観て触れて雪国 寒いこの時期、みちのく冬祭りが熱い

銀世界が広がる東北の冬。旧暦の小正月(2月中旬)を控え、東北各地は冬の祭りの準備で盛り上がっている。注目の祭りは、子供たちの遊びから始まった秋田県横手市の「横手のかまくら」、火のついた炭俵を豪快に振り回す角館町の「火振りかまくら」、巨大な紙風船を空に飛ばす仙北市の「上桧木内(かみひのきない)の紙風船上げ」など。火をとり入れたこれらの祭りは、幻想的でどこかぬくもりを感じさせる。1年で最も寒いこの時期、みちのくは祭りが熱い。
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「はいってたんせ〜」「あまえこ(甘酒)あがってたんせ〜」。高さ3メートル、直径3・5メートルほどの雪のドーム「かまくら」の中から、道行く人に声をかける子供たち−。
毎年2月15、16日に行われる「横手のかまくら」(秋田県横手市)は、約400年の歴史を誇る民俗行事だ=写真右。市内に出現する「かまくら」は約100基。毎年、約16万人が訪れる人気の祭りだ。
横手市観光協会の高橋信行さんによると、「大きなかまくら作りは20日ほど前から始まります。雪の山を作ってから、1週間ぐらいかけて凍らせる。その後、中をくりぬくんです」。内部に神棚を置き、火をたけるようにすればできあがりだ。
祭りの会場は市内4カ所。「かまくら」がずらりと並ぶ二葉町のかまくら通りは、「地元の子供たちが中に入っていて、昔ながらの雰囲気が楽しめる場所。雪国の風情を楽しむなら、黒板塀が続く羽黒町の武家屋敷がおすすめ」(同)という。

同じ「かまくら」の名がついた祭りでも、角館町(仙北市)で2月13、14日に行われる「火振りかまくら」には、いわゆる「かまくら」は登場しない。角館町観光協会の吉成和子さんは「実は『かまくら』は小正月行事の総称。角館の『かまくら』は、『神座(かみぐら)』がなまったものです」と説明する。
約400年の歴史があるこの祭りでは、約1メートルの縄を結んだ炭俵に火を付け、縄の先端を持って振りまわす「火振り」が行われる=写真左。五穀豊穣や無病息災を願い、闇の中に浮かび上がる光の輪は、幻想的で力強い。
「13日は、一般の人でも参加できます。火を使うので化学繊維の衣服は不可。こちらで綿のはんてんと頭にまく手ぬぐい、軍手も用意しますし、地元の人がやり方を教えるのでぜひ参加してください」と吉成さん。

一方、江戸時代に平賀源内が熱気球の原理を応用した遊びとして伝えたのが始まりというのが、2月10日に行われる「上桧木内(かみひのきない)の紙風船上げ」(仙北市)だ=同右。武者絵や美人画などが描かれた長さ3〜10メートルの円筒型の紙風船が、夜空にふわりと舞い上がる。風向きによっては、岩手県や福島県まで飛んで行くという。
年が明け、厳しい寒さが続く東北。各地の小正月の祭り(別表)は、みちのくの人々の春を待つ行事でもある。
★角館の武家屋敷で「冬がたり」

雪に覆われた深い木立、黒板塀に囲まれた武家屋敷…。みちのくの小京都と呼ばれる角館(秋田県仙北市)は、江戸の面影を色濃く残す町だ。
中でも、映画「たそがれ清兵衛」のロケ地にもなった武家屋敷「岩橋家」は、藩政時代そのままで秋田県指定の文化財でもある。通常、内部は公開しないが、3月31日までの金・土・日・祝日には、座敷のいろりを囲んで地元の人に昔話を聞く「角館冬がたり」(無料)が開かれている=写真左。
かつては藩の重臣たちしか使えなかった表玄関から家の中に入ると、「いぐ来てきだんしたなあ(よく来てくださいました)」と地元言葉で座敷に案内される。
赤く燃えるいろりの火を眺めながら、地元の人が語る雪国の冬の暮らしや“がっこ(漬物)”に代表される保存食の話に耳を傾ける。今も残る1620年にできた町割りや広い道路、京風の文化やしだれ桜の由来など、地元の人ならではの歴史、文化、生活の話に興味はつきない。
★秋田の冬の美味

