乳によって胃に膜が張られ、アルコールが吸収されにくくなって、二日酔いにならない…。酒飲みたちの間でまことしやかにささやかれる話だが、中山院長によると、「胃に膜ができてアルコールの吸収の邪魔をするかといえば、答えはノー」。ただし、牛乳をはじめ乳製品に多く含まれるタンパク質には、肝機能を向上させ、アルコールの分解を早くする作用があるため、「酒を飲む前に、牛乳を飲むのはムダではない」という。
★サウナや熱い風呂に入って汗をかく=「汗として、水分が体から放出され、二日酔いの状態が長引くことになりかねない。血液がドロドロになって、血栓もできやすくなります」(同院長)。
★迎え酒=もってのほか。中山院長は、「アルコールで一時的に脳をまひさせているだけ。二日酔いの苦しみを先延ばしにして、さらにひどい二日酔いを招く。アルコール依存症への道を進んでいるのと同じです」と警鐘を鳴らす。
■なかやまクリニック 中山健児院長
★なかやま・けんじ 和56年筑波大学医学専門学群卒業。東京警察病院整形外科で、最先端整形外科医療、救急医療、リハビリテーション医学を習得。平成3年、東京都新宿区山吹町に、整形外科・内科のなかやまクリニックを開院。K−1、PRIDE、空手など、各種格闘技のリングドクターとしても活躍。著書に、「二日酔いの特効薬のウソ、ホント。」「格闘技 ザ・カルテ」「腰痛はこうすれば治る」「ドクターストップ!」など。
| ◆おすすめ二日酔い対策◆ |
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| ★ウコンドリンクを飲む=ウコンに含まれるクルクミンには、アルコールとアセトアルデヒドの分解を速めると同時に、アセトアルデヒドの排出に必要な胆汁の分泌を促す作用がある。とくに、「醗酵ウコン」は、クルクミンの吸収率が高い |
| ★ホウレンソウのゴマあえを食べる=ホウレンソウは、肝臓にたまる活性酸素を抑え、肝機能を高めるビタミンAを豊富に含有。アルコールを分解する過程で大量に消費するビタミンAが補給できる。ゴマに含まれるセサミンは活性酸素を強力に除去。アルコール代謝やアセトアルデヒドの解毒作用の強化につながる |
| ★山芋やオクラなどネバネバした食材を積極的にとる=ネバネバの正体、ムチンには胃や腸の粘膜を保護する働きがある |
| ★モズク酢を食べる=モズクに含まれるフコイダンが肝機能を高め、有害物質の分解・排出を促す。酢は、肝臓の働きを活発にし、代謝機能を促進する |
| ★焼酎には梅干しを入れる=梅には、肝機能を高め、アセトアルデヒドの分解を助けるピクリン酸が含まれている。飲んだ後に、梅干し入りのお茶漬けを食べるのもおすすめ |
| ★飲んだ後にあんこを食べる=小豆に含まれるカリウムやサポニンには、利尿作用を促し、有害物質を体外に排出する働きがある。サポニンは、肝機能も向上。砂糖と一緒に煮詰めたあんこなら、アルコール代謝で疲れた体のエネルギーになる糖分も補給できる |
| ★ビールにもレモン水などのチェイサーを=酒には利尿作用があり、脱水症状が起こる。効率よく、アルコールを排出するには、水分補給が必要。レモンは、アセトアルデヒドの血中濃度を抑える作用があり、肝機能を向上させるビタミンCも豊富に含む |
| ★深呼吸をする=アルコールが分解されてできる二酸化炭素、未分解のアルコールの大半が呼気によって肺から体外に排出される。より多くの酸素を取り入れると、アセトアルデヒドの分解も促進される |
| ★飲んだ後は、スポーツドリンクで水分補給=アルコールによる脱水症状を改善し、体の中から失われた塩分などの電解物質が補える |
| ★使い捨てカイロなどで肝臓のあたりを温める=あばら骨の下のへその横あたりを温めると、肝臓の血流が増加して肝機能が高まるという。翌朝、酒が残っていると感じたら、ドライヤーでやけどしないように注意しながら2〜3分温めるのもよい |
| ★ゆっくり時間をかけて飲み、深夜0時前には切り上げる=飲むスピードが速いと酒量が増える。酒に強くても、アルコール代謝にかかる時間は、それほど個人差はないので、代謝時間を考えて飲むこと。とくに、翌日、車を運転する場合は注意が必要 |

