グルメ・情報

2008年02月02日 紙面より

朝のウオーキングでイライラも解消! セロトニンを増やそう

寒い日が続く。体が縮こまるこんな時期は気持ちも落ち込みがち。そんなとき、「すぐにイライラする」「目覚めが悪く、いつも気分がさえない」といった症状が出るのは、脳内の「セロトニン」不足が原因の可能性が高い。「セロトニン」とは心と体のバランスを保つ神経伝達物質で、脳内の「セロトニン神経」で合成・分泌される。この神経が弱まると分泌量が減り、ストレスの影響を受けやすくなってしまうのだ。「セロトニン神経」を鍛えて、ストレスに強い心と体を作ろう。

「セロトニン」は、「ドーパミン」や「ノルアドレナリン」と同じ、脳内で働く神経伝達物質(別項)のひとつ。東邦大学医学部統合生理学の有田秀穂教授は、「『セロトニン』は、心のバランス(平常心)を保つ重要な存在。不足すると、落ち込みやすくなったり、すぐにイライラしたりする。逆に、『セロトニン』が多くなると、朝、目覚めたときから頭がスッキリし、ちょっとしたストレスなら、軽く受け流すことができるようになる」という。

同教授によれば、ストレス過多で、生活リズムが乱れがちな働き盛り世代は、「セロトニン」を脳内で合成・分泌する「セロトニン神経」が弱っていることが多いという。「うつ状態を招きかねないので、早めに対処することが大切」と警鐘を鳴らす。

有田教授がすすめる「セロトニン神経」を鍛え、「セロトニン」の分泌量を増やす方法は別表の通り。なかでも同教授が特にすすめるのが、通勤時間を利用した朝のウオーキングだ。

「太陽光が光信号となって網膜に入り、『セロトニン神経』を刺激する。『セロトニン』は、朝に作られるので、朝の光を十分に浴びることが特に重要」と同教授。また、ウオーキングなどの規則的な筋肉の収縮運動(リズム運動)も「セロトニン神経」の活性化に役立つので、朝、ただ歩くだけで、この2つが同時にできるのだ。

ウオーキングで注意する点はリズム運動(歩くこと)に集中すること。考えごとをしたり、おしゃべりして歩いていては効果はない。歩く時間は、「セロトニン神経」の活動が活発になる5分以上が基本。疲れると逆効果になるため、「やや早足で30分ほど歩くのがおすすめ。いつもの駅より1つ先の駅まで歩くといい」(同教授)。

このとき歩調に合わせて、下腹に意識を集中して息を「ハッハッハッ」と吐き切り、腹筋をゆるめて鼻からスーと吸う呼吸法を同時に行う。「小さな声を出すことで集中でき、『セロトニン神経』も活性化する」(同教授)からだ。歩調に合うリズミカルな音楽を聞きながら歩くのもよい。

「セロトニン」の分泌が増すと、重力にさからって働く筋肉も強化されるので、「表情が引き締まってくる」(同教授)という利点もある。

同教授によれば、3カ月続ければ、落ち込みやすさやイライラ感が軽減し、6カ月で体調がよくなったと実感する人も多いという。あなたもためしてみませんか。

ふけ顔解消にも役立つ!「セロトニン」と体の関係

人間が立った姿勢を保ち、背筋を伸ばすことができるのは、背中から肩にかけて発達した抗重力筋の働き。有田教授によると、「『セロトニン』は、抗重力筋という、重力にさからって働く筋肉にも働きかけている」という。そのため、抗重力筋の緊張をサポートする「セロトニン」が不足すると、元気がなくなるだけでなく、肩が落ち、猫背でやや前屈みの姿勢になる。顔にも抗重力筋があるため、「『セロトニン神経』が弱っていると、眼尻やほおが下がり、口にしまりがなくなる。顔に表情がなくなり、老け顔になってしまう」(同教授)。若々しい外見を保つためには、「セロトニン」の増加が重要なのだ。

また、「セロトニン」には自律神経のバランスを整える働きもあり、増加させることで、通勤電車の中で急におなかが痛くなるなどの自律神経のバランスの乱れによる症状を改善・予防することもできるという。

脳内の神経伝達物質

人間の脳の中では、脳の神経細胞(ニューロン)の間を神経伝達物質が移動することで情報が伝えられている。神経伝達物質にはさまざまあるが、心の働きに関係しているのは、脳を興奮させる「ドーパミン」、危険を察知し警報を発する「ノルアドレナリン」、これらの2つを制御しバランスをとる「セロトニン」の3つ。「ドーパミン」は、過剰になると依存症を招き、さらに進むと妄想や幻覚などを引き起こす。「ノルアドレナリン」は不快な刺激を受けると分泌され、不安感を感じたり、攻撃的になったり、腹を立てたりする。「セトロニン」がきちんと分泌されていないと、「ドーパミン」や「ノルアドレナリン」の作用が顕著になり、「そのため、すぐに落ち込んだり、イライラしたりするのです」と有田教授は説明する。

■東邦大学医学部統合生理学 有田秀穂(ありた・ひでほ)教授

東邦大学医学部統合生理学教授、医学博士。昭和48年、東京大学医学部卒業。東海大学医学部附属病院内科、筑波大学基礎医学系などを経て、平成10年から現職。主な著書に、「セロトニン欠乏脳」「朝の5分間 脳内セロトニン・トレーニング」「お日さまセラピー セロトニン生活のすすめ」など。ウオーキング用の音楽CD「ウォーキング・セラピー〜セロトニン活性〜」を監修。

 ◆「セロトニン神経」を鍛える方法あれこれ◆
★朝起きたらカーテンを開け、すぐに太陽の光を浴びる=太陽の光を目に感じると、「セロトニン神経」の活動が高まる。交感神経の働きが活発になり、すっきりと爽快(そうかい)な気分になる
★毎日バナナを食べる=バナナに含まれる必須アミノ酸の1つのトリプトファンは、「セロトニン」を作る原料。ビタミンB6や糖分も「セロトニン」の合成に必要になる
★朝ふとんの中で、腹筋を使ったリズム運動を行う=仰向けで体の力を抜き、おなかをへこませながらゆっくりと肺の中の空気を全部吐き出す。すべて吐き終わったら腹筋をゆるめて大きく空気を吸う。これを4〜5回繰り返した後、同様の呼吸法で息を吐きながら両足をつま先までまっすぐ伸ばし、息を吸うときに足首をゆっくり曲げる。5分間続ける
★「アイウエオ」「アイウエオ」と、繰り返し声を出して言う=口の形をしっかりと作るのがポイント。腹筋を使って息を吐きながら、呼気がなくなるまで言い続ける。息を吐き切ったら、スッと一気に空気を吸いこむ。5分間繰り返す
★ゴルフスイングの練習のような腰をひねる運動を繰り返し行う=大きな筋肉をゆっくり動かすと「セロトニン神経」に、効果的に刺激を与えられる。スクワットをリズミカルに行うのもよい。5分以上、1日1回〜2回行う
★階段を積極的に使う=トントントンと調子よく上り下りする。下腹を意識して「ハッハッハッスー」(3回息を吐いて1回吸う)と呼吸。かかとを地面から少し浮かせ、つま先側に体重をかけるようにするとよい
★食事のときは、あごを使ってしっかりとかむ=歯応えがある少しかためのものをしっかりとかんで食べる。おすすめはめざしやゴボウ、玄米、五穀米など。通勤時の電車の中や歩行中、仕事の休憩時間などに5〜30分間ガムをかむのもよい