冬の魚介類のおいしさが堪能できるのが男鹿半島名物の「石焼料理」だ=同右。カワハギやタイなど取れたての魚介類と味噌仕立てのだし汁が入った杉の桶に、真っ赤に焼けた大きな石を入れる料理法で、ジュッという音とともに桶の中がグツグツと一気に煮えたぎる。
「漁師の暮らしから生まれたもので、海岸のくぼみを使って料理したことから、磯焼料理とも呼ばれています。一気に火が通るから旨みが凝縮されておいしいんです」と男鹿市観光協会。料理法は豪快だが、味わいは新鮮な魚介類のダシがきいて繊細だ。
一方、秋田の冬を代表する味覚が「きりたんぽ鍋」。ごはんを軽くすりつぶして棒につけて焼いた「たんぽ」を切ったものとセリ、ゴボウ、比内地鶏などが入った鍋だ。
こうした秋田の味覚が味わえるのが横手市の「秋田ふるさと村」。郷土料理だけでなく、首都圏でも人気の魚のダシがきいた和風しょうゆ味の「十文字ラーメン」や目玉焼きと福神漬けを添えた「横手やきそば」などご当地グルメも豊富だ。
■ガイド
東北の冬祭りを楽しむには、エースJTBの旅「冬の東北らくらく周遊プラン」シリーズの「秋田・2つのかまくら祭りを訪ねて3日間」(2月14日出発限定、5万8600円〜)が便利。「横手のかまくら」と角館の「火振りかまくら」見学と往復のJR、宿泊、貸切タクシーでの観光などがセットになっている。ほかに、2月10日出発の「上桧木内の紙風船上げ3日間」(6万9900円〜)なら、紙風船上げと「岩手雪まつり」「十和田湖冬物語」も楽しめる。問い合わせは、JTB旅の予約センターTEL0570・023・489。
| 東北の冬祭りあれこれ |
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| ★八戸えんぶり(青森県八戸市)=2月17〜20日。八戸地方の春を呼ぶ豊作祈願の伝統行事。国の重要無形文化財。太夫と呼ばれる舞手が馬の頭をかたどった烏帽子をかぶり、頭を大きく振る独特の舞。市内の「更上閣」では、幻想的な雰囲気の「お庭えんぶり(〜22日、有料・要予約)」も行われる |
| ★十和田湖冬物語(青森県十和田市)=2月1〜24日。北東北最大級の雪まつり。冬花火の打ち上げ(期間中の毎日)、津軽三味線ライブ、ねぶたハネト体験などイベントが盛りだくさん。ホーストレッキングや雪灯籠作りなどもできる |
| ★弘前城雪燈籠まつり(青森県弘前市)=2月8〜11日。弘前公園(国指定史跡「弘前城跡」)に、大小約500基の雪灯籠や雪像を配置。雪の弘前城天守閣のライトアップ、灯りが灯された灯籠などが幻想的な雰囲気。歴史的建造物を模した大雪像や雪の滑り台も登場 |
| ★岩手雪まつり(岩手県雫石町)=2月2〜11日。小岩井農場まきば園で開催。「雪の森の音楽会」をテーマに造られた大小16基の雪像や55基のかまくらをライトアップ。毎日、冬花火を実施。そり遊びができる大滑り台や、かまくらの中で食べるジンギスカンも人気 |
| ★なまはげ柴灯(せど)まつり(秋田県男鹿市)=2月8〜10日。男鹿半島に伝わる無形文化財の「なまはげ」と神事の「柴灯祭」を組み合わせたもの。真山神社境内に焚きあげられた柴灯火の元での「なまはげ」の乱舞は迫力満点 |
| ★上杉雪灯篭まつり(山形県米沢市)=2月9・10日。上杉神社一帯が中心会場。約300基の雪灯籠や3000個もの雪のぼんぼりが並ぶ |
| ★大内宿雪まつり(福島県下郷町)=2月9・10日。雪に埋もれた、江戸時代の面影を残す宿場町の大内宿は、国の重要伝統的建造物群保存地区。時代仮装行列や雪灯籠などのイベントを開催 |
| ★会津絵ろうそくまつり〜ゆきほたる〜(福島県会津若松市)=2月8・9日。菊、牡丹、藤などの花が描かれた伝統工芸品「会津絵ろうそく」の美しさを伝えようと平成12年から開催。ライトアップされた鶴ヶ城などに約7000本のろうそくが灯される |

