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2008年02月08日 紙面より

NHK大河「篤姫」ブームにわく 鹿児島でドラマの世界へ

NHK大河ドラマ「篤姫」

今年のNHK大河ドラマ「篤姫」。回を追うごとに上昇する視聴率を追い風に、篤姫の故郷である鹿児島県が盛り上がっている。幕末の島津家に生まれた篤姫は13代将軍徳川家定の正室で、夫亡き後は天璋院と名乗り大奥を束ね、江戸城無血開城に力を尽くした。ゆかりの地では無料で案内する「篤姫観光ガイド」などもスタート。ブームにわく鹿児島は菜の花が満開、ドラマ人気の盛り上がりとともに一足早い春を迎えている。

大河ドラマ「篤姫」ブームにわく鹿児島県。中でも盛り上がっているのが、篤姫が幼少時を過ごした指宿市の薩摩今和泉駅周辺だ。

九州新幹線鹿児島中央駅から観光列車「なのはなDX」で約40分(別項)。「ゆくさ、おさいじゃした(ようこそ、おいでくださいました)」。満面の笑顔で迎えてくれるのは、昨年4月、同駅内に誕生した、地元の人たちによるボランティアガイド「篤姫観光ガイド」(要予約)の人たちだ。

今和泉は、篤姫の実家で、島津一門のひとつ、今和泉島津家の領地。「今和泉島津家別邸」があった場所で、ボランティアガイドは、無料で、今和泉島津家の当主の墓や別邸跡など、ゆかりの地を案内してくれる。所要時間は30〜90分。発足以来、約1万6000人の観光客が利用しているという。

砂浜

「別邸は、現在は小学校。校庭には篤姫も使ったといわれる手水鉢や井戸跡などもあります。当時の石垣の一部や松林も残り、ドラマを機に砂浜も再現しました=写真左。原作となった宮尾登美子さんの小説『天璋院篤姫』の中に『石垣の階段を下りると、そこは砂浜で、篤姫にとってよい遊び場だった』という内容の記述がありますが、実際にこの10段ほどの石段を下りて砂浜にいけるんです」と地元のガイドさん。

一方、ドラマ放映に合わせて1月には「いぶすき篤姫館」もオープン。今和泉島津家のセットを再現したほか、ドラマの登場人物のパネル、ドラマのあらすじや当時の時代背景の解説などが展示され、ドラマの世界にひたることができる。

指宿市観光協会の原幸一さんは、「『篤姫観光ガイド』では、小説に描かれた、篤姫さんのお兄さんが漁師の子供たちにいじめられていたときに、篤姫さんが助けた逸話など、篤姫さんの人間的な魅力を紹介しながら案内。地元の人の話を聞きながら歩くと、篤姫さんの姿が現実味を帯びてきて身近に感じられると思いますね」という。

菜の花が満開の鹿児島。篤姫ブームにわく地元は訪れる人を熱く歓迎してくれる。

【鹿児島市内で「篤姫」を体感する】

「篤姫館」
「西田橋」

鹿児島港に面する「ドルフィンポート」の「篤姫館」内には、ドラマに登場する大奥での篤姫の部屋の再現やドラマの衣装、小道具などが展示されている=写真上。鹿児島市観光企画課は「『篤姫』の世界が凝縮された場所。ゆかりの地の案内などもあり、ここを訪れてから観光すると、景色が違って見えると思いますよ」。

市内の篤姫ゆかりの地で人気が高いのが「仙巌園」(礒庭園)。市内北部の錦江湾に面した江戸時代初期に作られた島津本家の別邸で、「書院造りの屋敷、桜島と錦江湾を借景にした和風庭園が見事。篤姫の時代が肌で感じられる場所です」(同)。また、鹿児島駅近くの「石橋記念公園」(今和泉島津家浜屋敷跡)には、ドラマにも登場する石橋「西田橋」=写真下=が移築され、「篤姫が渡った江戸時代の石橋を実際に渡れます」(同)。

