C型肝炎、中高年40人に1人…ビール1杯が命とり

血液製剤の投与による薬害C型肝炎が社会問題になっている。実は、C型肝炎は、血液製剤の使用や輸血経験がない人でも他人事ではない。子供時代の注射など、当時は当たり前だった医療行為からの感染も少なくないことから、中高年世代の約40人に1人がC型肝炎ウイルスに感染しているといわれているからだ。現在、多くの自治体の保健所では、肝炎ウイルスの無料検査を行っている。まずは、ウイルス感染の有無を調べることが何よりも重要だ。
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輸血を受けたり、血液製剤を使用されたことはない。健康診断で肝臓が悪いといわれたことはない…。とはいえ、安心は禁物だ。
C型肝炎治療に詳しい、社会保険中央総合病院(東京都新宿区)の山田春木内科部長によると、「輸血歴や血液製剤の使用歴がある人は、C型肝炎治療に来る人の3分の1程度」という。
要注意なのは、注射針が使い捨てになる前に予防接種などを受けていた中高年世代だ。本人に自覚がないままC型肝炎ウイルスに感染しているケースも多く、同部長は「中高年の40人に1人がキャリア(保菌者)。40歳以上なら、地元の医療機関などでウイルス肝炎の検査を受け、ウイルスの有無を調べることが重要」と警告する。
というのも、C型肝炎の進行はゆっくりで、重篤な状態になるまで自覚症状がない。同部長によれば、「たとえ、若いころに感染していても、肝炎の症状がでるのは40代ごろから。しかも、軽い慢性肝炎の状態が続くので、肝機能検査(GOT、GPT)の数値は正常か、やや高い程度」と、通常の肝機能検査では、感染の有無はわからないのだ。
感染に気付かないまま、「軽い肝炎の状態が10〜20年続くと、肝硬変や肝がんになる」(同部長)。慢性肝炎を10年間放置した場合、5人に1人が肝がんに。肝硬変のまま10年間放置していると、約8割が肝がんになるというから恐ろしい。
そのうえ、感染に気付いていないと、日常生活の中で、命取りになるような行動を続けている危険性もある。
「一番の問題は酒。C型肝炎ウイルスキャリアにとって、酒は“発がん物質”。肝炎の進行を早めるだけでなく、将来、肝がんになるリスクが非常に高くなる。コップ1杯のビールも、C型肝炎患者にとっては、命の危険につながるのです」と同部長。にもかかわらず、飲酒による増悪(ぞうあく)は肝機能の検査値にはあらわれないのだ。
C型肝炎は、慢性肝炎の状態が長く続くと、症状の悪化に加速度がかかる。逆に、早く治療をすれば根治率が高まる。
まずは、ウイルス感染の有無を確認、肝がんを予防するのが40代以降の健康を守る第一歩だ。
■山田 春木(やまだ・はるき)
社会保険中央総合病院内科部長、医学博士。昭和54年、東京大学医学部医学科卒業。59年、東京大学第一内科助手。60年、英国ロンドン・キングズカレッジ医学校留学、劇症肝炎の研究に従事。平成8年から現職。著書に「こわい病気のやさしい話」「つらい病気のやさしい話」など。文化放送「山田春木の耳からクスリ」(毎週土曜日、18時〜18時30分)を放送中。
【C型肝炎の最新治療法】
治療法の基本はウイルスを体内から排除する根治療法のインターフェロン。最近は、ペグインターフェロン製剤の注射と、インターフェロンのウイルス排除効果を増強する内服薬のリバビリンの併用が主流で、「肝生検も入院も不要。治療期間は48〜72週間と、少量での長期投与ができ、すべてのウイルス量の人に60%程度の治る可能性がある」(山田部長)。
【ウイルス検査は無料へ】
厚生労働省は、B型やC型などの肝炎対策としてウイルス検診の無料化の方針を打ち出している。現在、多くの自治体では、保健所で受診すれば肝炎ウイルス検査が無料で受けられるようになっている。
【C型肝炎と肝機能の数値】
「社内健診などで肝機能の状態を表すGOT、GPTの数値が少し悪くても、酒をよく飲む人の場合、『最近、飲みすぎたかな』で終わってしまう。これは問題」と山田部長。
通常、GPTは6〜43IU/Lが正常範囲内。したがって、GPT30IU/Lの場合、健診では正常だと判断される。
「健康な人のGPTは20IU/L未満。本来なら、30IU/Lはやや高い状態です。しかし、C型肝炎ウイルスに感染している人の場合、GPT30IU/Lは肝炎が起こり始めているかどうかを見極めるライン。また、GPT40IU/Lを超えたら、病気が進行していると考える必要があります」(同部長)。
| ◆C型肝炎のウイルス検査◆ |
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| ★C型肝炎ウイルス抗体検査=血液中のC型肝炎ウイルス(HCV)に対する抗体の有無を調べる。陽性の場合、多くは測定時点でウイルスが体内にいると考えられるが、過去に感染し、すでにウイルスが存在しない場合も陽性になる。通常、保健所や医療機関で最初に行うC型肝炎のウイルス検査で、血液検査だけでわかる |
| ★C型ウイルスRNA検査=C型肝炎ウイルスの遺伝子(RNA)を直接調べて、ウイルスが体内に存在するかどうか、どれくらいの量のウイルスが存在するのかを調べる。抗体検査で陽性だった場合に実施。インターフェロン療法の効果を知る指針になるともいわれる |
| ★C型肝炎ウイルス遺伝子検査=ウイルスの遺伝子型を調べる。C型肝炎ウイルスは、遺伝子の構成の違いから、遺伝子型によって分類される。インターフェロンがよく効く遺伝子型と、効きにくい遺伝子型があるため、治療法の選択決定に使われる |

