コンタクトレンズによるトラブル増加…コワ〜イ“菌眼”

連続装着など使いやすいさが進化して、装用人口が1500万人以上になるといわれるコンタクトレンズ。その半面で、コンタクトレンズによる眼障害が増えている。その割合は10人に1人とも。レンズやレンズケースの手入れがきちんとされていないのが大きな問題で、角膜(黒目)に感染を引き起こし、最悪の場合、失明することもあるという。コンタクトレンズは、れっきとした医療器具。正しい使用で、目のトラブルを防ごう。
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いくら素材が進化しても、コンタクトレンズは目にとっては異物。日本コンタクトレンズ学会理事長で、愛媛大学医学部眼科の大橋裕一教授は、「一番問題なのは、角膜感染症。それも、レンズやレンズケースの手入れを怠ったことが原因というケースがほとんど」と警鐘を鳴らす。
なかでも、盲点になっているのがレンズケース。ケースは洗面所などの水場に置かれがちだが、そこは環境菌の巣窟。「セラチア菌や緑膿菌などの環境菌がケース内に入り込んで繁殖。これが保存中にレンズに付着し、角膜感染症を引き起こす」という。
角膜(黒目)は目のレンズにあたる部分で、コンタクトレンズと直接接触する。それが細菌に冒されると、目の痛みやゴロゴロ感、白目が赤くなるなどの症状が起こる。角膜が白く濁って視力が低下することも少なくなく、「たとえ治ったとしても角膜に濁りが残る。放置すると、角膜に孔(あな)があく恐れもある」から恐ろしい。
同教授によると、コンタクトレンズ装用者のレンズケースを調べたところ、半数以上に環境菌の汚染が見られたというから、自分は大丈夫という過信は禁物だ。
これを防ぐには、「コンタクトレンズを装用している間は、レンズケースにMPS(多目的用剤=消毒、洗浄、保存を1つの液で行えるもの)を入れっぱなしにしないこと。ケースは水道水でよく洗い、水気をティッシュペーパーなどで拭き取ってから立て掛け、乾かしておく」と大橋教授。また、1カ月に1回程度の頻度でケースを交換することも大切だ。
さらに、コンタクトレンズに付着した環境菌を除くためには、レンズのこすり洗いも欠かせない。特に、水分を多く含むソフトレンズは汚れが付着しやすい。「MPSでレンズを軽く流し洗いするだけの人もいるが、これでは環境菌はとり除けない。多目的用剤や過酸化水素水で消毒をするときに、手のひらにレンズを乗せ、指の腹を使って十分にこすり洗いすること」(同教授)。
流行の2週間交換タイプなど短期間だけ装用するレンズも、日頃の手入れが大事。実際、このタイプの使用者に、眼障害が増えているという。
コンタクトレンズは眼鏡と異なり、直接目に装着する医療器具。「眼科専門医に処方してもらうだけでなく、正しい手入れ法などの指導を受けることも大切。また、3カ月に一度は検診を受けること」と大橋教授。正しく使うことが、目を守るために重要だ。
【入れっぱなしは厳禁!】
「夜、寝るときにコンタクトレンズを外さずに使い続けると、まぶたや結膜など目の周りにいるブドウ球菌やアクネ菌などの常在菌がレンズに付着して繁殖する危険性があります」と大橋教授。特に、1日使い捨てタイプのトレンズを外さずに何日も使い続けると、常在菌による角膜感染症を招くことがある。装用するとどうしても角膜が酸素不足になるが、それが続くと角膜上皮障害が起こりやすくなり、その結果、常在菌による感染も起こりやすくなる−という悪循環に陥る恐れがあるのだ。コンタクトレンズを使用する場合は、使用のルールを守り、最大でも12時間を超える装着は避けよう。
【花粉症の人は、眼鏡に切り替えも】
今の時期の悩みのタネといえば、スギ花粉による花粉症。コンタクトレンズ装用者にとって、花粉症は大敵だ。「花粉でレンズに汚れがつきやすくなりますし、白目が腫れる(むくみを起こした状態になる)と、レンズのフィッティング自体が悪くなることもある」(大橋教授)。これらを避けるには、「コンタクトレンズに付着した花粉を市販の人工涙液の点眼などで頻繁に洗い流すこと。抗アレルギー薬の点眼も有効だが、使用には眼科専門医のチェックが必要。1日使い捨てタイプのコンタクトレンズの使用がおすすめ」と同教授はいう。毎年悩まされる人は、早めに眼科専門医で、抗アレルギー点眼薬の処方を受ける方法もある。もし、かゆみや炎症がひどくなったら、「レンズの装用はいったん中止。眼科専門医に相談するとともに、飛散が収まるまでメガネに切り替えたほうが良い」。
■大橋 裕一(おおはし・ゆういち)
愛媛大学医学系大学院視機能外科学分野教授。日本コンタクトレンズ学会理事長。医学博士。昭和50年、大阪大学医学部卒業。57年、米国カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校(医学大学院)に留学。60年、関西労災病院眼科部長。平成4年から現職。日本眼科学会常務理事、日本眼感染症学会副理事長、日本角膜学会理事、日本角膜移植学会理事、日本眼科手術学会理事など。
| ◆コンタクトレンズによる眼障害から目を守るための7カ条◆ |
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| 〔1〕コンタクトレンズを作る際は、眼科専門医を受診=眼科専門医を受診することで、目の状態にあったレンズを処方してもらえる |
| 〔2〕コンタクトレンズを装着する前には石鹸で手を洗う=手に付いた細菌がレンズの表面に付着、感染症などを招くことがある。装着する前には、必ず石けんで手を洗う習慣を |
| 〔3〕12時間以上は連続装用しない=レンズの装用中、目には十分な酸素が送りこまれていない。特に使用方法を逸脱した連続装用は、目の周りの常在菌による感染症の原因にも。目のトラブルを防ぐためにも、メガネは必ず携帯する |
| 〔4〕レンズは毎日消毒・洗浄=コンタクトレンズについた細菌や汚れを落とすには、こすり洗いが必要。汚れが付着していると、レンズの酸素透過性も悪くなる |
| 〔5〕レンズケースの洗浄を忘れずに行う=レンズケースは環境菌の温床。毎日、洗ってしっかり乾かす。空のレンズケースにMPS(多目的用剤)を入れっぱなしにするのは厳禁 |
| 〔6〕目に異常を感じたら、すぐに眼科専門医へ=ちょっとゴロゴロした感じがすると思っても、眼科を受診しない人は意外と多い。コンタクトレンズをはずすと痛みが出て、逆に装用中に痛みがおさまる場合は、眼障害を起こしている可能性大 |
| 〔7〕3カ月に1回は眼科専門医の検診を受ける=目のトラブルは悪化するまで自覚症状が少ないものが多い。順調に装用を続けているつもりでも、異常が起きていることがあるので注意が必要 |