薩摩藩主の居城鶴丸城跡には、城壁やお堀が残っており、輿入れ前の篤姫が約2カ月過ごしたという。ゆかりの地観光には、「周遊バス『カゴシマシティビュー』(1日乗り降り放題600円)の利用が便利でお得」(同)だ。


【ゆかりの地巡りに便利な九州の鉄道】

特別快速「なのはなDX」

鹿児島観光のスタートとなる鹿児島中央駅。同駅〜指宿駅間を走っているのが、真っ黄色の車体が鮮やかな特別快速「なのはなDX」だ=写真。篤姫が幼少時代を過ごした今和泉(指宿市)を訪れるのに便利な列車で、木をふんだんに使った内装が特長。車窓からは桜島の風景や満開の菜の花畑も楽しめる。

また、鹿児島中央駅から霧島温泉に向かうとき利用したいのが、観光列車「はやとの風号」だ。漆黒のボディーに金のエンブレムが輝く優雅で重厚な外観で、車内はこちらも地元産の木材を使った温かな雰囲気で居心地がいい。車内で販売する駅弁「嘉例川(かれいがわ)弁当」(要予約)は、鹿児島の素朴な味が楽しめると人気だ。

【東京で楽しむ「篤姫」の物語】

江戸東京博物館(東京都墨田区)では、19日から4月6日まで「天璋院篤姫展」(観覧料1200円)を開催。篤姫と周囲の人々ゆかりの品、江戸城大奥の華麗な調度、幕末の騒乱を伝える歴史資料など約200点が展示され、篤姫の波乱の生涯をたどる展覧会だ。

注目は、「篤姫が嫁ぐ時に鹿児島から持っていった当時のカットグラスともいえる薩摩切子の『藍色切子栓付酒瓶』や、篤姫が化粧用に使った『黒塗葵牡丹紋散蒔絵櫛台』など。江戸城での篤姫の生活を垣間見ることができます」と同展広報事務局。徳川家を守ろうと西郷隆盛にあてた書簡の文面からは、篤姫の人柄がにじみでているという。「テレビを見てから『篤姫展』を見る。展覧会を見たあとにテレビを見る。篤姫の人生がよりリアルに感じられると思いますよ」(同)。問い合わせは、江戸東京博物館TEL03・3626・9974。


◆鹿児島県内の「篤姫」ゆかりの地◆
〔1〕鹿児島市=篤姫が生まれ育った今和泉島津家本邸跡の石垣が残る。同家の浜屋敷跡である「石橋記念公園」には、ドラマにも登場する石橋「西田橋」が移設されている。鹿児島港に面した「ドルフィンポート」には1月から1年間の期間限定で「篤姫館」がオープン
〔2〕出水市=1186年に初めて居城が築かれ、島津家初代から5代までが居住した土地。江戸へ向かう篤姫も通ったといわれる。市内に残る「出水麓武家屋敷群」は、当時の風情が感じられる観光スポット
〔3〕南九州市=美しく整然とした町並みが続く知覧町の武家屋敷群は、薩摩の小京都とも呼ばれ、国の名勝にも指定。篤姫が生きた時代の武家屋敷の雰囲気が味わえる
〔4〕指宿市=篤姫の実家、今和泉島津家の領地で別邸があった。「今和泉島津家別邸跡」には、屋敷で使われていた手水鉢や井戸跡などがあり、近くの海岸付近に残る松林や石垣が当時をしのばせる。1月には、「いぶすき篤姫館」も誕生
〔5〕南大隅町=ドラマの原作である宮尾登美子の小説「天璋院篤姫」で、篤姫が江戸に行くときに通ったとされる。西郷隆盛が狩りの度に宿泊していた「西郷隆盛滞留の家」や、異国船襲来に備えて砲台が設置された「根占砲台跡」なども残る
〔6〕霧島市=ドラマでは篤姫の幼なじみとして描かれ、後に薩摩藩の家老となる小松帯刀が療養のために訪れた「栄之尾温泉」や、日本初のハネムーンといわれる龍馬夫妻の新婚旅行の地「塩浸温泉」などがある